セキュリティテストとは?種類・脆弱性診断との違い、実施手順や費用を解説

セキュリティテストとは、システムやWebアプリ、ネットワークなどに脆弱性や設定不備がないかを確認するテストです。本記事では、脆弱性診断やペネトレーションテストとの違い、種類、確認項目、実施タイミング、手順、費用、注意点までわかりやすく解説します。

システムやWebサービスを安全に提供するうえで、欠かせない工程のひとつがセキュリティテストです。

セキュリティテストとは、Webアプリケーションやシステム、ネットワークなどに脆弱性や設定不備がないかを確認し、サイバー攻撃による情報漏洩やサービス停止などのリスクを低減するためのテストです。

近年は、ランサムウェアやサプライチェーン攻撃だけでなく、システムの脆弱性を狙った攻撃も企業にとって大きなリスクとなっています。IPA(情報処理推進機構)が公表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、組織向け脅威の4位に「システムの脆弱性を悪用した攻撃」が挙げられています。

そのため、システム公開前にセキュリティを確認するだけでなく、開発中やリリース後も継続的にテストし、脆弱性を早期に発見・修正することが重要です。

この記事では、セキュリティテストとは何かという基本から、脆弱性診断・ペネトレーションテストとの違い、主な種類、確認項目、実施するタイミング、費用、内製・外注の判断基準までわかりやすく解説します。

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目次

セキュリティテストとは

セキュリティテストとは、システムやアプリケーション、ネットワークなどがサイバー攻撃や不正アクセスに対して適切に保護されているかを検証するテストです。

通常のソフトウェアテストでは、「仕様どおりに機能するか」「エラーが発生しないか」といった機能面や品質面を確認します。

一方、セキュリティテストでは、

  • 本来アクセスできない情報にアクセスできないか
  • 不正な入力によってシステムを操作できないか
  • 認証やアクセス制御を回避できないか
  • 機密情報が適切に保護されているか
  • サーバーやクラウド環境に危険な設定がないか

など、攻撃者に悪用される可能性がないかという視点からシステムを検証します。

代表的な手法には、脆弱性スキャン、脆弱性診断、ソースコード解析、セキュリティコードレビュー、ペネトレーションテストなどがあります。

システムは一度安全性を確認すれば終わりではありません。新しい脆弱性は継続的に発見されるため、新規システムのリリース時だけでなく、大規模な機能追加やインフラ変更、ライブラリ更新などのタイミングでもセキュリティを確認することが重要です。

セキュリティテスト・脆弱性診断・ペネトレーションテストの違い

「セキュリティテスト」「脆弱性診断」「ペネトレーションテスト」は、同じ意味で使われることがありますが、厳密には対象範囲や目的が異なります。

項目セキュリティテスト脆弱性診断ペネトレーションテスト
位置づけセキュリティを検証する活動全般脆弱性を発見するための診断実際の攻撃を模擬する実践的なテスト
主な目的システム全体の安全性を確認する潜在的な脆弱性を広く発見する脆弱性を悪用してどこまで侵入・攻撃できるか確認する
主な方法SAST、DAST、SCA、診断、ペンテストなどツール診断・手動診断専門家による攻撃シナリオの実行
対象アプリ、API、サーバー、ネットワークなどWebアプリやプラットフォームなど重要システムやネットワークなど
特徴最も広い概念脆弱性の洗い出しに向く攻撃が成功した場合の影響まで評価しやすい

つまり、セキュリティテストは大きな概念であり、その中に脆弱性診断やペネトレーションテストなどの手法が含まれると考えるとわかりやすいでしょう。

脆弱性診断とは

脆弱性診断は、Webアプリケーションやサーバー、ネットワーク機器などに存在する既知の脆弱性や設定不備を発見することを目的とした診断です。

広い範囲を効率的に調べることに向いており、ツールによる自動診断と専門家による手動診断を組み合わせて実施することもあります。

ペネトレーションテストとは

ペネトレーションテスト(侵入テスト・ペンテスト)は、攻撃者の視点から実際の攻撃手法を用いて、システムに侵入できるか、侵入後にどこまで影響を及ぼせるかを検証するテストです。

脆弱性を見つけるだけでなく、「その脆弱性を実際に悪用すると何が起こるのか」を確認できる点が特徴です。

セキュリティテストが重要な理由

セキュリティテストの重要性は、サイバー攻撃の増加やシステムの複雑化に伴って高まっています。

IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向けの脅威として「ランサム攻撃による被害」「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」「AIの利用をめぐるサイバーリスク」「システムの脆弱性を悪用した攻撃」などが上位に挙げられています。

システムの脆弱性が悪用されれば、顧客情報や機密情報の漏洩、サービス停止、不正送金、データ改ざんなどにつながる可能性があります。

また、インシデント発生後には復旧コストだけでなく、顧客からの信用低下や取引停止、事業継続への影響が発生することもあります。

セキュリティテストによって問題を早い段階で発見できれば、被害が発生する前に修正できます。特に開発の早い段階からセキュリティを確認する「シフトレフト」の考え方を取り入れることで、リリース直前やリリース後に重大な問題が発覚するリスクを抑えることが可能です。

セキュリティテストの4つの目的

脆弱性を発見して修正する

最も基本的な目的は、システムやアプリケーションに存在する脆弱性を発見し、攻撃を受ける前に修正することです。

ソースコード解析や脆弱性スキャン、手動診断などを通じて問題を洗い出し、その重大度に応じて優先順位をつけて修正します。

単に脆弱性の数を減らすことではなく、「重大な被害につながる弱点を優先して取り除く」というリスクベースの考え方が重要です。

実際のサイバー攻撃に対する防御力を確認する

セキュリティ対策を導入していても、実際の攻撃に対して機能しなければ十分とはいえません。

ペネトレーションテストなどを実施することで、攻撃者の視点からシステムを検証し、認証やアクセス制御、ネットワーク分離、監視などの対策が有効に機能しているかを確認できます。

法規制や業界基準への対応状況を確認する

取り扱う情報や業界によっては、一定のセキュリティ対策が求められる場合があります。

例えば、決済カード情報を取り扱う組織に関係するPCI DSSは、カード会員データを保護するための技術的・運用上のセキュリティ要件を定めています。PCI Security Standards Councilのドキュメントライブラリでは、現行のPCI DSSとしてv4.0.1が公開されています。

自社に適用される法令・ガイドライン・業界基準を確認し、それに応じたテストを計画することが重要です。

セキュリティ対策を継続的に改善する

セキュリティテストの結果を開発・運用チームで共有することで、「どのような実装や設定がリスクにつながるのか」を組織内に蓄積できます。

発見した問題を修正するだけでなく、設計ルールや開発ルール、レビュー手順などにも反映することで、同じ問題が繰り返し発生することを防げます。

セキュリティテストの主な種類

セキュリティテストは、単純に「アプリケーション診断」と「プラットフォーム診断」だけで分類できるものではありません。

現在では、開発工程や目的に応じてさまざまな手法が利用されています。

SAST(静的アプリケーションセキュリティテスト)

SASTは、プログラムを実行せず、ソースコードやバイナリを解析して脆弱性につながる実装を検出する手法です。

開発の比較的早い段階から利用できるため、コーディング中に問題を発見・修正しやすいという特徴があります。

CI/CD環境に組み込み、継続的にソースコードをチェックする方法もあります。

DAST(動的アプリケーションセキュリティテスト)

DASTは、実際に稼働しているWebアプリケーションなどに対して外部からリクエストを送り、攻撃者に近い視点で脆弱性を検出する方法です。

SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなど、実行時に現れる問題を確認するのに適しています。

SCA(ソフトウェア構成分析)

現在のソフトウェア開発では、オープンソースのライブラリや外部パッケージを利用するケースが一般的です。

SCAは、アプリケーションが利用しているライブラリやパッケージを特定し、既知の脆弱性を含む依存コンポーネントが使用されていないか確認する手法です。

OWASP Top 10:2025でも「Software Supply Chain Failures」が上位のリスクとして挙げられており、アプリケーション本体だけでなく、利用するソフトウェア部品を管理する重要性が高まっています。

セキュリティコードレビュー

セキュリティコードレビューは、ソースコードを確認し、認証・認可、入力値処理、暗号化、エラー処理などに問題がないかを検証します。

自動ツールだけでは判断が難しい、業務ロジック固有の問題を発見できる可能性がある点がメリットです。

脆弱性スキャン・脆弱性診断

脆弱性スキャンは、自動化されたツールなどを使用して、既知の脆弱性や設定不備を効率的に調査する手法です。

脆弱性診断では、ツールによる検出結果に専門家による確認を加えることで、誤検知を減らしたり、より複雑な問題を調査したりする場合があります。

ペネトレーションテスト

ペネトレーションテストでは、攻撃者を想定したシナリオを作成し、実際の攻撃手法を用いてシステムへの侵入や権限拡大などを試みます。

「脆弱性が存在するか」だけでなく、「その脆弱性を組み合わせた場合に重要情報まで到達できるか」といった実際のリスクを評価するために有効です。

ファジング

ファジングは、想定していない値や大量のランダムデータなどをプログラムへ入力し、異常終了や予期しない挙動を発生させることで問題を発見するテストです。

特に入力値処理やプロトコル処理などの問題を発見する手段として利用されます。

対象別に見るセキュリティテスト

テスト方法だけでなく、「何をテストするのか」という対象によっても確認すべきポイントは異なります。

Webアプリケーション

Webアプリケーションでは、認証・認可、入力値処理、セッション管理、アクセス制御などを確認します。

SQLインジェクションやXSSだけでなく、権限チェックの不備によって他のユーザーの情報へアクセスできないかといった、業務ロジックに関わる問題も重要です。

API

APIでは、認証・認可の不足、パラメータ改ざん、レート制限、機密データの過剰な返却などを確認します。

WebサービスやモバイルアプリでAPI利用が増えているため、画面側だけでなくAPI単体でのテストも重要です。

モバイルアプリ

モバイルアプリでは、通信の暗号化、端末内へのデータ保存、認証情報の管理、APIとの通信などを確認します。

サーバー・ネットワーク

サーバーやネットワークでは、OSやミドルウェアの脆弱性、不要なポート、アクセス制御、ファイアウォール設定、古いソフトウェアの利用などを確認します。

クラウド環境

クラウドでは、IAMなどの権限設定、ストレージの公開範囲、ネットワーク設定、シークレット情報の管理など、クラウド特有の設定ミスを確認することが重要です。

セキュリティテストで確認する主な項目

Webアプリケーションのセキュリティを考える際には、OWASP Top 10が代表的な参考情報のひとつです。

現行のOWASP Top 10:2025では、「Broken Access Control(アクセス制御の不備)」「Security Misconfiguration(セキュリティ設定の不備)」「Software Supply Chain Failures(ソフトウェアサプライチェーンの問題)」「Cryptographic Failures(暗号化に関する問題)」「Injection(インジェクション)」などが挙げられています。

実際のセキュリティテストでは、次のような観点を確認します。

テスト観点主な確認内容
認証パスワード管理、MFA、アカウントロック、認証回避
認可・アクセス制御他ユーザーや管理者向けデータへの不正アクセス
入力値SQLインジェクション、OSコマンドインジェクション、XSSなど
セッションCookie属性、セッション固定、ログアウト、タイムアウト
API認証・認可、パラメータ改ざん、レート制限
暗号化TLS、保存データ、パスワードなどの保護
設定デバッグ機能、初期設定、不要ポート、公開設定
ライブラリ既知の脆弱性を含む依存パッケージ
ログ・監視不正アクセスや異常操作を検知できるか
エラー処理内部情報や機密情報がエラー画面から漏れないか

OWASP Top 10はWebアプリケーションセキュリティの代表的なリスクを理解するために役立ちますが、「Top 10だけ確認すれば安全」というものではありません。システムの用途や扱う情報に応じて、独自のリスクも含めてテスト項目を設計する必要があります。

代表的な攻撃手法

SQLインジェクション

SQLインジェクションは、入力値の処理に問題があるWebアプリケーションに不正なSQL文を入力し、データベースを意図しない形で操作する攻撃です。

悪用されると、データの閲覧・改ざん・削除などにつながる可能性があります。

OSコマンドインジェクション

OSコマンドインジェクションは、外部から受け取った入力値を不適切にOSコマンドへ渡している場合などに発生する脆弱性です。

攻撃に成功すると、サーバー上で意図しないコマンドを実行され、ファイルの閲覧・改ざんなどにつながる可能性があります。

クロスサイトスクリプティング(XSS)

XSSは、Webページへ不正なスクリプトを混入させ、利用者のブラウザ上で実行させる攻撃です。

サイトの構成によっては、利用者になりすました操作や機密情報の取得などにつながる可能性があります。

クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)

CSRFは、ログイン済みのユーザーに意図しないリクエストを送信させる攻撃です。

対策が不十分な場合、ユーザー本人が操作したかのように情報変更や各種処理を実行される可能性があります。

ディレクトリトラバーサル

ディレクトリトラバーサルは、ファイルパスの処理に問題があるシステムで、本来アクセスできないファイルへ不正にアクセスする攻撃です。

入力値の制御やアクセス権限の適切な設定などが必要になります。

アクセス制御の不備

アクセス制御の不備によって、本来権限のない利用者が他の利用者の情報や管理機能へアクセスできるケースがあります。

OWASP Top 10:2025でも「Broken Access Control」が最上位に挙げられており、単純なURL推測への対策だけではなく、サーバー側で適切に権限を確認することが重要です。

手動診断とツール診断はどちらがよい?

結論として、どちらか一方ではなく、目的やリスクに応じて組み合わせることが重要です。

項目ツール診断手動診断
スピード比較的速い時間がかかる
コスト比較的抑えやすい高くなりやすい
広範囲の確認得意工数が増える
既知脆弱性の検出得意対応可能
業務ロジックの問題苦手な場合がある発見しやすい
複雑な攻撃シナリオ限界がある対応しやすい

ツール診断は、多数のページやサーバーを効率的にチェックしたい場合に適しています。

一方、人間の判断が必要な権限管理の問題や、複数の操作を組み合わせた攻撃、業務ロジック固有の脆弱性などは、ツールだけでは検出できない場合があります。

そのため、まず自動化できる範囲をツールで広く確認し、重要なシステムや高リスクな機能について専門家による手動診断を組み合わせる方法が現実的です。

セキュリティテストはいつ実施する?

セキュリティテストは「リリース直前に一度だけ実施するもの」ではありません。

開発ライフサイクル全体へセキュリティテストを組み込むことが重要です。

設計段階

設計段階では、認証・認可の仕組みやデータの扱い方、システム構成などを確認します。

実装後に設計上の問題が発覚すると大きな修正が必要になるため、早期にリスクを洗い出すことが重要です。

開発中

開発中には、SASTやSCA、コードレビューなどを利用して、ソースコードや依存ライブラリに問題がないか確認します。

CI/CDにセキュリティテストを組み込むことで、継続的に確認することも可能です。

リリース前

本番に近い環境でDASTや脆弱性診断などを行い、外部から攻撃された場合に問題がないか確認します。

重要度の高いサービスでは、必要に応じてペネトレーションテストも検討します。

リリース後

新たな脆弱性が発見されたり、システム構成が変化したりするため、公開後も継続的な確認が必要です。

特に大規模な機能追加、インフラ変更、認証方式の変更、重要なライブラリの更新などを行った場合は、再度テストすることが重要です。

セキュリティテストの実施手順

1. 目的と対象範囲を決める

まず「何のためにテストするのか」「どこまでを対象とするのか」を明確にします。

Webアプリケーション全体を対象にするのか、決済機能や管理画面など特定機能を重点的に確認するのかによって、必要なテスト手法や工数が変わります。

2. テスト方法・項目を決める

対象システムの特徴とリスクを踏まえて、SAST、DAST、SCA、脆弱性診断、ペネトレーションテストなどから必要な方法を選択します。

同時に、認証・認可、入力値、API、暗号化など、確認する項目も具体化します。

3. セキュリティテストを実施する

決めた計画に基づいてテストを行います。

本番環境に対して負荷の高いテストや攻撃を模擬したテストを行う場合は、サービスへの影響を考慮し、関係者と事前に実施方法や時間帯を調整する必要があります。

4. 脆弱性のリスクを評価する

発見された脆弱性について、単純な件数だけでなく、悪用のしやすさや発生した場合の影響などを踏まえて優先順位を決定します。

重大な脆弱性から優先して修正できるよう整理することが重要です。

5. 修正・再テストを行う

開発チームが問題を修正した後、本当に脆弱性が解消されているか再テストを行います。

修正によって新しい問題が生じていないかを確認することも重要です。

セキュリティテストの費用は何で決まる?

セキュリティテストの費用は、対象システムやテスト方法によって大きく異なります。

特に費用へ影響しやすいのが、対象範囲、画面やAPIの数、ツール診断と手動診断の割合、ペネトレーションテストの有無、報告書の内容、再診断の有無です。

例えば、小規模なWebサイトを自動ツール中心で診断する場合と、複数のWebアプリ・API・ネットワークを専門家が手動で詳しく確認する場合とでは、必要な工数が大きく異なります。

見積もりを比較する際は、単純な金額だけでなく、

「どこまでが診断対象か」「手動診断は含まれるか」「報告書にはどの程度具体的な修正方法が記載されるか」「修正後の再診断は含まれるか」

といった条件を確認することが重要です。

セキュリティテストは内製と外注のどちらがよい?

すべてのセキュリティテストを外部へ依頼する必要があるわけではありません。

SASTやSCA、自動スキャンなど、開発工程へ継続的に組み込みやすいテストは内製化するメリットがあります。

一方で、専門的な手動診断やペネトレーションテストでは、高度なセキュリティ知識や攻撃手法への理解が必要です。

特に重要なシステムについては、日常的なテストを自社で実施しつつ、リリース前や一定期間ごとに第三者の専門家による評価を受ける方法もあります。

外部の事業者を選定する場合は、実績だけでなく、対象分野への専門性や診断方法、報告書の内容、再診断・修正支援の有無などを確認するとよいでしょう。

IPAでは、一定の基準を満たした情報セキュリティサービスを掲載する「情報セキュリティサービス基準適合サービスリスト」を公開しており、脆弱性診断サービスやペネトレーションテストサービスも確認できます。

セキュリティテストを実施する際の注意点

目的と範囲を明確にする

「セキュリティテストを実施すること」自体が目的にならないよう注意が必要です。

守りたい情報や想定する攻撃、対象システムを明確にし、それに合ったテストを選択します。

本番環境への影響を考慮する

脆弱性スキャンやペネトレーションテストの内容によっては、大量の通信や意図しないデータ変更などが発生する可能性があります。

本番環境で実施する場合は、影響範囲を十分に確認し、バックアップや緊急連絡体制なども準備しておくことが重要です。

必ず事前に許可を得る

攻撃を模擬するテストを、許可なく他社や第三者のシステムに対して実施してはいけません。

対象範囲、実施方法、実施時間などを事前に合意し、必要な権限を得たうえで行います。

ツールの結果をそのまま信用しない

自動ツールでは誤検知が発生する場合がある一方、ツールだけでは発見できない脆弱性もあります。

検出結果について、人間が内容を確認し、実際のリスクを評価することが重要です。

テスト後の修正と再確認まで行う

脆弱性を発見しただけではセキュリティは改善されません。

修正し、再テストで問題が解消されたことを確認するところまでを一連のプロセスとして管理する必要があります。

定期的に見直す

攻撃手法や脆弱性は変化し続けます。

一度テストを実施したことをもって「安全」と判断するのではなく、システム変更や新たな脅威に応じてテスト項目を見直すことが大切です。

セキュリティテストを効率的に進めるためにはテスト管理も重要

セキュリティテストでは、テストケースを作成して終わりではありません。

「どの項目をいつテストしたか」「どの環境で問題が発生したか」「誰が修正を担当しているか」「再テストの結果はどうだったか」など、多くの情報を継続的に管理する必要があります。

特に通常の機能テストや回帰テストとセキュリティテストを並行して実施するプロジェクトでは、Excelや個別のドキュメントだけで管理すると、テストケースや実施状況が分散しやすくなります。

テスト管理ツールを利用すれば、テストケース、実施結果、課題、再テストの履歴などを一元管理しやすくなります。

PractiTestのようなテスト管理ツールを活用し、通常のソフトウェアテストとあわせてセキュリティテストの状況も可視化することで、継続的な品質・セキュリティ改善につなげやすくなります。

セキュリティテストに関するよくある質問

セキュリティテストと脆弱性診断は同じですか?

同じではありません。

セキュリティテストは、システムの安全性を確認する活動全体を指す広い概念です。脆弱性診断はその中のひとつで、主にシステムやアプリケーションに存在する脆弱性を発見することを目的としています。

脆弱性診断とペネトレーションテストの違いは何ですか?

脆弱性診断は「どのような弱点が存在するか」を広く洗い出すことを目的とします。

一方、ペネトレーションテストは実際の攻撃を模擬し、「その弱点を悪用するとどこまで侵入でき、どのような被害につながるか」を検証します。

目的が異なるため、システムの重要度によって使い分けることが重要です。

セキュリティテストはどのくらいの頻度で実施すべきですか?

すべてのシステムに共通する一律の頻度があるわけではありません。

新規リリース前、大規模な機能追加後、インフラ構成変更後などには実施を検討すべきです。また、重要なシステムでは定期的に診断を行い、継続的にリスクを確認することが望まれます。

セキュリティテストは自社でもできますか?

SAST、SCA、脆弱性スキャンなど、自動化しやすいテストは自社の開発工程へ組み込むことができます。

一方、高度な手動診断やペネトレーションテストには専門知識が必要になるため、必要に応じて外部の専門会社を活用するとよいでしょう。

セキュリティテストをすれば100%安全になりますか?

セキュリティテストを実施しても、すべてのサイバー攻撃を完全に防げるわけではありません。

テストは、現時点で把握できる脆弱性やリスクを発見し、攻撃される可能性を低減するための取り組みです。

新しい脆弱性や攻撃手法は継続的に現れるため、テストだけでなく、パッチ管理、監視、アクセス管理、インシデント対応などを組み合わせた継続的なセキュリティ対策が必要です。

まとめ

セキュリティテストとは、システムやWebアプリケーション、ネットワークなどに脆弱性や設定不備がないかを確認し、サイバー攻撃による被害を防ぐためのテストです。

セキュリティテストには、SAST、DAST、SCA、コードレビュー、脆弱性診断、ペネトレーションテストなど、さまざまな方法があります。

重要なのは、すべてのテストを一度に実施することではありません。

システムの重要度や開発工程、想定されるリスクを踏まえ、必要なテストを適切なタイミングで組み合わせることが大切です。

また、セキュリティテストは「問題を発見すること」で終わりではありません。発見した脆弱性を修正し、再テストを行い、その結果を次の開発へ反映することで、継続的にセキュリティを高めることができます。

システムやサービスを安全に提供し続けるためにも、セキュリティテストを開発・運用プロセスの一部として取り入れていきましょう。

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この記事の監修

Dr.T。テストエンジニア。
PractiTestエバンジェリスト。
大学卒業後、外車純正Navi開発のテストエンジニアとしてキャリアをスタート。DTVチューナ開発会社、第三者検証会社等、数々のプロダクトの検証業務に従事。
2017年株式会社モンテカンポへ入社し、マネージメント業務の傍ら、自らもテストエンジニアとしテストコンサルやPractiTestの導入サポートなどを担当している。

記事制作:川上サトシ(マーケター、合同会社ぎあはーと代表)