UATテストケース作成の悩みを解決!効率化と品質向上を両立させる実践ガイド
新しいプロジェクトにアサインされ、UATテストケースの作成を担当することになったけど、
「何から手をつければいいのか分からない…」
「漏れや抜けがないか不安…」
「もっと効率的に作成できないかな…」
そんな悩みを抱えていませんか?
そこで今回は、UATテストケース作成の具体的な手順やポイント、効果的なテストケースを作成するためのノウハウ、そして効率化のためのツールやテンプレートまで解説します。
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UATテストケース作成の基本をマスターしよう!
UATテストとは?
UAT(User Acceptance Test:ユーザー受け入れテスト)とは、システム開発の最終段階で行われるテストです。
主に発注者によって実施され、開発者が作ったシステムが実際にユーザーの要件を満たしているか、使いやすいかなどを検証します。
UATは、システムがリリースされる前に、ユーザー視点で最終確認を行う重要な機会です。ここで問題を発見し修正することで、リリース後の手戻りやユーザーからのクレームを未然に防ぐことができます。
▼UATテストの詳細についてはこちらの記事へ▼
テストケース作成の流れ
UATテストケースの作成は、一般的に以下の流れで行います。
1.要件定義書や仕様書を確認する:まずは、システムの要件や仕様をしっかりと理解しましょう。 2.テスト観点を洗い出す:どのような観点でテストを行うべきか、テスト項目を洗い出します。 3.テストケースを作成する:テスト項目ごとに、具体的なテスト手順や期待結果を記述します。 4.テストケースをレビューする:作成したテストケースに漏れや抜けがないか、他のメンバーにレビューしてもらいましょう。 5.テストケースを実行する:実際にシステムを操作し、テストケースを実行します。 6.テスト結果を記録する:テスト結果を記録し、バグや問題点があれば開発チームに報告します。 |
テストケースに含めるべき項目
テストケースには、以下の項目を含めるようにしましょう。
・テストケースID:テストケースを一意に識別するための番号です。 ・テスト項目:テストする機能や操作を具体的に記述します。 ・テストデータ:テストに使用する入力データや条件を記述します。 ・期待結果:テストを実行した際に、システムがどのように動作するべきかを記述します。 ・実行結果:テストを実行した結果を記述します。 ・備考:その他、テストに関する補足情報を記述します。 |
これらの項目を漏れなく記述することで、テストケースの品質を高め、テストの実施をスムーズに行うことができます。
効果的なテストケースを作成するためのノウハウ
ユーザー視点でのテストケース作成
UATテストケースを作成する際は、常にエンドユーザーを意識することが重要です。
開発者目線ではなく、ユーザーが実際にシステムをどのように利用するかを考え、それに基づいたテストケースを作成しましょう。
例えば、ECサイトの購入手続きであれば、
・「商品をカートに入れた後、数量を変更できるか」 ・「送料無料条件を満たした場合、送料が正しく無料になるか」 ・「支払い方法を変更した場合、金額が正しく再計算されるか」 |
といった、ユーザーが実際に操作する可能性のあるシナリオを想定したテストケースを作成することが重要です。
テストケース作成に役立つ設計技法
同値分割と境界値分析というふたつの技法を活用することでテストケース数を効率よく削減することができます。
同値分割
同値分割法では、まずシステムやソフトウェアへの入力データを同じ処理が行われるグループへ分割します。グループ内のデータはシステムやソフトウェアで同じ処理が行われるため、同じもの(同値といいます)とみなされます。
つまり、グループ内の代表的なデータを1つ選び、そのデータを使ってテストすれば同じグループの他のデータもテストしたものとみなせるため、全てのデータをテストせずとも問題はなく、テスト件数を減らして効率化することができます。
同値分割したグループ(同値クラスといいます)には、正常なデータのグループだけではなく、不正なデータグループも考えます。
例えば「20歳以上100歳未満」という条件がある入力欄の場合、20〜99の数字は何を入れても変化の余地がないため同値クラスとなります。なのでその中のどれかを代表値として1つのみ確認すれば良いとのことになります。
境界値分析
境界値分析とは、同値分割で得られた同値クラスの端となる値(およびその前後の値)を明らかにして、それをテストデータとするテスト技法です。
同値分割したグループの境界上のデータを使ってテストすると、システムやソフトウェアの動作におかしい点が多いことに気付きます。つまり境界の値に対して多くのバグが潜んでいるのです。
この現象は昔からよく知られており、現在でも効率的にテストするために境界値を狙ったテストを実施するための考えになります。
例えば「20歳以上100歳未満」という条件がある入力欄の場合、「19歳」「20歳」「99歳」「100歳」を入力し、システムが正しく動作するかを検証します。
境界値分析と同値分割は非常に関わりが深いテスト技法になります。両方の考え方を同時に考える事で効率よくテストケースを設計していくことができます。
よくある失敗例と改善策
テストケース作成には、いくつかの注意点があります。ここでは、よくある失敗例と改善策を紹介します。
網羅性を意識しすぎてテストケースが膨大になってしまう
すべてのケースをテストしようとすると、テストケースが膨大になり、テスト実施に時間がかかりすぎてしまいます。
重要な機能やリスクの高い部分に焦点を当て、効率的にテストを行うことが重要です。
抽象的な表現でテストケースが分かりにくい
テストケースは、誰が読んでも理解できるように、具体的に記述することが重要です。
「ログインする」だけでなく、「ユーザー名”testuser”とパスワード”password”を入力し、ログインボタンをクリックする」のように、具体的な手順を記述しましょう。
期待結果が曖昧
期待結果が曖昧だと、テスト結果の判定が難しくなってしまいます。
「エラーメッセージが表示される」だけでなく、「”パスワードが正しくありません”というエラーメッセージが表示される」のように、具体的に記述しましょう。
テスト管理ツールの導入
Excel、Googleスプレッドシートで管理するデメリット
ExcelやGoogleスプレッドシートは、手軽に利用できるため、小規模なプロジェクトやテストケース数が少ない場合に便利です。
ただし、大人数での共有や編集が難しい、テスト結果の管理が煩雑になるといったデメリットもあります。
テスト管理ツールのメリット
テスト管理ツールは、テストケースや結果の管理などを一元的に行うことができるため、大規模なプロジェクトやテストケース数が多い場合に便利です。
また、テストの進捗状況を可視化したり、課題を発見する機能も備わっていることが多く、効率的なテスト管理を実現できます。
それぞれのメリット・デメリットを比較し、プロジェクトの規模や予算、チームの状況に合わせて最適なツールを選びましょう。
▼テスト管理ツール14製品の比較記事はこちら▼
テストケース作成を効率化するその他のテクニック
ペアプログラミング
ペアプログラミングとは、2人のエンジニアが1台のコンピュータを使って共同で作業を行う手法です。
テストケース作成にも応用でき、知識や経験を共有しながら効率的に作業を進めることができます。
テストケースレビュー
テストケースレビューは、作成したテストケースを他のメンバーにレビューしてもらうことで、漏れや抜け、誤りを発見するプロセスです。
レビューを通して、テストケースの品質を高めることができます。
これらのテクニックを活用することで、さらにテストケース作成を効率化することができます。
まとめ
この記事では、UATテストケース作成に役立つ情報をお届けしました。
テストケース作成は、単なる作業ではなく、システムの品質を左右する重要なプロセスです。
今回の内容を参考に、効率的かつ効果的なテストケースを作成し、プロジェクトの成功に貢献してください!
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この記事の監修
Dr.T。テストエンジニア。
PractiTestエバンジェリスト。
大学卒業後、外車純正Navi開発のテストエンジニアとしてキャリアをスタート。DTVチューナ開発会社、第三者検証会社等、数々のプロダクトの検証業務に従事。
2017年株式会社モンテカンポへ入社し、マネージメント業務の傍ら、自らもテストエンジニアとしテストコンサルやPractiTestの導入サポートなどを担当している。
記事制作:川上サトシ