ロングランテストで発見できる隠れた問題点とは?

短時間のテストでは問題なく動いていたのに、いざ長時間稼働させてみたら、パフォーマンスが低下したり、システムが不安定になったり…。

そんな経験は、開発者にとってまさに悪夢です。

この悪夢を回避し、ユーザーに最高の体験を届けるために、ぜひ知っておいてほしいのがロングランテストです。

ロングランテストとは、システムを長時間稼働させ、隠れた問題点を洗い出すテストのこと。メモリリークパフォーマンスの低下など、短時間では見逃してしまうような問題を早期に発見することができます。

そこで今回はロングランテストの基礎知識から実行方法、メリットまでをわかりやすく解説します。

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ロングランテストとは?

負荷テストとの違い

ロングランテストと聞いて、負荷テストを思い浮かべる方もいるかもしれません。

どちらもシステムのパフォーマンスを検証するテストですが、その目的や手法には違いがあります。

負荷テストは、システムに短時間で高負荷をかけて、その限界値や挙動を調べるテストです。一方、ロングランテストは、システムを長時間稼働させ、時間経過に伴う変化や問題点を検出することに重点を置きます。

例えば、Webサービスでユーザーが急増するセール時などに、システムがダウンしないかを確認するのが負荷テストです。

一方、ロングランテストでは、システムを数日~数週間稼働させ、メモリリークやパフォーマンスの低下といった、負荷テストでは見逃してしまうような問題を発見します。

なぜ、ロングランテストが必要なの?

現代のWebサービスやアプリケーションは、常に稼働し続けることが求められます。

そのため、短時間では問題なくても、長時間稼働すると徐々にパフォーマンスが低下したり、予期せぬエラーが発生したりする可能性があります。

こうした問題は、ユーザー体験を損ない、サービスの信頼性を低下させるだけでなく、ビジネスにも悪影響を及ぼす可能性があります。

ロングランテストを実施することで、こうした潜在的な問題を早期に発見し、対策を講じることが可能になります。

安定したサービスを提供し、ユーザー満足度を高めるためには、ロングランテストは欠かせないテスト手法と言えるでしょう。

どんな問題を見つけられるの?

ロングランテストでは、長時間稼働によって発生する様々な問題点を検出できます。代表的なものを3つ紹介します。

メモリリーク

じわじわと忍び寄るシステムキラー

メモリリークとは、プログラムが使用済みのメモリ領域を解放せず、システム全体のメモリ不足を引き起こす現象です。

短時間では問題なくても、長時間稼働するとシステムが不安定になり、最悪の場合はクラッシュしてしまうことも。

ロングランテストでは、メモリ使用量の推移を監視することで、メモリリークの兆候を早期に捉えることができます。

パフォーマンス低下

快適な操作を阻む見えない壁

長時間稼働に伴い、システムのパフォーマンスが徐々に低下するケースがあります。

これは、データベースの肥大化リソースの枯渇など、様々な要因が考えられます。

ロングランテストでは、レスポンスタイムスループットといった指標を継続的に計測することで、パフォーマンス低下の傾向を把握し、原因を特定することができます。

データの不整合

気づかぬうちに蝕まれるデータの信頼性

システムが長時間稼働すると、データの不整合が発生するリスクが高まります。

これは、同時アクセスによるデータの競合や、外部システムとの連携におけるエラーなどが原因で起こります。

ロングランテストでは、データの整合性を定期的にチェックすることで、データの信頼性を確保することができます。

ロングランテストの実行方法

ロングランテストは、適切な手順で実施することで、より効果的にシステムの潜在的な問題を明らかにすることができます。

具体的な実行方法を、準備・実行・分析の3ステップに分けて解説します。

ステップ1:準備編

テスト環境を整えよう!

本番環境と同様の条件でテストを実施することが重要です。

そのため、本番環境で使用しているものと同じサーバー、OS、ミドルウェア、ネットワーク機器、データベースなどを用意し、テスト環境を構築します。

ハードウェアのスペックやソフトウェアのバージョン、ネットワークの帯域幅なども、本番環境と一致させるようにしましょう。

環境構築の際には、テストデータの準備も必要です。

本番環境のデータをそのまま使用できる場合は、個人情報などの機密情報が含まれていないか注意し、必要に応じてマスキング処理などを施します。

本番データの使用が難しい場合は、テスト用のダミーデータを作成します。

どんなツールを使う?

ロングランテストでは、負荷生成ツール監視ツールなど、様々なツールを活用します。

負荷生成ツールは、システムに継続的な負荷をかけるために使用します。

JMeterやLoadRunnerなど、オープンソース・商用問わず様々なツールが存在します。

それぞれのツールの特徴を理解し、テスト対象のシステムや目的に合ったツールを選択しましょう。

監視ツールは、システムの稼働状況を監視するために使用します。

CPU使用率、メモリ使用量、ディスクI/O、ネットワークトラフィックなど、様々な指標を監視し、パフォーマンスの変化を把握します。

Zabbix、Datadog、Prometheusなど、様々な監視ツールがあります。

ステップ2:実行編

テストシナリオを作ろう!

どのような操作を、どのくらいの頻度で、どれくらいの期間実行するかを定義したテストシナリオを作成します。

実際のユーザーの行動パターンを分析し、現実的なシナリオを作成することが重要です。シナリオ作成には、過去のアクセスログやユーザーインタビューなどのデータが役立ちます。

例えば、ECサイトのロングランテストであれば、「ユーザーが商品を閲覧する」「カートに入れる」「注文手続きを行う」「マイページにログインする」といった一連の操作を、ユーザーが実際に行うであろう頻度や時間帯を考慮してシナリオに組み込みます。

どれくらいテストすればいいの?

テスト時間は、システムの特性や要件によって異なります。

一般的には、数時間から数週間、場合によっては数ヶ月にわたって実施されます。テスト時間が短すぎると、潜在的な問題を見逃してしまう可能性があり、長すぎるとテストコストが増加してしまうため、適切なテスト時間の設定が重要です。

テスト時間を決定する際には、システムの運用時間や過去の障害発生状況などを考慮します。

例えば、24時間365日稼働するシステムであれば、少なくとも数日間のテストは必要でしょう。また、過去にメモリリークによる障害が発生したことがあるシステムであれば、メモリ使用量の推移を長期間にわたって監視する必要があります。

ステップ3:分析編

テスト結果の見方

実行したテストの結果を分析し、問題点がないか確認します。

CPU使用率、メモリ使用量、レスポンスタイム、スループットなどの指標をグラフ化し、時間経過に伴う変化を分析します。

また、エラーログシステムログなども確認し、異常がないか確認します。

例えば、メモリ使用量が時間とともに増加し続けている場合は、メモリリークの可能性があります。

レスポンスタイムが徐々に遅くなっている場合は、パフォーマンス低下の可能性があります。

エラーログに異常なエラーが記録されている場合は、システムに何らかの問題が発生している可能性があります。

問題を発見したら、どうすればいい?

分析の結果、問題点が見つかった場合は、その原因を調査し、修正を行います。問題の修正後には、再度ロングランテストを実施し、修正が正しく行われているか確認します。

原因調査には、ログ分析、コードレビュー、デバッグなど、様々な手法を用います。

問題の修正には、プログラムの修正、設定変更、ハードウェアの増強など、様々な対応が必要となる場合があります。

ロングランテストで、開発をもっとスムーズに!

ロングランテストは、システムの品質向上に役立つだけでなく、開発プロセス全体をスムーズに進める効果も期待できます。

開発効率UP!

早期発見で手戻りを減らそう

開発の終盤で不具合が見つかると、修正に多くの時間と労力を費やすことになります。

場合によっては、設計段階まで立ち返って修正が必要になるケースもあり、開発全体の遅延に繋がってしまうことも。

ロングランテストを開発の早い段階から導入することで、潜在的な問題を早期に発見し、修正することができます。

早期に問題を発見できれば、修正範囲も限定的になり、手戻り工数を大幅に削減できます。

結果として、開発期間の短縮やリリースの迅速化に繋がり、開発効率の向上に貢献します。

コスト削減!

バグ修正のコストを最小限に

バグの修正には、開発者の作業時間だけでなく、テストやデバッグ、リリース作業など、様々なコストが発生します。

開発の後期段階でバグが見つかるほど、修正に伴うコストは増加する傾向があります。

ロングランテストによって早期にバグを発見できれば、修正コストを最小限に抑えることができます。

また、リリース後の障害発生リスクを低減できるため、障害対応緊急メンテナンスなどのコスト削減にも繋がります。

チームワークUP!

共通認識で、チームの連携を強化

ロングランテストは、開発者、テスター、運用担当者など、様々なメンバーが関わるテストです。

テストの実施計画や結果の共有、問題点の議論などを通して、チーム全体で品質向上に対する意識を高めることができます。

また、ロングランテストを通して、システムの特性や潜在的なリスクに対する共通認識を持つことができます。

これは、チーム内のコミュニケーションを円滑にし、連携を強化する効果も期待できます。

結果として、開発プロセス全体がスムーズに進み、より高品質なシステムを効率的に開発できるようになるでしょう。

まとめ

今回はロングランテストとは何か、なぜ必要なのか、どんな問題を発見できるのか、そして具体的な実行方法までを解説しました。

ロングランテストは、システムを長時間稼働させることで、メモリリークやパフォーマンス低下といった隠れた問題点を発見できる、非常に重要なテスト手法です。

早期に問題を発見し対策することで、開発効率とチームワークを向上させ、コスト削減にも繋がるなど、多くのメリットをもたらします。

高品質なWebサービスを提供し、ユーザーに最高の体験を届けるために、ロングランテストをぜひ活用してみてください!

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この記事の監修

Dr.T。テストエンジニア。
PractiTestエバンジェリスト。
大学卒業後、外車純正Navi開発のテストエンジニアとしてキャリアをスタート。DTVチューナ開発会社、第三者検証会社等、数々のプロダクトの検証業務に従事。
2017年株式会社モンテカンポへ入社し、マネージメント業務の傍ら、自らもテストエンジニアとしテストコンサルやPractiTestの導入サポートなどを担当している。

記事制作:川上サトシ