QAテスターに必要な5つのスキル
QAテスターは、ソフトウェア開発において品質保証を担う重要な役割を担っています。
開発されたソフトウェアが、仕様書通りに正しく動作するか、ユーザーにとって使いやすいものになっているかなどを検証し、バグや不具合を発見することで、高品質なソフトウェアのリリースに貢献します。
QAテスターが成功するために必要なスキルと知識は、テクノロジーの変化に応じて進化しています。そのため、QAテスターは、常に最新の技術やトレンドを学び続ける必要があります。
そこで今回は、これらの必須スキルを中心に、QAテスターに求められるスキルについて詳しく解説していきます。
コミュニケーションスキル
QAテスターにとって、コミュニケーション能力は最も重要なスキルの一つです。
2023年のテスト状況調査によると、回答者の69%が、ソフトウェアテスターにとって必須のスキルとして、効果的なコミュニケーションを最優先に挙げています。
これは、QAテスターが、開発者やプロジェクトマネージャー、顧客など、様々な関係者とコミュニケーションを取る必要があるためです。
QAの役割とコミュニケーションの重要性
QAテスターは、ソフトウェア開発プロジェクトにおいて、品質保証の役割を担います。開発されたソフトウェアが、仕様書通りに正しく動作するか、ユーザーにとって使いやすいものになっているかなどを検証し、バグや不具合を発見することで、高品質なソフトウェアのリリースに貢献します。
そのため、QAテスターは、開発者や製品所有者など、様々な関係者と協力して仕事を進める必要があり、その過程で効果的なコミュニケーションが不可欠となります。
例えば、
・開発者に対しては、発見したバグの詳細を正確に伝え、修正を依頼する必要があります。 ・プロジェクトマネージャーに対しては、テストの進捗状況や課題を報告する必要があります。 ・顧客に対しては、製品の品質に関する情報を提供する必要があります。 |
危険信号を発するためのコミュニケーション
QAプロセス中に重大な欠陥やバグを発見した場合、QAテスターは、明確かつ簡潔にその情報を関係者に報告する必要があります。
報告する際には、
・問題の内容 ・再現手順 ・発生環境 ・影響範囲 |
などを具体的に記述し、開発者が迅速に問題を解決できるように支援する必要があります。
文書化と改善提案にもコミュニケーションが必要
QAテスターは、テストケースやテスト計画の文書化、改善提案などを行う際にも、効果的なコミュニケーション能力を発揮する必要があります。
・文書化: テストケースやテスト計画を分かりやすく文書化することで、チームメンバー間で情報を共有し、テストの効率化を図ることができます。 ・改善提案: テストプロセスや開発プロセスにおける問題点や改善点を特定し、具体的な提案を行うことで、ソフトウェアの品質向上に貢献することができます。 |
このように、QAテスターにとって、コミュニケーション能力は、テストスキルと同様に重要なスキルです。
コミュニケーション能力を高めることで、
・チームメンバーとの連携を強化し、より効率的にテストを進めることができます。 ・問題発生時の迅速な対応が可能になり、プロジェクトの遅延を防ぐことができます。 ・顧客や関係者との信頼関係を築き、より良い製品開発に繋げることができます。 |
テスト設計スキル
QAテスターにとって、テスト設計スキルも非常に重要です。2023年のテスト状況調査によると、回答者の63%が、テスト設計を重要なスキルとして挙げています。
テスト設計の重要性
テスト設計とは、テストの目的を明確にし、テストケースを作成するプロセスです。効果的なテスト設計は、テストの効率化とソフトウェアの品質向上に不可欠です。
テストを開始する前に、何にどのように重点を置くべきかを把握しておく必要があります。テスト設計スキルを持つことで、限られた時間とリソースの中で、効果的なテスト計画を立てることができます。
テスト設計の目的は、エンドユーザーの現実のシナリオを含め、ソフトウェアの全ての側面を効果的にテストすることです。
テスト設計の効果
効果的なテスト設計を行うことで、
・テスト範囲が広がります。 ・不要なテストにかかる時間やリソースを削減できます。 ・テストの精度が向上し、バグや不具合の検出率を高めることができます。 ・テスト工程の効率化に繋がり、開発期間の短縮に貢献することができます。 |
専任以外のテスターの増加とテスト設計の重要性
近年では、専任のQAテスターだけでなく、製品所有者やビジネスユーザーがソフトウェアテストに参加するケースが増えています。
これは、
・開発プロセス全体における品質意識向上 ・ユーザー視点でのテスト実施 |
といったメリットがあります。
しかし、テストの専門家ではない彼らが、効果的なテストケースを作成することは容易ではありません。そのため、テスト専門家であるQAテスターが、テストケースやシナリオを作成し、彼らをサポートすることが重要になります。
QAテスターが効果的なテスト設計を行うことで、専任以外のテスターも効率的にテストに参加し、より質の高いソフトウェア開発に繋げることができます。
テスト自動化ツールの使用スキル
ソフトウェアテストの自動化は、開発プロセスを効率化し、品質向上を加速させるために非常に重要です。
調査によると、テスト自動化の重要性は年々増加しており、2023年の調査では、参加者の59%が、テスト自動化のパターン、原則、実践が重要であると回答しています。
これは、Selenium、Appium、Cypress、MagicPodなどの幅広い自動化ツールが利用可能になり、短時間でテストを実行できるようになったためです。
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テスト担当者に求められるスキル
テスト自動化を効果的に行うためには、QAテスターはプログラミング言語に関する広範な知識を習得する必要があります。
特に、
・Java ・JavaScript ・Python |
といった言語は、テストスクリプトの作成や自動化フレームワークの設計に役立ちます。
これらの言語を習得することで、テスト自動化ツールを効果的に使いこなすことができ、より効率的なテストプロセスを構築することができます。
アジャイルやDevOps環境での自動化の重要性
アジャイル開発やDevOpsは、ソフトウェア開発を迅速に進めるための手法です。
アジャイル開発は、短いサイクルで開発とテストを繰り返すことで、柔軟性と効率性を高める開発手法です。
DevOpsは、開発チームと運用チームが連携し、開発プロセス全体を自動化することで、迅速なリリースと安定した運用を実現する手法です。
これらの開発手法では、反復を短縮し、迅速なソフトウェア配信を目指します。そのため、テスト自動化は必須のスキルとなります。
自動化ツールとテスト管理プラットフォームを組み合わせることで、テストの効率を向上させ、迅速かつ確実なリリースを可能にします。
自動化ツールの知識の重要性
QAテスターは、自動化ツールの操作に関する経験や知識を深めることで、市場価値を高め、キャリアアップに繋げることができます。
具体的には、
・テスト自動化エンジニア ・テストアーキテクト ・QAリーダー |
など、より高度な専門性を活かしたキャリアパスを選択できる可能性があります。
また、自動化スキルは、開発チーム全体の効率化に貢献するため、チーム内での評価向上にも繋がります。
テスト自動化は、QAテスターにとって、必須スキルになりつつあります。積極的に自動化ツールを学び、活用することで、自身の市場価値を高め、キャリアアップを目指しましょう。
APIテストのスキル
APIテストとは、アプリケーションのAPI(Application Programming Interface)をテストすることです。APIとは、異なるソフトウェアコンポーネント間の相互作用を可能にするメッセンジャーのようなものです。
例えば、ECサイトで商品を購入する際、決済処理を行うために外部の決済サービスと連携する必要があるケースがあります。この連携をスムーズに行うために、APIが使われています。
APIテストは、ソフトウェアテストの中でも特に重要性が高まっており、2023年の調査では、55%の回答者がAPIテストを重要なスキルとして挙げています。
APIテストの役割
APIテストでは、アプリケーションのGUI(Graphical User Interface)ではなく、APIを直接操作してテストを行います。これにより、アプリケーションの中核となるビジネスロジック層を検査することができます。
APIテストを通じて、
・機能性:APIが仕様書通りに動作するか ・セキュリティ:APIがセキュリティ要件を満たしているか ・パフォーマンス:APIが適切な速度で応答するか ・信頼性:APIが安定して動作するか |
といった重要な側面を検証することができます。
アジャイルおよびDevOps環境での重要性
アジャイル開発やDevOps環境では、迅速な開発サイクルと頻繁なリリースが求められます。そのため、GUIテストよりも迅速に実行でき、保守が容易なAPIテストが重要になります。
APIテストは、GUIを持たないため、自動化に適しています。自動テストを導入することで、テスト工程を効率化し、開発サイクルを短縮することができます。
開発初期段階での活用
APIテストは、開発の初期段階から使用することができます。GUIが完成する前にAPIテストを実施することで、問題を早期に発見し、バグ修正コストを削減することができます。
APIテストスキルの効果
APIテストスキルを習得することで、QAテスターはソフトウェアの品質、信頼性、効率を向上させることができます。
また、APIテストは、近年需要が高まっているスキルであるため、習得することで、QAテスターとしての市場価値を高め、キャリアアップに繋がる可能性があります。
機能テストの自動化スキル
ソフトウェアテストにおいて、機能テストは基本的なテストであり、重要な役割を担います。
2023年の調査では、55%の回答者が、機能テストの自動化を重要なスキルとして挙げており、必須スキルトップ5にランクインしています。
機能テストの役割
機能テストとは、ソフトウェアが仕様書通りに動作するかを確認するテストです。具体的には、ユーザーの操作をシミュレートし、ソフトウェアが期待通りの動作をするか、エラーが発生しないかなどを検証します。
機能テストは、ソフトウェアがビジネス要件やエンドユーザーのニーズに従って動作することを検証するための重要なプロセスです。
手動テストの欠点
従来の機能テストは、手動で行われることが一般的でした。しかし、手動テストには、以下のような欠点があります。
・時間がかかる:テストケースを一つずつ手動で実行するため、時間がかかります。 ・人的ミスが発生しやすい:人間が行う作業であるため、操作ミスや確認ミスなどの人的ミスが発生する可能性があります。 ・再現性が低い:テスト環境やテスターのスキルによって、テスト結果が異なる可能性があります。 |
これらの欠点は、ソフトウェアの品質低下や開発コストの増加に繋がる可能性があります。
自動化ツールの使用による利点
そこで、近年注目されているのが、機能テストの自動化です。Selenium、Appium、Cypress、MagicPodなどの自動化ツールを使用することで、機能テストを効率化し、品質向上を図ることができます。
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自動化ツールを使用する利点は、以下の点が挙げられます。
・再利用可能なテストスクリプトの作成:一度作成したテストスクリプトは、繰り返し使用することができます。 ・迅速かつ効果的なテスト実行:自動化ツールは、人間よりも高速かつ正確にテストを実行することができます。 ・品質の向上:テストの精度が向上し、バグや不具合の検出率を高めることができます。 ・効率化:テストサイクルを短縮し、開発期間を短縮することができます。 ・一貫したテストの実行:常に同じ条件でテストを実行できるため、テスト結果の一貫性を保つことができます。 |
これらの利点により、自動化ツールは、ソフトウェアの品質向上、テストサイクルの短縮、一貫したテストの実行を実現し、最終的にはエンドユーザーの満足度向上に繋がります。
機能テストの自動化は、QAテスターにとって重要なスキルです。自動化ツールを効果的に活用することで、テスト業務を効率化し、ソフトウェアの品質向上に貢献することができます。
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この記事の監修
Dr.T。テストエンジニア。
PractiTestエバンジェリスト。
大学卒業後、外車純正Navi開発のテストエンジニアとしてキャリアをスタート。DTVチューナ開発会社、第三者検証会社等、数々のプロダクトの検証業務に従事。
2017年株式会社モンテカンポへ入社し、マネージメント業務の傍ら、自らもテストエンジニアとしテストコンサルやPractiTestの導入サポートなどを担当している。
記事制作:川上サトシ