評価テストとは?システム品質をぐんとアップさせよう!

システム開発の現場で、「リリース直前になって、もっと早く問題に気づけていれば…」と悔しい思いをしたことはありませんか?
そんなトラブルを未然に防ぎ、手戻りを減らすために、決して欠かせないのが「評価テスト」です。
評価テストは、単にシステムが動くかどうかを確認するだけではありません。
開発したものがユーザーにとって本当に価値のある品質を備えているか、予期せぬエラーはないか、自信を持って公開できるレベルに達しているかを、徹底的に見極める重要な最終チェックです。
そこで今回は、評価テストの基本的な考え方から、具体的な実施方法、その結果の活用術、そして評価テストの知識がキャリアアップにどう繋がるのかまで、実践的な内容をわかりやすく解説していきます!
これからシステム開発をより安心して進めたい方も、すでにテストの重要性を感じている方も、ぜひ最後までお付き合いください。
きっと、あなたの開発プロセスがより確かなものになるヒントが見つかるはずです。

評価テストって?今さら聞けない超基本!
まずは、評価テストの基礎知識からチェックして行きましょう!
評価テストってどんなもの?
評価テストは、開発したシステムやソフトウェアが、要求された品質基準を満たしているかどうかを確認するための重要なプロセスです。
まるで、家を建てる前の強度検査のように、システムが実際に利用される前に、その機能や性能、安全性などを様々な角度から検証します。
具体的には、システムが設計通りに動作するか、意図しないエラーが発生しないか、利用者の操作に対して適切な反応を示すかなどを確認します。
このプロセスを通じて、潜在的な問題点や改善点を見つけ出し、より高品質なシステムへと磨き上げていくことが目的となります。
もし評価テストを怠ってしまうと、公開後に予期せぬ不具合が発生し、利用者の業務に支障をきたしたり、企業の信頼を損なう可能性も考えられます。
そのため、システム開発においては、この評価テストをしっかりと実施することが、非常に重要な意味を持つと言えるでしょう。
なぜ評価テストが必要なの?
評価テストの必要性は、システム開発におけるリスクを最小限に抑え、最終的な製品の品質を高めることにあります。
例えば、新しい社内システムを導入した際、もし事前に評価テストを行わずに本稼働させてしまうと、データの不整合や業務フローの混乱など、様々な問題が発生する可能性があります。
評価テストを行うことで、これらの潜在的なリスクを早期に発見し、対策を講じることが可能になります。
また、評価テストは単に不具合を見つけるだけでなく、システムの性能や使いやすさといった品質に関わる要素も評価します。
これにより、利用者が快適にシステムを利用できるか、期待されるパフォーマンスを発揮できるかを確認し、必要に応じて改善を行うことができます。
結果として、手戻りの削減や開発コストの抑制にも繋がり、より効率的なシステム開発を実現するために、評価テストは不可欠な工程と言えるでしょう。
どんなテストがあるの?(機能・性能・セキュリティほか)
評価テストには、システムの様々な側面を検証するために、多岐にわたる種類が存在します。
まず、機能テストは、システムが要求された機能を満たしているかを一つ一つ確認する基本的なテストです。
例えば、ログイン機能が正しく動作するか、データの登録や検索が正確に行えるかなどを検証します。
次に、性能テストは、システムがどの程度の負荷に耐えられるか、処理速度は十分かなどを評価します。
多くの利用者が同時にアクセスした場合でも、システムが安定して動作するかどうかを確認するものです。
さらに、セキュリティテストは、システムが外部からの不正なアクセスや攻撃に対して、どれだけ安全であるかを検証します。
個人情報や機密情報が漏洩しないように、脆弱性を洗い出すことが目的です。
その他にも、使いやすさを評価するユーザビリティテストや、異なる環境での動作を確認する互換性テストなど、システムの特性や要件に応じて様々なテストが実施されます。
これらのテストを組み合わせることで、システム全体の品質を総合的に評価することが可能になります。
どのテストを選べばいい?かんたん早わかりガイド
【例①】新しい機能を追加したとき → 機能テスト
新しい機能がシステムに追加された際、その機能が設計通りに正しく動作するかを確認するために実施されるのが機能テストです。
このテストでは、追加された機能の入力、処理、出力といった一連の流れを検証し、期待される結果が得られるかを細かくチェックします。
例えば、ECサイトに新しい決済方法が追加された場合、実際にその決済方法を選択して購入手続きを行い、正常に決済が完了するか、注文情報が正しく登録されるかなどを確認します。
また、エラー処理が適切に行われるかも重要なポイントです。
意図的に不正なデータを入力してみたり、予期せぬ操作を行ってみたりすることで、システムの安定性や信頼性を高めることができます。
新しい機能は、既存の機能と連携して動作することも多いため、追加された機能だけでなく、既存の機能に影響を与えていないかの確認も機能テストの重要な側面となります。
【例②】システムが重いかも?と思ったとき → 性能テスト
システムの動作が以前よりも遅く感じられたり、応答に時間がかかるようになったりした場合に有効なのが性能テストです。
このテストでは、システムに意図的に負荷をかけ、その際のシステムの応答時間、処理能力、安定性などを測定します。
例えば、多くの利用者が同時にシステムにアクセスした場合や、大量のデータを処理した場合に、システムがどのように振る舞うかを確認します。
具体的には、Webサイトの表示速度が遅くなっていないか、データベースの処理に時間がかかっていないか、サーバーのリソース(CPUやメモリなど)が適切に利用されているかなどを監視します。
性能テストを行うことで、システムのボトルネックとなっている箇所を特定し、改善策を検討することができます。
また、将来的な利用者の増加を見越して、事前にシステムの耐久性を評価しておくことも、性能テストの重要な目的の一つです。
【例③】セキュリティが心配なとき → セキュリティテスト
システムにおける情報漏洩や不正アクセスといったセキュリティ上のリスクを評価するために行われるのがセキュリティテストです。
このテストでは、システムに意図的に攻撃を試みたり、脆弱性を探索したりすることで、システムの安全の強度を確認します。
具体的には、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングといった既知の攻撃手法を用いて、システムが防御できるかを検証したり、アクセス権限の設定が適切に行われているかを確認したりします。
また、ファイアウォールや侵入検知システムといったセキュリティ対策が正しく機能しているかも重要な評価ポイントです。
セキュリティテストの結果、脆弱性が発見された場合は、速やかに修正を行い、システムの安全レベルを向上させる必要があります。
近年、サイバー攻撃の手法は高度化しているため、定期的にセキュリティテストを実施し、システムの安全性を確保することが不可欠と言えるでしょう。
テストをスムーズに進める5つのステップ
ステップ1:目的と範囲をハッキリさせよう
評価テストを始める前に、まず「何を」「どこまで」テストするのかを明確に定義することが重要です。
たとえば、システム全体をテストするのか、それとも特定の機能に絞ってテストするのかを決めます。
テストの目的を明確にすることで、テストの焦点を絞り、無駄な作業を省くことができます。
範囲を明確にすることで、テストに必要なリソース(時間、人員、機材など)を見積もりやすくなり、効率的なテスト計画を立てることが可能になります。
もし目的や範囲が曖昧なままテストを進めてしまうと、テスト結果の解釈が難しくなったり、重要な問題を見逃してしまう可能性があります。
ステップ2:テストケースを作ろう(ぬけモレに注意)
テストケースとは、システムの機能や性能、セキュリティなどを評価するために、具体的なテストの手順や期待される結果を記述したものです。
テストケースを作成する際には、システムのあらゆる側面を網羅的にカバーできるように、様々なパターンを考慮することが重要です。
例えば、正常な入力だけでなく、異常な入力や境界値などもテストケースに含めることで、システムの堅牢性を評価できます。
また、テストケースは、誰がテストを実施しても同じ結果が得られるように、明確かつ詳細に記述する必要があります。
テストケースの作成には手間がかかりますが、質の高いテストケースを作成することで、テストの品質を高め、システムの潜在的な問題を早期に発見することができます。
ステップ3:テスト環境を整えよう(できるだけ本番に近く)
テスト環境とは、実際にシステムをテストするためのハードウェアやソフトウェア、ネットワークなどの環境のことです。
テスト環境を構築する際には、できる限り本番環境に近い環境を用意することが重要です。
本番環境と異なる環境でテストを行うと、本番環境でしか発生しない問題を検出できない可能性があります。
例えば、本番環境で使用するデータベースやサーバー、ネットワーク構成などをテスト環境でも再現することで、より現実的なテスト結果を得ることができます。
また、テスト環境の構築には、セキュリティ上の考慮も必要です。テストデータには、個人情報や機密情報が含まれる場合があるため、適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。
ステップ4:テストを実行して、結果をきちんと残そう
作成したテストケースに基づいて、実際にシステムを操作し、テストを実行します。
テスト実行時には、テストケースに記述された手順に従い、システムの動作や結果を注意深く観察し、記録します。
予期せぬエラーや不具合が発生した場合は、その状況を詳細に記録することが重要です。
エラーメッセージ、発生日時、再現手順などを記録することで、問題の原因を特定しやすくなります。
テスト結果の記録には、テスト管理ツールやスプレッドシートなどを使用すると、効率的に作業を進めることができます。
また、テスト結果は、後で分析や報告を行う際に重要な情報源となるため、正確かつ丁寧に記録することが求められます。
ステップ5:結果をふり返って、まとめよう
テストが完了したら、記録したテスト結果を分析し、システムの品質状況や改善点などをまとめます。
テスト結果の分析では、どれくらいのテストケースが成功し、どれくらいのテストケースが失敗したのか、どのような種類の問題が発生したのかなどを評価します。
失敗したテストケースについては、その原因を特定し、修正方法を検討します。
テスト結果のまとめは、関係者(開発者、プロジェクトマネージャー、顧客など)に報告するために作成します。
報告書には、テストの目的、範囲、結果、問題点、改善提案などを記載します。
テスト結果の報告は、システムの品質を向上させるための重要なステップであり、その後の開発プロセスに大きな影響を与えます。
テスト結果を放置しない!うまく活かす3つのコツ
①発見した問題点を次に生かそう
評価テストを実施することで、システムの潜在的な問題点や改善点を発見できます。
テスト結果を詳細に分析することで、問題の根本原因を特定し、より効果的な改善策を検討することが可能になります。
例えば、機能テストでエラーが発生した場合、エラーメッセージだけでなく、エラーが発生した状況(入力データ、操作手順など)も確認することで、問題の原因を特定しやすくなります。
性能テストでシステムの応答時間が遅いことが判明した場合、どの処理に時間がかかっているのかを特定するために、処理ごとの時間を計測したり、リソースの使用状況を監視します。
セキュリティテストで脆弱性が発見された場合は、その脆弱性を悪用した攻撃手法や、影響範囲などを評価し、優先度をつけて対応する必要があります。
テスト結果を分析する際には、単に問題点を見つけるだけでなく、なぜその問題が発生したのか、どのようにすれば再発を防げるのかといった視点を持つことが重要です。
②具体的な改善アクションを考えよう
テスト結果の分析に基づいて、システムの品質を向上させるための具体的な改善アクションを検討します。
改善アクションは、発見された問題の種類や深刻度に応じて、様々なものが考えられます。
例えば、機能テストでエラーが発生した場合は、プログラムの修正や設計の見直しが必要になる場合があります。
性能テストでシステムの応答時間が遅い場合は、プログラムの最適化、ハードウェアの増強、データベースのチューニングなどを行う必要があります。
セキュリティテストで脆弱性が発見された場合は、脆弱性を修正するためのパッチを適用したり、アクセス制御を強化したりします。
改善アクションを検討する際には、短期的な対応だけでなく、長期的な視点も考慮することが重要です。
例えば、頻繁に発生する問題については、根本的な原因を解決するために、開発プロセスや設計方法の見直しが必要になる場合があります。
③成果を測ってさらにレベルアップ!
改善アクションを実施した後、その効果を測定し、システムの品質が向上したかどうかを確認します。
効果測定には、テストを再度実行したり、システムのパフォーマンスを監視したり、利用者のフィードバックを収集したりといった方法があります。
例えば、プログラムを修正した後、再度機能テストを実行し、エラーが解消されたことを確認します。
ハードウェアを増強した後、性能テストを実行し、システムの応答時間が改善されたことを確認します。
セキュリティパッチを適用した後、再度セキュリティテストを実行し、脆弱性が解消されたことを確認します。
効果測定の結果に基づいて、さらにシステムの品質を向上させるための改善策を検討します。
また、テストプロセス自体を評価し、改善点があれば、今後のテストに活かします。
テスト結果を分析し、改善アクションを実施し、その効果を測定するというサイクルを繰り返すことで、システムは継続的に品質が向上し、より信頼性の高いものとなります。
評価テストでキャリアも未来も変わる!
品質のプロを目指そう!
評価テストに関する深い知識と実践的なスキルを身につけることは、ITエンジニアとしての専門性を高め、キャリアアップに繋がる重要な要素となります。
システムの品質保証は、開発プロジェクトの成否を左右する重要な役割を担っており、その専門知識を持つ人材は常に求められています。
評価テストの計画、設計、実行、分析といった一連のプロセスを理解し、適切なテスト戦略を立てられるようになることで、プロジェクトにおける自身の貢献度を高めることができます。
また、最新のテスト手法やツールに関する知識を習得することで、より効率的かつ効果的なテストを実施できるようになり、チーム内での信頼性も向上します。
品質保証の専門家としてのキャリアを築くことは、市場価値を高め、より責任のあるポジションへのステップアップに繋がる可能性があります。
もっと楽に効率よく開発するには?
評価テストを適切に導入し、活用することは、日々の開発業務をより効率的かつスムーズに進めるための鍵となります。
早期にシステムの不具合を発見し、修正することで、手戻りの大幅な削減に繋がり、結果として開発期間の短縮やコスト削減に貢献できます。
また、品質の高いシステムを開発することは、リリース後のトラブルを減らし、運用保守にかかる負担を軽減することにも繋がります。
効率的な評価テストの実施には、適切なテストツールの選定や自動化の導入などが有効です。
繰り返し行うテストを自動化することで、テストにかかる時間を大幅に削減し、より重要なタスクに集中できるようになります。
評価テストの知識を深め、効果的なテスト戦略を実践することで、より少ない労力で高品質なシステム開発を実現し、ワークライフバランスの改善にも繋がるでしょう。
信頼されるエンジニアになるために
顧客やチームからの信頼を得るためには、開発するシステムの品質を保証することが不可欠です。
評価テストをしっかりと実施し、システムの信頼性を高めることは、エンジニアとしての評価を向上させる上で非常に重要です。
品質の高いシステムを安定して提供することで、顧客からの満足度が高まり、プロジェクトへの信頼感も増します。
また、チーム内においては、早期に問題を発見し、解決に貢献することで、頼りになるエンジニアとしての評価を確立できます。
評価テストの知識やスキルは、単に不具合を見つけるだけでなく、潜在的なリスクを予測し、未然に防ぐことにも繋がります。
このように積極的に行動することで、周囲からの信頼を得て、より責任のある役割を任される可能性が高まります。
評価テストを通じてシステムの品質を高めることは、エンジニア自身の信頼性を高め、長期的なキャリアの成功に繋がる投資と言えます。
まとめ
この記事では、システム開発における品質向上の要となる評価テストの基本から、具体的なテストの種類、効率的な進め方、そしてその結果を最大限に活かすためのコツまでを解説しました。
評価テストは、開発したシステムが要求された品質基準を満たしているかを確認する重要なプロセスであり、不具合の早期発見や手戻りの削減、ひいては開発コストの抑制に不可欠です。
機能テスト、性能テスト、セキュリティテストなど、システムの特性や目的に応じた様々なテストを適切に選択し、実施することが重要です。
テストをスムーズに進めるためには、目的と範囲の明確化、網羅的なテストケースの作成、本番環境に近いテスト環境の準備、正確なテスト実行と記録、そして結果の分析と報告という5つのステップを踏むことが推奨されます。
さらに、テスト結果は単に報告するだけでなく、問題点の発見、具体的な改善アクションの検討、そしてその効果測定を通じて、システムの品質を継続的に向上させるための貴重な情報源となります。
評価テストの知識とスキルを深めることは、ITエンジニアとしての専門性を高め、より効率的で信頼性の高い開発を実現し、自身のキャリアアップにも繋がるでしょう。
評価テストを適切に実施し、その結果を活かすことで、システム品質を向上させ、より良い開発ライフサイクルを実現しましょう。
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この記事の監修

Dr.T。テストエンジニア。
PractiTestエバンジェリスト。
大学卒業後、外車純正Navi開発のテストエンジニアとしてキャリアをスタート。DTVチューナ開発会社、第三者検証会社等、数々のプロダクトの検証業務に従事。
2017年株式会社モンテカンポへ入社し、マネージメント業務の傍ら、自らもテストエンジニアとしテストコンサルやPractiTestの導入サポートなどを担当している。
記事制作:川上サトシ