システム開発の見積もり方法とは?費用内訳と失敗しない見積書のチェックポイント

開発会社から見積書を受け取ったものの、提示された金額が高いのか安いのか判断できず、困るケースは少なくありません。

複数社に見積もりを依頼しても、会社ごとに項目や金額が大きく異なり、単純に総額だけを比較できないこともあります。

システム開発の費用は、必要な作業量だけでなく、担当者の単価、機能の複雑さ、求める品質、納期、開発体制など、さまざまな条件によって変わります。

そのため、見積書を確認するときは、金額の大小よりも、どの作業が、どのような条件で、どこまで含まれているかを見ることが重要です。

算出方法や費用内訳を理解すれば、専門的な技術知識が十分になくても、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。

開発会社ごとの違いも整理できるため、社内への予算説明や依頼先の選定にも役立つでしょう。

そこで今回は、システム開発の見積もり方法と費用内訳、見積書の確認ポイントを実務の流れに沿ってまとめました!

予算超過や追加請求を防ぎ、納得できる開発計画を立てるための参考にしてください。

▼システム開発の流れに関する記事はこちら▼

システム開発の見積もりが決まる仕組みを理解しよう!

システム開発には、店頭で販売されている製品のような一律の価格がありません。

同じ「顧客管理システム」や「予約システム」という名称でも、必要な機能や利用条件が違えば、開発に必要な作業量も変わるためです。

見積金額は、主に工数、担当者の単価、使用する製品やサービスの費用、リスクへの備えを組み合わせて算出されます。

要件が明確であるほど必要な作業を細かく洗い出せるため、見積もりの根拠も具体的になります。

一方、企画段階で仕様が固まっていない場合は、一定の仮定や金額の幅を設けて算出するのが一般的です。

見積書を正しく読むには、最初に金額が決まる基本的な仕組みと、見積もり時点での確定度を理解しておく必要があります。

まずは見積もりの基本となる「工数×単価」を押さえよう!

システム開発費を算出するときの基本は、工数×人員単価です。

工数とは、設計やプログラミング、テストなどに必要な作業量を指します。

工数の単位には、1人が1日作業する量を表す「人日」や、1人が1か月作業する量を表す「人月」がよく使われます。

たとえば、ある作業に2人月が必要で、担当者の人月単価が100万円であれば、単純計算した費用は200万円です。

ただし、人月は人数と期間を機械的に置き換えられる単位ではありません。

2人で1か月かかる作業に4人を投入しても、情報共有や確認作業が増えるため、必ず半月で終わるとは限りません。

また、同じ機能数でも、複雑な計算処理、外部サービスとの連携、高度なセキュリティ、厳しい品質基準があれば工数は増えます。

担当者の単価も、プロジェクトマネージャー、設計者、エンジニア、デザイナーなどの役割や経験によって異なります。

見積書に「開発一式」としか記載されていない場合は、工程別の工数、担当者の役割、単価の根拠を確認しましょう。

見積もりの精度は依頼するタイミングで変わる!

システム開発の見積もりには、企画段階で費用感をつかむための概算見積もりと、要件を整理した後に提示される正式見積もりがあります。

初期段階では、必要な画面や機能、データ量、外部連携などが決まっていないため、正確な作業量を算出できません。

そのため、概算見積もりでは「500万~800万円」のように幅を持たせたり、不確定な作業に備えた予備工数を加えたりします。

要件定義が進み、利用者数、機能一覧、画面構成、品質条件、移行対象などが明確になると、作業を細分化できるため精度が高まります。

注意したいのは、初期の概算金額をそのまま確定予算として扱わないことです。

要件定義を進めた結果、想定していなかった機能やデータ移行が必要になり、開発費が増える場合があります。

見積書を受け取ったら、概算なのか正式見積もりなのか、どの要件を前提に算出したのかを確認しましょう。

再見積もりが行われる時期や、金額が変わる条件も事前に整理しておくと、予算計画を立てやすくなります。

開発会社が使う代表的な見積もり方法を知ろう!

開発会社は、プロジェクトの段階や要件の確定度に応じて、複数の見積もり方法を使い分けます。

類推法は、過去に開発した似たシステムの実績をもとに、今回の費用や工数を予測する方法です。

短期間で概算を出しやすい反面、機能数、品質、開発環境などの違いが大きいと、実際の工数とずれる可能性があります。

専門家判断は、経験豊富な担当者が仕様や難易度を確認し、経験にもとづいて工数を見積もる方法です。

実務では使いやすい方法ですが、判断する人によって結果が変わりやすいため、根拠や類似実績の確認が欠かせません。

トップダウン見積もりは、プロジェクト全体の予算や規模を先に設定し、各工程へ配分する方法です。

企画段階では便利ですが、細かな機能や作業が十分に洗い出されていないと、作業漏れが起きるおそれがあります。

ボトムアップ見積もりは、機能や工程を細かく分解し、それぞれの工数を積み上げる方法です。

精度を高めやすい一方で、要件整理と見積作業に時間がかかります。

方法の名称だけで判断せず、使用した前提、参考にした実績、工数を算出した根拠まで確認することが重要です。

同じシステムでも見積金額が変わる理由を押さえよう!

同じ種類のシステムでも、機能や開発条件が違えば見積金額は大きく変わります。

たとえば、単純な会員登録だけを備えたシステムと、本人確認、決済、通知、外部サービス連携まで備えたシステムでは、必要な設計やテストの量が異なります。

新規開発、既存システムの改修、パッケージ製品の利用など、採用する開発方法によっても費用は変わります。

短納期で多くの人員を確保する場合や、止められない業務を扱う場合は、管理や品質保証に必要な工数が増えやすくなります。

大量の既存データを移行する案件では、データの整理、変換、移行テストも必要です。

国内開発、海外開発、常駐、リモートといった体制の違いも、単価やコミュニケーション工数に影響します。

さらに、開発会社ごとに想定する品質水準やリスクへの備えが異なるため、同じ依頼内容でも金額差が生まれます。

大幅に安い見積もりを見つけた場合は、値段だけで判断せず、省かれている工程や対象外となる作業がないかを確認しましょう。

費用内訳と見積書のチェックポイントを確認しよう!

見積書の妥当性を判断するには、総額だけでなく、工程ごとの費用内訳を見る必要があります。

システム開発では、要件定義、設計、実装、テスト、導入、運用保守など、複数の工程が発生します。

直接システムを作る作業だけでなく、会議、進捗管理、調査、環境構築、データ移行などにも工数が必要です。

安く見える見積書でも、必要な作業が対象外になっていれば、開発開始後に追加費用が発生する可能性があります。

反対に、金額が高く見えても、調査や品質管理、導入支援、保守まで含まれていれば、実質的には割高とは限りません。

各項目について、作業内容、成果物、担当範囲、前提条件を確認し、費用に何が含まれているかを明確にしましょう。

要件定義・調査費は開発の土台として確認しよう!

要件定義は、開発するシステムの目的や必要な機能、業務上の条件を整理する工程です。

現場へのヒアリング、現在の業務フローの確認、既存システムの調査、課題の整理などが含まれます。

この工程が不十分だと、発注側と開発会社の認識がずれ、設計や実装を始めてから仕様変更や手戻りが生じやすくなります。

見積書では、ヒアリング回数、調査対象、会議の参加者、作成される資料などを確認しましょう。

成果物としては、要件定義書、業務フロー、機能一覧、画面一覧、非機能要件などが想定されます。

既存システムを改修する場合は、ソースコードやデータ構造、外部連携の調査費が別途必要になることもあります。

要件定義だけを先に契約し、その結果をもとに開発費を正式に見積もる進め方もあります。

この場合は、要件定義後に再見積もりを行う条件と、開発契約へ進む判断基準を事前に確認することが大切です。

設計・デザイン費は「何を決める工程か」で判断しよう!

設計工程では、要件定義で整理した内容を、実際に開発できる仕様へ落とし込みます。

基本設計では、画面の構成、機能の動き、入力項目、帳票、データ、外部システムとの接続方法などを決めます。

詳細設計では、プログラムがどのような処理を行うかを、実装できる粒度まで具体化します。

利用者が操作するシステムでは、画面デザインや操作性の設計も重要です。

パソコンとスマートフォンの両方へ対応する場合や、複数の利用者権限を設ける場合は、その分だけ設計対象が増えます。

設計工数が極端に少ないと、実装中の確認や修正が増え、結果的に納期遅延や追加費用につながる可能性があります。

見積書では、基本設計と詳細設計の範囲、デザイン案の数、修正回数、スマートフォン対応の有無などを確認しましょう。

あわせて、設計書が納品されるか、追加開発や保守に利用できる状態かも確認しておく必要があります。

開発・実装費は工数と担当範囲を細かく見よう!

開発・実装費は、設計内容にもとづいてプログラムやデータベースを作るための費用です。

画面の作成、業務処理の実装、データベース構築、外部サービスとの連携、管理機能の開発などが含まれます。

妥当性を確認するには、機能別、画面別、作業別に工数が分かれているかを見ることが大切です。

「システム開発一式」とまとめられている場合は、どの機能にどれほどの工数がかかるのか判断しにくくなります。

使用するプログラミング言語、開発基盤、クラウドサービス、外部製品などの条件も確認しましょう。

既存の部品や共通機能、パッケージを利用する場合は、すべてを新規開発する場合より工数を抑えられる可能性があります。

一方で、既存製品を利用しても、設定変更や他システムとの連携に費用がかかることがあります。

見積書では、新規開発する範囲、既存機能を利用する範囲、発注側が準備するものを分けて確認することが重要です。

テスト・品質管理費を削りすぎていないか確認しよう!

テストは、システムが設計どおりに動作し、業務で安全に利用できるかを確かめる工程です。

一般的には、個々のプログラムを確認する単体テスト、機能同士の連携を確認する結合テスト、システム全体を確認する総合テストなどがあります。

最終的には、発注側が実際の業務で利用できるかを確認する受入テストも必要です。

見積書では、実施するテストの種類、対象となる機能、担当者、使用環境を確認しましょう。

Webシステムであれば、対象となるブラウザ、端末、OSの範囲も重要です。

大量アクセスへの対応やセキュリティが重視される場合は、性能テストや脆弱性に関するテストが必要になることもあります。

テストデータの準備、テスト環境の構築、不具合の修正、修正後の再テストが含まれているかも確認してください。

テスト費用が極端に少ない見積書は、リリース後の障害や業務停止につながるリスクがあるため、安易に削らないことが大切です。

管理・インフラ・移行・保守費まで漏れなく確認しよう!

システム開発では、プログラムを作る費用以外にも多くの費用が発生します。

プロジェクト管理費には、進捗確認、課題管理、品質管理、定例会議、関係者間の調整などが含まれます。

管理費が計上されていない場合は、誰が全体を管理し、問題が起きたときに誰が対応するのかを確認しましょう。

インフラ費には、サーバー、クラウド、ネットワーク、ドメイン、SSL証明書、ソフトウェアライセンスなどがあります。

既存システムからデータを引き継ぐ場合は、データの整理、変換、移行、移行後の確認にも費用がかかります。

導入時には、リリース作業、操作マニュアル、利用者向け研修、初期設定などが必要になることもあります。

リリース後は、監視、障害対応、問い合わせ対応、アップデートなどの保守運用費が継続的に発生します。

見積もりを比較するときは、初期費用だけでなく、月額費用や年額費用を含めた総保有コストで判断しましょう。

見積書では金額以外の条件もチェックしよう!

見積書で特に重要なのは、金額の前提となる作業範囲です。

要件定義からリリースまで含まれるのか、設計以降だけを担当するのかによって、総額の意味は大きく変わります。

対象外となる作業も確認し、発注後に別料金となる項目を把握しましょう。

利用者数、データ量、画面数、対応端末、外部連携数など、見積もり時に想定された条件も重要です。

条件を超えた場合の費用や納期への影響を明確にしておけば、後のトラブルを防ぎやすくなります。

仕様変更や追加開発が生じたときは、変更内容、追加工数、金額、納期への影響を確認し、合意したうえで進めるルールが必要です。

納品物、検収方法、検収期間、支払時期、見積有効期限についても確認しましょう。

さらに、ソースコードや設計書の権利、利用可能な範囲、契約終了時のデータ返却も重要です。

責任範囲と変更時の手続きが明文化されているかまで確認すると、発注後の認識違いを抑えられます。

危険な見積書のサインを早めに見抜こう!

注意したい見積書の代表例は、「開発一式」「テスト一式」のような記載が多く、作業の中身がわからないものです。

内訳が不明なままでは、金額の妥当性を判断できず、後から対象外の作業が判明する可能性があります。

作業範囲や対象外項目、前提条件が書かれていない見積書にも注意が必要です。

要件定義、設計、テスト、管理など、品質を支える工程が極端に少ない場合は、必要な作業が省かれている可能性があります。

他社より大幅に安い場合は、価格差の理由を質問し、担当者の体制、成果物、テスト範囲、保守内容などを比較しましょう。

不確定な要素が多いにもかかわらず、追加費用が一切発生しないような断定的な説明にも慎重な確認が必要です。

見積もりの根拠を尋ねても明確な回答がなく、類似案件の経験や算定方法を説明できない場合は、発注後の意思疎通にも不安が残ります。

安さではなく、説明の具体性と透明性を、信頼できる開発会社を見極める基準にしましょう。

複数社の見積もりは同じ条件にそろえて比較しよう!

複数社の見積もりを比較するときは、各社へ同じ条件を伝えることが基本です。

依頼内容が異なれば、提示された金額も異なるため、公平な比較ができません。

開発目的、必要な機能、利用者、希望納期、予算、品質条件などをまとめた資料を共通して渡しましょう。

比較表を作り、総額だけでなく、工程別の工数、担当者の単価、作業範囲、成果物、保守内容を並べると違いが見えやすくなります。

各社の見積書に含まれる項目と含まれない項目を整理し、追加費用を加えた実質的な総額も確認してください。

金額が安い会社には安い理由を、高い会社には高い理由を質問しましょう。

品質管理の方法、人員体制、リスクへの備え、導入後の支援などに差がある場合があります。

要件への理解度、質問に対する回答の速さ、説明のわかりやすさも重要な判断材料です。

最安値を選ぶのではなく、費用、品質、納期、対応力、継続支援のバランスで依頼先を決めましょう。

精度の高い見積もりを取るための準備を進めよう!

精度の高い見積もりを得るには、開発会社へ伝える情報をできるだけ整理する必要があります。

まずは、システムを開発する目的と、解決したい業務上の課題を明確にしましょう。

機能については、絶対に必要なもの、できれば必要なもの、将来追加したいものに分けて優先順位を付けます。

利用者の種類、利用人数、対応端末、想定データ量、外部システムとの連携、セキュリティ条件も共有してください。

希望納期や予算上限に加え、納期と機能のどちらを優先するかなど、調整可能な条件も伝えると提案を受けやすくなります。

現行システムの資料、業務フロー、画面イメージ、使用中の帳票、データのサンプルがあれば、調査や見積もりに役立ちます。

すべての要件を確定できない場合は、未確定事項を隠すのではなく、そのまま共有することが大切です。

開発会社が置いた仮定と、条件変更による金額への影響を見積書に記載してもらうと、追加費用のリスクを管理しやすくなります。

予算を抑えるときは機能を削る順番を考えよう!

見積金額が予算を超えた場合は、単純な値引き交渉よりも、作業範囲や機能の優先順位を見直すほうが効果的です。

最初からすべての機能を作らず、業務やサービスを始めるために最低限必要な機能へ絞る方法があります。

初期版を公開した後、利用者の反応や業務上の効果を確認しながら追加開発すれば、不要な機能への投資を抑えられます。

既存のクラウドサービスやパッケージ製品を利用できる部分がないかも検討しましょう。

独自性の低い機能まで新規開発すると、開発費だけでなく、将来の保守費も増える可能性があります。

複雑な例外処理や独自の業務ルールを見直し、標準的な流れへ合わせることも工数削減につながります。

データ整理、マニュアル作成、受入テストなどを発注側で担当できる場合は、役割分担を調整する方法もあります。

ただし、品質、セキュリティ、障害対策を安易に削ることは避ける必要があります。

事業効果の低い機能から順番に調整し、必要な品質を保ちながら予算内に収めましょう。

まとめ

システム開発の見積金額は、主に工数と担当者の単価を軸に算出されます。

ただし、必要な機能、品質、納期、開発体制、データ移行、外部連携などの条件によって金額は大きく変わります。

そのため、一般的な相場や総額だけを見ても、見積もりが妥当かどうかを正確に判断することはできません。

見積書では、要件定義、設計、開発、テスト、プロジェクト管理、インフラ、データ移行、保守まで、必要な工程が含まれているかを確認しましょう。

作業範囲、前提条件、対象外項目、成果物、責任分担、仕様変更時の費用算定方法も重要なチェックポイントです。

複数社を比較するときは、同じ条件で見積もりを依頼し、含まれる作業と含まれない作業を一覧化してください。

依頼先は最安値だけで選ばず、要件の理解度、説明の具体性、品質管理、リスク対応、導入後の支援まで含めて判断することが大切です。

不明点を残したまま発注せず、金額の根拠と変更時のルールに納得できる状態を整えてから開発を始めましょう。

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この記事の監修

Dr.T。テストエンジニア。
PractiTestエバンジェリスト。
大学卒業後、外車純正Navi開発のテストエンジニアとしてキャリアをスタート。DTVチューナ開発会社、第三者検証会社等、数々のプロダクトの検証業務に従事。
2017年株式会社モンテカンポへ入社し、マネージメント業務の傍ら、自らもテストエンジニアとしテストコンサルやPractiTestの導入サポートなどを担当している。

記事制作:川上サトシ(マーケター、合同会社ぎあはーと代表)