QAチーム向けのIoTテストツール10選

近年、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)が急速に普及し、様々なデバイスがインターネットに接続されるようになりました。

これは、私たちの生活をより便利にする一方で、セキュリティリスクを高める可能性も孕んでいます。

IoTデバイスは、従来のコンピュータとは異なり、処理能力やメモリ容量が限られていることが多く、セキュリティ対策が十分でない場合があります。

そのため、IoTデバイスはサイバー攻撃の標的になりやすく、情報漏洩やシステムダウンなどの被害が発生するリスクがあります。

このようなリスクを最小限に抑えるためには、IoTテストツールが不可欠です。

IoTテストツールは、IoTデバイスのパフォーマンスや機能、セキュリティなどを検証するためのツールです。

適切なテストを実施することで、IoTデバイスの脆弱性を早期に発見し、対策を講じることができます。

この記事では、IoTテストツールの概要、種類、そしてツール選定のポイントについて解説します。

様々なIoTテストツールを比較することで、自社の課題解決に役立つ最適なツールを見つけることができるでしょう。

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IoTテストの種類

IoTテストは、様々な観点からIoTデバイスの品質を検証するプロセスです。

ここでは、代表的なIoTテストの種類とその目的について解説します。

1. ユーザビリティテスト

ユーザビリティテストは、IoTデバイスがユーザーにとって使いやすいかどうかを評価するテストです。

具体的には、

・デバイスの操作性

・UI/UXデザイン

・ユーザーマニュアルの分かりやすさ

などを検証します。

2. 互換性テスト

IoTデバイスは、様々なデバイスやシステムと連携して動作することが求められます。

互換性テストでは、異なるOS、ブラウザ、デバイス、通信規格などとの互換性を検証します。

3. 信頼性とスケーラビリティテスト

信頼性テストでは、IoTデバイスが安定して動作するか、長期間にわたって信頼性を維持できるかを検証します。

スケーラビリティテストでは、大量のデータや多数のデバイスに対応できるかを検証します。

4. パフォーマンステスト

パフォーマンステストでは、IoTデバイスのパフォーマンスを検証します。

具体的には、

・応答速度

・データ処理能力

・電力消費量

などを測定します。

5. セキュリティテスト

セキュリティテストでは、IoTデバイスのセキュリティを検証します。

具体的には、

・認証/認可の仕組み

・データの暗号化

・脆弱性

などを検証します。

6. 接続性テスト

接続性テストでは、IoTデバイスがネットワークに接続できるか、安定した通信を維持できるかを検証します。

様々なネットワーク環境や通信状況を想定してテストを行う必要があります。

7. パイロットテスト

パイロットテストは、実際の環境でIoTデバイスをテストすることです。

例えば、スマートホームデバイスであれば、実際の家庭環境でテストを行います。

これにより、実運用における課題や問題点を発見することができます。

これらのテストを組み合わせることで、IoTデバイスの品質を多角的に評価し、高品質な製品開発に繋げることができます。

比較基準

IoTテストツールは、様々な製品が提供されており、それぞれ機能や特徴が異なります。

最適なツールを選定するためには、以下の基準を参考に比較検討することが重要です。

ユーザーインターフェイス (UI)

IoTテストツールは、多様なデバイスを操作し、大量のデータを扱う必要があるため、分かりやすく操作しやすいUIであることが重要です。

直感的に操作できるUIであれば、学習コストを抑え、すぐに使い始めることができます。

また、視覚的に情報が整理されているUIであれば、テスト状況や結果を容易に把握することができます。

使いやすさ

IoTテストツールは、様々な役割の人が利用します。

そのため、初心者から上級者まで、誰でも簡単に使いこなせるツールであることが重要です。

複雑な設定や操作が必要なツールは、学習コストが高く、導入のハードルが上がってしまいます。

マニュアルやチュートリアルが充実しているか、サポート体制が整っているかなども、使いやすさを評価する上で重要なポイントです。

統合

IoTテストツールは、他のソフトウェアツールと連携して動作することが多いため、統合性も重要な要素です。

例えば、テスト管理ツールやバグトラッキングシステムと連携できることで、テスト工程全体を効率化することができます。

また、CI/CDツールと連携することで、テストの自動化を促進することができます。

ツール選定の際には、既存のシステムとの連携を考慮し、互換性があるかどうかも確認しましょう。

費用対効果

IoTテストツールは、費用対効果も重要な選定基準となります。

ツールによって、価格や提供される機能が異なるため、自社の予算と必要な機能を考慮して、最適なツールを選ぶ必要があります。

無料で利用できるツールもありますが、機能が限定的である場合もあります。

有料ツールは、高機能でサポートも充実している場合が多いですが、導入コストが高くなる可能性があります。

ツール選定の際には、無料トライアルやデモ版などを利用して、実際にツールを試してみることをおすすめします。

これらの基準を参考に、自社のニーズに合ったIoTテストツールを選定しましょう。

IoTセキュリティテストの主な機能

IoTセキュリティテストツールは、IoTデバイスのセキュリティを検証するための様々な機能を備えています。

ここでは、IoTセキュリティテストツールに求められる主な機能を紹介します。

ネットワークと接続のスキャン

IoTデバイスは、ワイヤレスでデータを送信するため、ネットワークパケットをスキャン、検出、精査するトラフィック監視技術が不可欠です。

不正アクセスやデータ漏洩などの脅威からデバイスを保護するために、ネットワークトラフィックを監視し、異常な通信を検知する必要があります。

また、IoTデバイスがネットワークに接続された後、接続の強度を評価することも重要です。

接続が不安定な場合、データの送受信が途絶えたり、遅延が発生したりする可能性があり、システム全体の安定性に影響を与える可能性があります。

自動化されたセキュリティテスト

IoTセキュリティテストツールは、データの暗号化、脅威の検出、リスクの評価、脆弱性のスキャンなど、様々なセキュリティテストを自動的に実行する機能を備えています。

自動テスト機能を活用することで、手動テストに比べて、効率的にセキュリティテストを実施することができます。

また、人的ミスを減らし、テストの精度を高めることもできます。

相互運用性

IoTデバイスは、様々なプラットフォームやツールと連携して動作するため、相互運用性も重要な要素です。

異なるプラットフォームやツールとの連携性を検証することで、IoTデバイス間で一貫性のある、高品質なエンドユーザー体験を提供することができます。

例えば、スマートホーム環境では、照明、エアコン、セキュリティシステムなど、様々なメーカーのデバイスが連携して動作することが求められます。

相互運用性テストは、これらのデバイスが互いに連携し、問題なく動作することを確認するために重要です。

スケーラビリティ

IoTエコシステムは、今後ますます拡大していくと予想されます。

そのため、IoTセキュリティテストツールは、デバイスの増加に応じてテスト範囲を拡張できるスケーラビリティが求められます。

大量のエンドポイントを処理できるツールを選定することで、将来的なシステム拡張にも対応することができます。

また、クラウドベースのツールであれば、必要な時に必要なだけリソースを拡張できるため、スケーラビリティの面で優れています。

IoTセキュリティテストツールは、これらの機能を備えていることで、IoTデバイスのセキュリティを効果的に検証し、安全なIoT環境を構築することができます。

IoTテストツールの紹介

IoTテストツールは、様々な種類があり、それぞれ異なる機能や特徴を持っています。

ここでは、代表的なIoTテストツールを10個紹介し、それぞれのメリット・デメリットを比較することで、ツール選定の参考になる情報提供を目指します。

1. Mobot

実機を使ったテストを自動化したいならコレ!

Mobotは、実際のロボットを使用してモバイルアプリとIoTデバイスの自動テストを行うことができるツールです。

ロボットアームを使って、スマートフォンやタブレット、スマート家電などを操作し、様々なテストシナリオを自動実行することができます。

Mobotは、クロスプラットフォームのテストに対応しており、iOS、Android、Webなど、様々なプラットフォームで動作するアプリをテストすることができます。

また、AIを活用してテストスクリプトを進化させる機能も備えています。

Mobotは、30日間の無料トライアルが利用可能です。

2. Datadog

システム全体の監視とパフォーマンス分析ならコレ!

Datadogは、IT管理者向けのクラウドベースのインフラ監視ツールです。

IoTデバイスを含む、システム全体の監視、ログ管理、アプリケーションパフォーマンスの最適化、セキュリティ監視などを提供します。

Datadogは、14日間の無料トライアルが利用可能です。

3. Appknox

モバイルアプリのセキュリティテストに特化したいならコレ!

Appknoxは、モバイルアプリのセキュリティテストに特化したツールです。

脆弱性評価やDevSecOpsの実装に役立ちます。

価格は見積もりベースです。

4. Bevywise IoT Simulator

MQTTプロトコルのシミュレーションならコレ!

Bevywise IoT Simulatorは、IoTアプリケーションとMQTTプロトコルのシミュレーションツールです。

物理デバイスなしで、仮想デバイスをシミュレートし、テストを行うことができます。

複数の価格帯があり、サポートされるクライアント数に応じて異なります。

5. IBM Watson IoT Platform

AIを活用したデータ分析ならコレ!

IBM Watson IoT Platformは、リアルタイムのIoTモニタリングを提供するクラウドプラットフォームです。

センサーやデバイスのデータを管理し、AI主導の分析を実行することができます。

6. AWS IoT Device Defender

AWSでIoTセキュリティ対策をしたいならコレ!

AWS IoT Device Defenderは、AWSが提供するIoTデバイスのセキュリティ管理ツールです。

デバイスの継続的な監視、認証、異常検出、暗号化などを提供します。

使用量に基づいた課金モデルです。

7. Sensu

大規模なIoTシステムの監視ならコレ!

Sensuは、イベントパイプラインを構築し、インフラ全体の監視を自動化するツールです。

Kubernetesなどのクラウドプラットフォームと統合し、大規模な監視に対応できます。

ノードごとの価格設定です。

8. MATLAB

データ分析とシミュレーションならコレ!

MATLABは、データ駆動型のモデルを構築し、IoT分析やシミュレーションが可能なツールです。

クラウドやエッジデバイス向けの自動展開に対応しています。

価格は要見積もりです。

9. Shodan

IoTデバイスの脆弱性スキャンならコレ!

Shodanは、インターネットに接続されたデバイスを検索し、セキュリティの脆弱性を確認できるツールです。

APIを介して監視やアラート機能を提供します。

月額69ドルからのプランがあります。

10. CloudTest

負荷テストでパフォーマンスを検証したいならコレ!

CloudTestは、リアルタイムでの負荷テストを提供し、システムが急なユーザーの増加に対応できるかを評価するツールです。

CI/CDパイプラインに統合することも可能です。

価格は要問い合わせです。

IoTテストツールの比較

ツールトライアル情報価格URL
Mobot30日間の無料トライアル$1,500/月/アクション (タップ、スワイプ、クリックなど)https://www.mobot.io/?utm_source=ppc&utm_medium=software-select&utm_campaign=best-iot-testing-tool
Datadog14日間の無料トライアルユーザーあたり月額 15 ドルから (毎年請求)https://crozdesk.com/software/datadog/
Appknox利用不可ご要望に応じて価格設定https://crozdesk.com/software/appknox/
Bevywise IoT シミュレータ利用不可ご要望に応じて価格設定https://crozdesk.com/software/bevywise-iot-simulator/
IBM Watson IoT プラットフォーム利用不可https://www.ibm.com/cloud/internet-of-things?r=qal-iottt
AWS IoT デバイスディフェンダー利用不可ご要望に応じて価格設定https://aws.amazon.com/jp/iot-device-defender/?r=qal-iottt
Sensu14日間の無料トライアルノードあたり月額 5 ドルからhttps://sensu.io/?r=qal-iottt
MATLAB利用不可ご要望に応じて価格設定可能https://www.mathworks.com/solutions/internet-of-things.html?r=qal-iottt
Shodan利用不可月額69ドルからhttps://www.shodan.io/about/products?r=qal-iottt
CloudTest利用不可ご要望に応じて価格設定https://www.akamai.com/products/cloudtest?r=qal-iottt

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この記事の監修

Dr.T。テストエンジニア。
PractiTestエバンジェリスト。
大学卒業後、外車純正Navi開発のテストエンジニアとしてキャリアをスタート。DTVチューナ開発会社、第三者検証会社等、数々のプロダクトの検証業務に従事。
2017年株式会社モンテカンポへ入社し、マネージメント業務の傍ら、自らもテストエンジニアとしテストコンサルやPractiTestの導入サポートなどを担当している。

記事制作:川上サトシ