7種類の受け入れテストについてそれぞれ解説します!
受け入れテストは、ソフトウェア開発プロセスの最後の重要なステップであり、システムがユーザーやビジネスの要件を満たしているかどうかを確認するために発注者によって行われるテストです。
受け入れテストは様々な観点によっておこなわれます。今回はそんな受け入れテストの主な種類について、それぞれ詳しく見ていきましょう!
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- 1. 受け入れテストとは?
- 2. 1.ユーザ受け入れテスト (User Acceptance Testing_UAT)
- 3. 2.ビジネス受け入れテスト (Business Acceptance Testing_BAT)
- 4. 3.コントラクト受け入れテスト (Contract Acceptance Testing_CAT)
- 5. 4.規制/コンプライアンス受け入れテスト (Regulations/Compliance Acceptance Testing_RAT)
- 6. 5.運用受け入れテスト (Operational Acceptance Testing_OAT)
- 7. 6.アルファテスト
- 8. 7.ベータテスト/フィールドテスト
- 9. まとめ
- 10. テスト管理業務効率化ならPractiTest
- 11. この記事の監修
受け入れテストとは?
受け入れテスト(UAT)は、開発されたソフトウェアやシステムが、発注者の要求通りに動作するかを確認する最終的なテスト工程です。
通常、実際の運用環境もしくはそれに近い環境で行われ、システムが業務要件を満たしているか、使用時に問題がないかを検証します。
これは、ソフトウェアの正式なリリース前に行われる重要なステップで、ユーザーのニーズやビジネスプロセスに合致しているかどうかを確認する目的があります。
受け入れテストは発注者側が実施するのが一般的ですが、リソースや専門性が不足している場合、外部の専門業者に委託することもあります。
最終的に、このテストで問題がないと判断されたシステムが本番リリースされるため、受け入れテストの結果次第でシステム開発の成功が左右されるといっても過言ではありません。
そんな受け入れテストですが、目的や状況によっていくつもの種類があります。今回は以下の7種類について、ひとつずつ詳しく解説していきましょう。
1.ユーザー受け入れテスト 2.ビジネス受け入れテスト 3.コントラクト<契約>受け入れテスト 4.規約受け入れテスト 5.運用受け入れテスト 6.アルファテスト 7.ベータテスト |
1.ユーザ受け入れテスト (User Acceptance Testing_UAT)
ユーザー受け入れテスト(User Acceptance Testing:UAT)は、システムの開発が完了した段階で、最終的なユーザーが実際の業務環境でシステムを操作し、その性能や使い勝手を評価するテストです。
UATの主な目的は、システムがユーザーの業務要件を正確に満たしているか、また実際の運用環境で期待通りに機能するかを確認することにあります。
たとえば、新しい販売管理システムのUATでは、販売担当者が商品登録、在庫管理、注文処理などの日常業務をシステム上でおこない、その操作性やパフォーマンスを詳細にチェックします。
このテストを通じて、システムが業務フローに適合し、効率的に機能することが求められます。
UATで重視される具体的なテスト項目としては、ユーザーインターフェースの使いやすさ、データ入力の容易さ、エラーメッセージの明確さ、そしてシステムの応答速度などが挙げられます。
これらの要素が業務の効率性に直接影響を与えるため、UATは単なる技術的な検証を超えて、システムが実際の業務にどの程度適しているかを評価する重要なステップとなります。
▼UATについて詳しい内容を知りたい方はこちら▼
2.ビジネス受け入れテスト (Business Acceptance Testing_BAT)
ビジネス受け入れテスト(Business Acceptance Testing:BAT)は、ソフトウェアがビジネス上の目標や目的に合致しているかどうかを確認するためのテストです。
単に技術的な要件を満たすだけでなく、企業が期待するビジネス価値を提供できるかどうかを評価します。
BATの主な焦点は、ソフトウェアがビジネスベネフィット、特に財務的な利益に貢献するかどうかを確認することにあります。
しかし、市場環境の変化や技術の進歩などの外部要因により、現在のソフトウェア実装に変更が必要になる場合もあります。
その際、追加の予算が発生する可能性があり、これがビジネス上の意思決定に大きな影響を与えることがあります。技術的な基準をすべて満たした製品であっても、ビジネスの観点から期待される成果を達成できない場合、BATに不合格となる可能性があります。
たとえば予算内でプロジェクトを完了したとしても、期待される利益を十分に生み出せなければ、ソフトウェアがビジネスにとって真の価値を提供していないと判断されることがあります。
このように、BATは技術的な成功だけでなく、ビジネス的な成功も確保するために不可欠なステップです。
3.コントラクト受け入れテスト (Contract Acceptance Testing_CAT)
コントラクト受け入れテスト(Contract Acceptance Testing:CAT)は、製品が実際に稼働する前に、事前に取り決められた条件を満たしているかどうかを検証するテストです。
このテストは、製品がすべての受け入れユースケースに合格し、契約で定められた基準に達していることを確認することを目的としています。
このプロセスに基づいて締結される契約は、サービスレベル契約(Service Level Agreement:SLA)と呼ばれ、製品が全ての要件を満たした場合にのみ支払いが行われるという条件が含まれています。
SLAは、製品が約束された品質と性能を提供することを保証するための契約であり、特にCATにおいて重要な役割を果たします。契約内容には、テストが行われる分野や期間、後に発生する可能性のある問題に対する対応、支払いの条件などが詳細に記載されている必要があります。
これにより、製品が期待通りのパフォーマンスを発揮し、クライアントやユーザーに対して適切なサービスが提供されることが期待されます。
CATはソフトウェアの新規稼働前に実施されることが多く、製品が市場に投入される前にすべての問題が解決されていることを確認するためにも行われます。
最終的に、CATを通じて製品が契約に基づく基準を満たしていることが確認されることで、契約が履行され、支払いが行われる流れになります。
4.規制/コンプライアンス受け入れテスト (Regulations/Compliance Acceptance Testing_RAT)
規制/コンプライアンス受け入れテスト(Regulations/Compliance Acceptance Testing:RAT)は、製品が発売される国や地域の法律や規制に適合しているかどうかを確認するために行われるテストです。
製品が政府の定める規則や基準に違反していないことを確認することで、ビジネスへの悪影響を未然に防ぐことが目的です。
特に、グローバルに展開されるアプリケーションやソフトウェアでは、各国や地域ごとの規制に対応する必要があるため、RATは必須のプロセスとなります。
たとえばある国ではデータ保護に関する規制が厳しく、ユーザーデータの扱いに特別な配慮が求められることがあります。一方で、別の国では税務処理や電子取引に関する規制が異なる場合もあります。
これらの規制を無視した場合、その国での販売や利用が禁止される可能性があり、ビジネスにとって大きなリスクとなります。
RATは製品が市場に出る前に行われることが多く、各国の規制に適合しない場合には、発売が遅れたり、追加の修正が必要になることもあります。
製品が合法的に、そして安全に各市場で販売・使用できるようにするためには、RATの徹底が欠かせません。
5.運用受け入れテスト (Operational Acceptance Testing_OAT)
運用受け入れテスト(Operational Acceptance Testing:OAT)は、製品が実際の運用環境で適切に動作するかどうかを確認するための重要なプロセスです。
OATは非機能テストの一環として行われ、システムの運用準備状況を評価することを目的としています。このテストには、リカバリ、互換性、保守性、テクニカルサポートの可用性、信頼性、フェイルオーバー、ローカライゼーションなど、運用面での重要な要素を確認していきます。
たとえば、リカバリテストでは、システムが障害から迅速に回復できるかを確認します。互換性テストでは、新しいシステムが既存のインフラや他のシステムと適切に連携できるかをチェックします。保守性テストでは、システムのメンテナンスが容易かどうかを評価します。また、テクニカルサポートの可用性を確認することで、ユーザーが問題に直面した際に適切なサポートが受けられるかを保証します。
OATは、製品を本番環境にリリースする前に実施され、システムの安定性を確保するための最終チェックとなります。この段階で、システムが予期せぬトラブルを回避し、信頼性の高い運用を維持できることが確認されます。
特に、大規模なシステムやアプリケーションでは、OATが成功するかどうかが、システムの長期的な成功に直結します。そのため、OATはプロジェクトの最終段階において非常に重要なテストです。
6.アルファテスト
アルファテストは、ソフトウェア開発が進んだ段階で実施される重要なテストで、製品が基本的な機能を持つようになった時点で行われます。
このテストは、主に専門のテスターチームによって実施され、致命的な不具合や使用感の確認、ユーザーインターフェースの評価などをおこないます。アルファテストの主な目的は、ソフトウェアがエンドユーザーの要求を満たし、実際に使用可能な状態であるかどうかを確認することです。
アルファテストは一般的に関係者の間で行われ、外部の一般ユーザーには公開されません。これは、製品がまだ不安定であり、多くの不具合や問題が残っているためです。この段階では、開発者がテストから得られたフィードバックを基に機能の修正や改善をおこない、次のベータテストに備えます。
オンラインゲームのアルファテストでは、少数の選ばれたプレイヤーがテストに参加し、実際のプレイを通じてゲームのバグや不具合を報告します。また、負荷テストとして、ゲームサーバーの耐久性や応答速度を評価することも行われます。これにより、製品がより安定し、ユーザーに提供する前に多くの問題が解決されます。
アルファテストは、製品が市場に出る前の品質向上のための重要なプロセスであり、最終的なリリースに向けてソフトウェアの完成度を高めるステップとなります。
7.ベータテスト/フィールドテスト
ベータテストはアルファテストと混同されがちな最終テストのひとつですが、このふたつは目的が違います。
アルファテストでは主に製品の品質をチェックするのに対し、ベータテストではユーザー満足度を重視してテストをおこないます。
完成に近いソフトウェアのベータ版を、社外のユーザーや関係者に提供し、実際の環境で使用してもらいながら、不具合の発見や使用感の確認をおこないます。
このテストでは、製品の機能性や安定性を確認するだけでなく、ユーザーからのフィードバックを集め、製品の改善に役立てます。
ベータテストには、クローズドベータテストとオープンベータテストの2種類があり、クローズドベータでは一部の関係者に限定して行われ、オープンベータでは広く一般から参加者を募ります。
また、ベータテストはユーザーに製品を先行体験させることで、最終製品への関心を高めるマーケティングの一環としても機能します。
テスト中に得られた指摘や評価は、正式版リリース前の最終調整に活かされ、製品の完成度を高めることに繋がります。
フィールドテストとはほぼ同義となります。
まとめ
今回は受け入れテストについて、その主な7種類をそれぞれ解説させていただきました。
受け入れテストは、システムがユーザーやビジネスの要件を満たし、実際の運用環境で問題なく機能することを確認するための最終的なテスト工程です。
ユーザー受け入れテストやビジネス受け入れテスト、規制/コンプライアンス受け入れテストなど、各テストにはそれぞれの目的があります。
これらのテストを適切に実施することで、システムの品質を確保し、リリース後のトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。受け入れテストを正しく実行することで、よりユーザーやビジネスにとって価値のあるソフトウェア開発となるはずです!
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この記事の監修
Dr.T。テストエンジニア。
PractiTestエバンジェリスト。
大学卒業後、外車純正Navi開発のテストエンジニアとしてキャリアをスタート。DTVチューナ開発会社、第三者検証会社等、数々のプロダクトの検証業務に従事。
2017年株式会社モンテカンポへ入社し、マネージメント業務の傍ら、自らもテストエンジニアとしテストコンサルやPractiTestの導入サポートなどを担当している。
記事制作:川上サトシ