ケース:美容室の年間契約をどう管理する?残回数・前受金・更新案内を仕組み化する方法

美容室では、年間契約や回数制のメニューを用意することで、お客様との継続的な関係をつくりやすくなります。一方で、契約内容が一人ひとり異なると、裏側の管理は想像以上に複雑です。
モンテカンポで業務効率化の仕事をしていると、「今日で何回目なのかをすぐ確認したい」「あと何回残っているか分かるようにしたい」「残り2回くらいになったら知らせてほしい」といった悩みを聞くことがあります。今回の美容室様では、さらにお客様ごとに契約金額が異なり、おまけ券の付与条件も複数あるため、前受金の計算は税理士の方に任せている状態でした。
そこで今回は、年間契約の利用管理と売上管理をどう仕組み化すればよいかを、5つの方法で整理しました!
単に表を作るのではなく、実際の店舗で続けられる運用を前提に考えていきます。
今回のケースの概要
今回悩みを聞いたのは、年間契約を取り扱っている美容室様です。
お客様には契約時に年間分の料金をまとめてお支払いいただき、その後は来店するたびに契約分を消化していきます。そのため店舗側では、何回利用したか、残り何回か、契約金額のうちいくら分を消化したかを把握する必要があります。
さらに、契約によって金額が異なるうえ、「この条件なら1回分を追加」「この契約にはサービス券を付ける」といったおまけのルールもあります。
つまり、単純に「10回券のうち3回使用したから残り7回」と計算するだけでは済みません。
一方、前払いで受け取った金額については、実際のサービス提供との関係を踏まえて売上を管理する必要があります。
具体的な会計・税務処理は契約内容や事業者の状況によって変わるため、ここは税理士の方に判断をお願いしながら、判断に必要な利用実績を店舗側できれいに作れる状態にしておくことが大切です。
今回のケースが抱える問題点
問題①:お客様ごとの契約内容を見ないと残回数が分からない
まず大きいのが、契約条件のばらつきです。
契約金額、利用できる回数、契約期間、おまけの有無などが一人ひとり違うと、「今日が何回目か」を調べるだけでも複数の情報を確認しなければなりません。
スタッフの記憶や紙の契約書に頼った管理では、お客様をお待たせしたり、数え間違いが起きたりする可能性もあります。
必要なのは、来店時にお客様の名前を確認すれば、契約内容・利用回数・残回数・残額が一つの画面で分かる状態です。
問題②:おまけ券が入ると「回数」と「金額」が一致しない
今回のケースで特に注意したいのがおまけ券です。
たとえば10万円で10回利用できる契約に2回分のおまけが付いている場合、画面上では12回利用できても、単純に10万円を12等分してよいとは限りません。
有償分を先に消化するのか、おまけ分を先に使うのか。おまけ分を売上管理上どのように扱うのか。期限切れ時はどうするのか。
こうしたルールが決まっていないまま表計算ソフトへ数式だけ入れてしまうと、計算そのものは自動でも、計算結果が正しいのか判断できない仕組みになってしまいます。
前払い型のサービスでは、「入金したタイミング」と「実際にサービスを提供したタイミング」を分けて記録できるようにしておくことが重要です。
問題③:契約更新の案内がスタッフの記憶頼みになる
「残り2回になったら案内したい」という希望は、顧客対応として非常に分かりやすいものです。
しかし、毎回来店後に残回数を確認し、「このお客様はそろそろ案内」とスタッフが覚えておく方法では、忙しい時間帯ほど抜けてしまいます。
本来ここは人が注意する仕事ではありません。
残回数が設定した数字になったら、自動的に対象者として表示するところまで仕組みに任せたほうが、案内漏れを防ぎやすくなります。
問題④:店舗の利用管理と税理士の前受金計算が分断されている
前受金の計算を税理士の方にお願いすること自体は問題ではありません。むしろ税務判断は専門家に任せるべき領域です。
問題になるのは、その手前にある「誰が、いつ、何回利用し、いくら分を消化したのか」という事実確認まで税理士側で整理しなければならない状態です。
店舗側で利用履歴が整理されていれば、月末に「今月利用された契約分」「契約ごとの残額」を一覧にして渡せます。
つまり、税理士に計算そのものを丸投げするのではなく、税理士が判断しやすいデータを店舗側で作ることが業務効率化につながります。
問題⑤:高機能なシステムを入れても、店舗で使えなければ意味がない
こうしたケースでは「全部システム化しましょう」と考えたくなりますが、最初から大きなシステムを導入することが正解とは限りません。
モンテカンポの業務効率化では、まず現在の仕事を整理し、人が行う仕事と仕組みに任せる仕事を分け、その職場に合った方法を選ぶことを重視します。
既存のサービスで解決できるのであれば、それを活用する。既存サービスだけでは難しい部分が明確になってから、必要な範囲でシステムを作る。この順番にすることで、過剰な仕組みになりにくくなります。
デジタル化についても、単純に新しいツールを入れるだけではなく、顧客情報や業務データを整理し、必要な情報を一元的に確認できる状態をつくることが、作業時間や確認作業の削減につながります。
モンテカンポが考える解決方法
提案①:表計算ソフトで契約台帳を一本化する
まず最も小さく始める方法です。
お客様ごとに、契約日、契約金額、有償回数、おまけ回数、利用回数、残回数、消化済み金額、残額などを管理する契約台帳を作ります。
ポイントは、単に一覧表を作るのではなく、「契約情報」と「来店履歴」を分けることです。
契約情報には「このお客様は10回契約」と登録し、来店履歴には「○月○日に1回利用」と記録します。利用回数は来店履歴から自動集計します。
こうしておけば、「7回利用した」と数字だけを書き換える方法と違い、後から「いつ7回利用したのか」まで確認できます。
契約件数がまだ少なく、スタッフ数も限られている美容室様なら、まずはこの方法だけでも管理負担をかなり整理できます。
提案②:残額の自動計算と「残り2回」の通知を加える
次の段階では、表計算ソフトに自動計算を加えます。
来店履歴に1件登録すると、利用回数が1増え、残回数が1減り、あらかじめ決めたルールに基づいて消化金額も更新される仕組みです。
そして残回数が2回になった時点で、「更新案内対象」と自動表示します。
ここからさらに一歩進めれば、担当スタッフへのメールなどで自動通知することもできます。
私たちなら、この通知は「毎朝全員を確認する」のではなく、来店処理をした瞬間に条件を判定する仕組みにします。これなら確認作業そのものを減らせるからです。
「忘れないように注意する」のではなく、「忘れても仕組みが知らせる」状態に変えることがポイントです。
提案③:おまけ券のルールを整理してから自動化する
今回、私たちが特に先に取り組みたいのがここです。
システムを作る前に、おまけ券について「誰に」「どんな条件で」「何回付与され」「いつ使い」「期限切れ時にどうするか」を整理します。
たとえば、有償10回とおまけ2回がある場合でも、「最初の10回を有償分として処理し、その後おまけを使う」というルールなのか、「12回全体に金額を配分する」という考え方なのかによって管理方法は変わります。
ここは業務効率化担当者だけで決めてはいけません。店舗の運用ルールを整理したうえで、税理士の方に会計・税務上の扱いを確認し、その確定したルールをシステムに実装するのが安全です。
つまり、税理士への依頼をなくすことが目的ではありません。税理士に毎回ゼロから計算してもらう状態から、一度確認したルールを仕組みに落とし、例外だけ確認してもらう状態へ変えていきます。
提案④:顧客管理用のデータベースに移行する
契約件数が増えてきた場合は、表計算ソフトではなく、ノーコード(プログラミングをほとんど行わずに仕組みを作れるサービス)などを使ったデータベース管理も有効です。
お客様情報、契約情報、来店履歴を別々に管理し、それぞれを関連付けます。
こうすると、一人のお客様が契約を更新して2契約目に入った場合でも、過去契約を消さずに履歴として残せます。
また、「残り2回のお客様だけ表示」「今月更新時期のお客様だけ表示」「前受金残高がある契約だけ表示」といった検索も簡単になります。
こうしたデータの一元管理は、作業効率の向上や入力・確認ミスの軽減、過去の記録を探す時間の短縮にもつながります。
年間契約が今後も増える予定であれば、表計算ソフトを複雑にし続けるより、早めにこちらへ移すほうが管理しやすい場合があります。
提案⑤:店舗専用の小さな管理システムをつくる
おまけ券の種類が非常に多い、契約ごとに金額の計算方法が異なる、既存の予約システムでは対応できない、といった場合には専用システムも選択肢になります。
ただし、私たちは最初から大規模なシステムを作る方法はおすすめしません。
まず必要なのは、「お客様を選ぶ」「今日の利用を登録する」「残回数と残額を見る」「残り2回になったら知らせる」「月末に税理士へ渡すデータを出す」といった、本当に必要な機能です。
この程度に絞れば、店舗スタッフが触る画面もかなりシンプルにできます。
特に今回のケースでは、月末時点の契約残高と、その月に消化した金額を一覧で出力できる機能を入れたいところです。
現場では「今日何回目か」がすぐ分かり、経営側では「まだサービス提供していない契約がどれだけ残っているか」を把握でき、税理士には集計済みの数字を渡せる。ここまでつながると、単なる回数券管理ではなく、店舗運営全体の効率化になります。
まとめ
今回の美容室様のケースでは、「残り何回か分かるようにしたい」という要望だけを見ると、単純な回数管理に見えます。
しかし実際には、顧客ごとに異なる契約条件、おまけ券、売上計上、前受金、更新案内がすべてつながっています。
だからこそ、いきなりツールを選ぶのではなく、最初に「契約した」「来店した」「1回分を消化した」「おまけを使った」「残額が変わった」という業務の流れを整理することが大切です。
今回の条件であれば、私たちはまず契約ルールを整理したうえで、表計算ソフトや小規模なデータベースで仕組みを作り、実際の運用を確認してから必要に応じて専用システムへ広げる方法を考えます。
税理士の専門的な判断はそのまま活かしながら、日々の来店実績と計算作業はできるだけ仕組みに任せる。
そうすることで、スタッフは「何回目だったかな」と確認する時間を減らし、本来向き合うべきお客様へのサービスに時間を使えるようになります。
本来の仕事に集中できる環境をつくりませんか?

専門的な知識や技術が必要な仕事ほど、日々の業務の中には、専門性とは直接関係のない作業も数多く発生します。
予約や顧客情報の管理、転記、集計、確認作業、進捗管理、書類作成など、本来はもっと効率化できる業務に時間を取られていないでしょうか。
こうした作業を一つひとつ見直していくことで、専門職の方が、専門職にしかできない仕事へ集中できる時間を増やすことができます。
モンテカンポの業務効率化相談サービスは、単にシステムやツールを導入するためのサービスではありません。
まず現在の業務を整理し、専門職が担うべき仕事と、仕組みに任せられる仕事を切り分けるところから支援します。 そのうえで、既存ツールの活用や業務フローの見直し、必要に応じたシステム開発まで、それぞれの現場に合った方法を考えます。
「この作業に毎日時間を取られている」
「担当者にしか分からない業務がある」
「もっと本来の仕事に集中したい」
そんな感覚が少しでもあるなら、一度業務を見直してみる価値があります。
課題が整理できていなくても問題ありません。今、時間を取られている業務や、負担に感じている作業をそのままお聞かせください。
専門職の方が専門性を発揮できる時間を増やすために、モンテカンポが業務の整理から一緒に考えます。
小さなお悩みでも大丈夫ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください!