【初心者必見!】テストシナリオの解体新書!テストシナリオとテストケースの違い、作成の流れ、注意点などその要点を徹底解説!
シナリオテストは、ソフトウェア開発における大切な工程です。
これは実際のユーザーの視点からシステムの動作を検証する手段で、業務フローに沿った一連の操作をシナリオとして作り、その順番を追ってテストを行います。
これによりシステムが実際の使用状況で期待通りに動作するかを確認することができ、ユーザーの満足度が向上します。しかしシナリオテストはよく他のテスト手法、例えばユースケーステストや受け入れテスト(UAT)と混同されがちです。
これらはそれぞれ異なる目的や特性を持っており、その違いを理解して正しいテストを実行することが重要です。
そこで今回は、新しくテスト管理の担当になった初心者の方にもわかりやすいように、シナリオテストの基本的な概念から、具体的な作成方法、そして実施する際のコツなどを徹底解説させていただきます。
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テストシナリオとテストケースの違い
テストシナリオはユーザー視点
テストシナリオとは、特定の状況や条件下での一連の動作や操作を詳細に記述したものです。
ユーザーがアプリケーションを使用する際の具体的な操作手順や、システムがどのように応答するかを定義します。シナリオ作成は、ユーザーの視点からシステムの動作を理解するための大切な準備です。
例えば旅行予約サイトでは、ユーザーが希望の旅行先を検索し、ホテルやフライトを選び、予約を完了するまでの手順をシナリオとして記述します。このシナリオを基にテストを行うことで、ユーザーが実際にシステムをどのように使用するのかを具体的に把握し、問題点や改善点を見つけるのです。
シナリオはテストの基礎となり、より現実に沿ったテストを行うための指針となります。これにより精度の高い実際のユーザー体験に基づいた評価が可能となります。
テストケースは機能視点
テストケースとは、システムの特定の機能や要件を検証するため、一連の手順・入力データ・予想される結果を具体的に記述した文書のことです。
テストケースは具体的で詳細な内容を含み、テスト対象、入力データ、期待される結果、前提条件、後処理などを明確にします。
例えば、先ほどの旅行予約サイトの例では、「希望の旅行先を入力して検索ボタンを押す」という一連の操作に対して期待される、「検索結果に該当のホテルやフライトが表示される」という結果が記載されます。
テストケースは各機能視点で正しい動作をチェックするために使用されます。これにより、詳細な動作や結果を検証することが可能になります。
シナリオテストとは
シナリオテストとは、ソフトウェアやシステムが実際の使用環境で期待通りに動作できるのかを検証するテスト手法です。具体的には、ユーザーがシステムをどのように使うかをシナリオ(ストーリー形式)として定義し、そのシナリオに基づいて一連の操作を行います。例えばECサイトであれば、ユーザーが商品を検索し、カートに追加し、購入するまでの流れをシナリオとして設定します。このテスト方法により、システムが業務要件を満たし、ユーザーの期待通りに動作するかを確認できます。
シナリオテストでは、単に個々の機能が正しく動作するかを確認するだけではなく、システム全体が統合されて正しく機能しているかどうかを検証します。これにより、システムの使いやすさや実用性を高めることができ、ユーザーが直面するであろう問題点や不具合を早めに発見することができます。
このシナリオテストによって、制作チームは新しいアプリケーションをリリースする前に、そのシステム動作の問題点を改善しておくことが可能になるのです。
シナリオテストの目的
シナリオテストの目的はシステムがユーザーの期待通りに動作するかを確認することです。
それぞれのシステムが個別に要件通りの機能を持っているだけでは、必ずしもユーザーが満足できるとは限りません。
例えばECサイトのシナリオテストでは、ユーザーが商品を検索し、カートに追加し、購入手続きを行う一連の流れをテストします。特定のブラウザで購入手続き中にエラーが発生する、入力画面の操作が直感的でなく難しい。このような障害の有無を確認できます。これらは個別の機能テストでは見つからないことが多いです。
アプリケーションがリリース後に高い評価を得るためには、シナリオテストを通じて実際の使用の流れに沿った問題点を洗い出し、あらかじめ改善しておくことが重要なのです。
シナリオテストの3つのメリット
シナリオテストを実施することには、以下のようなメリットがあります。
一連の操作フローを確認できる
シナリオテストは、システム全体の一連の操作フローを確認することができます。例えば、ECサイトではユーザーが商品を検索し、カートに追加し、購入手続きを完了するまでの流れを一度にテストできます。これにより、複数の画面やシステムをまたいで正しく連携できているかを確認でき、部分的なテストでは見逃されがちな問題を発見することができます。
複数のユーザー間の連携を検証できる
シナリオテストでは、異なる役割を持つユーザーがシステムを利用するシナリオを同時にテストできます。
例えばECサイトでは一般ユーザーが商品を購入するシナリオと、管理者が在庫を管理するシナリオを同時にテストすることが可能です。このユーザー間の連携がスムーズに行えなければ、良いアプリケーションとはいえません。
機能間の不整合を検出できる
シナリオテストは、システム内のさまざまな機能が連携して正しく動作するかを確認することができます。
例えばECサイトでは「商品をカートに追加する機能」と「支払い処理機能」が正しく連携しているかを確認します。
個別の機能をテストするだけでは、これらの機能が一緒に使われたときに生じる問題を見つけにくいことがあります。しかし、シナリオテストを実施することで、実際の使用状況に近い形でテストできるため、機能の連携における問題点を事前に発見できます。
シナリオテストは効率化が大切!
ソフトウェア開発に必須のシナリオテストですが、実施にはやはりデメリットもあります。
種類によっては時間とコストが異なる
アプリケーションの種類によっては、実際の業務フローに沿った詳細なシナリオを作成し、テストを実施するために多くの時間とコストがかかります。例えば大規模なERP(基幹)システムでは、全ての業務プロセスを網羅するシナリオを作成するのに多大な労力が必要です。
個々の機能という視点ではテストの精度が劣る
シナリオテストはユーザーの一連の行動から見たテストです。よって機能のひとつひとつの正確性をテストするという視点では次の章でご説明する「テストケース」よりも精度が劣ってしまいます。
複雑なシナリオの管理が難しい
シナリオが複雑になると、当然ながらテストの実施も複雑になり、管理が難しくなります。例えば医療システムにおいて、患者の診療履歴や薬剤管理など多岐にわたるシナリオを一括して管理するのは困難です。
シナリオの網羅が難しい
実際には趣味嗜好の異なるさまざまなユーザーがアプリケーションを使用するので、開発チームが想定できないような状況も当然出てきます。あらゆる業務シナリオを網羅することは非常に難しいでしょう。
変更対応の負担がかかる
業務フローやシステムに変更があった場合、シナリオの修正や更新が必要となり、対応も複雑になります。例えばソフトウェアのバージョンアップに伴い、既存のシナリオを再度やり直す必要があるでしょう。
テスト資産の再利用ができるツールを選ぶなどの対策が必要になります。
シナリオテストを効果的に実施するためには、これらのデメリットを理解し、より効率的な対策をおこなうことが大切です。
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▲シナリオテストのより具体的な例についてはこちらの記事もご参照ください!▲
シナリオテストとスクリプトテストの違い
スクリプトテストとは、テストケースを軸に実施されるテストのことです。
シナリオテストとスクリプトテストは、どちらもソフトウェアやシステムの品質を評価するための重要な手法ですが、その目的やアプローチに明確な違いがあります。これらの違いを理解することで、より効率的なテストを構築することができます。
テストケースとは
シナリオテストでは、ユーザーがシステムをどのように使用するかをテストシナリオ(ストーリー形式)として定義し、それに沿ってテストを実施します。
一方、スクリプトテストでは、特定の機能や要件に対するテストを個別に実施する手法です。主にシステムの正確性や詳細な動作を評価するために使用されます。
例えばECサイトの場合、シナリオテストでは以下のような一連の操作をテストします:
①ユーザーがサイトにログインする。 ②商品を検索する。 ③検索結果から商品を選択する。 ④商品をカートに追加する。 ⑤カートの内容を確認する。 ⑥支払い情報を入力し、購入を完了する。 |
この一連の操作を通じて、システムが業務要件を満たしたうえでユーザーが期待通りに操作できるかを確認します。
一方、スクリプトテストの場合は
①商品検索機能のスクリプトテスト 操作手順:検索ボックスに「ノートパソコン」と入力し、検索ボタンをクリックする。 期待結果:関連するノートパソコンの商品一覧が表示される。 |
②カート追加機能のスクリプトテスト 操作手順:特定の商品を選択し、「カートに追加」ボタンをクリックする。 期待結果:選択した商品がカートに追加され、カートの内容が更新される。 |
③支払い情報入力のスクリプトテスト 操作手順:カート内の商品を確認し、「支払いに進む」ボタンをクリックする。次に、クレジットカード情報を入力し、「購入を完了する」ボタンをクリックする。 期待結果:支払いが成功し、購入完了のメッセージが表示される。 |
このように機能システムを個別でテストしていきます。一連の流れにおけるテストではなく、点としてのテストになるイメージです。
スクリプトテストのメリット
スクリプトテストのメリットを4つのポイントに分けて説明します。
より網羅的なテスト結果が得られる
スクリプトテストは特定の機能に関する重要なデータに関して、すべてを検証することができます。個々の機能におけるテストの精度は非常に高いといえるでしょう。
テスト方法を明確化できる
スクリプトテストでは、人間の行動という不規則なシナリオがないため具体的なテストの手順を明確に示すことができます。これにより、テスト担当者は迷わずにテストを実施でき、効率的に一貫性ある結果を得ることができます。
例えば「商品名を検索し、検索結果が表示されることを確認する」という手順が具体的に記載されていることで、誰がテストを実施しても同じ結果が得られます。チーム内での共有がよりスムーズとなるでしょう。
重要なテスト手順の指示漏れを防止できる
スクリプトテストではテストケースにより検証したい機能を明確化できることで、重要なテストの指示漏れを防止できます。より具体的で詳細な手順が記載されているため、テスト担当者はすべての必要なステップを確実に実施できるのです。
シナリオテストとスクリプトテストの比較
シナリオテスト | スクリプトテスト | |
特徴 | ソフトウェアを実際に使用するうえでの機能全体をユーザーの観点から一連の流れでテストする。 | ソフトウェアの特定の機能について、網羅した詳細なテストを実施する。 |
行動量 | 多い | 少ない |
テストの精度 | 低い | 高い |
例 | 「ソフトウェアのログイン機能を確認する」 | 「間違ったパスワードを入力した場合のログイン機能の確認」 |
利点 | ・一連の操作フローを確認できる ・複数のユーザー間の連携を検証できる ・機能間の不整合を検出できる | ・より詳細なテスト結果が得られる ・テスト方法を明確化できる ・重要なテスト手順の見逃し防止 ・効率的なテストの割り当てができる |
視点とアプローチが違う
シナリオテストとテストケースの主な違いは、その視点とアプローチにあります。シナリオテストは、エンドユーザーの目線から全体の流れを重視し、システム全体の統合性や実用性を評価します。ユーザーが実際にシステムをどのように使うかをシナリオとして定義し、そのシナリオに基づいてテストを行うことで、システムが業務要件を満たし、ユーザーが期待通りに操作できるかを確認します。
一方、テストケースは、個々の機能からの視点から正確性や詳細な動作を評価します。各機能に対する具体的な操作手順と期待される結果を記述し、その手順に基づいてテストを行うことで、システムの各機能が正しく動作するかを確認します。
これらの違いを理解することで、より適切なテスト戦略を選択し、システムの品質を向上させることができるでしょう。
▲テストケースについてもっと知りたい方はこちらの記事もご参照ください!▲
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シナリオテストとユースケーステストの違い
次に、シナリオテストと混同されて理解されがちなユースケーステストについて、そのふたつの違いを解説させていただきます。
ユースケースとは
ユースケースとは、システムのユーザーがどのような目的でシステムを利用し、どのような結果を得たいのかを具体的に記述したものです。システムが提供すべき機能やサービスを明確にするための重要なツールで、ユーザーがシステムを使用して行う一連の操作やその操作に対するシステムの反応が詳細に記載されます。
シナリオテストとは視点が異なる
上記の説明ではシナリオテストとなにが違うのか、わからない方が多いかもしれません。
このふたつのテストは、端的にいえば視点が異なります。
シナリオテスト | 行動するユーザーの視点から作成したシナリオを元におこなう。 |
ユースケーステスト | システムの機能からの視点で作成したユースケースを元におこなう。 |
シナリオテストではユーザーの視点から行動の一連の流れをシナリオに落とし込み、それに沿ってテストをしてシステム全体を評価します。
例えばECサイトでは、「ユーザーがログインして商品を検索し、カートに追加して購入手続きを完了する」という一連の操作をテストします。この手法では、システムがユーザーの期待通りに動作するかを確認し、合わせて使いやすさや実用性を評価します。
それに対してユースケーステストでは、システムが提供すべき機能やサービスを詳細に記述し、それに沿ってテストを行います。
例えばECサイトのユースケーステストでは、「ユーザーが商品を検索する」「カートに商品を追加する」「購入手続きを完了する」などの機能自体が期待通りに動作するかどうかを評価します。
シナリオテストは、ユースケーステストよりも俯瞰的な視点で実施されます。システムの機能要件に沿った操作だけでなく、ユーザーが実際に行う可能性のある一連の操作も含まれるため、システム全体の動作をより包括的に評価できます。
ユースケーステストはシナリオテストに含まれることも
上記の性質から、シナリオテストはユースケーステストを兼ねていることも多く、混同されがちです。ただし両者の違いを明確に理解することで、よりチーム内でのテストの認識共有がスムーズになるでしょう。
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シナリオテストとUAT(受け入れテスト)の違い
混同されがちなシナリオテストとUAT(受け入れテスト)について、その違いを解説させていただきます。
UATとは
UAT(User Acceptance Testing)は、「受け入れテスト」とも呼ばれ、システム開発の最終段階で行われる重要なテストです。
このテストの主な目的は、システムが業務要件を満たし、実際の業務で使用できるかどうかを確認することです。UATは、システムの実際のユーザーやその代表が参加して行われるため、本物のユーザー視点からシステムの機能性と使いやすさを評価できます。
シナリオテストとは主体と目的、実施段階が異なる
まずシナリオテストとUATでは、その実施の主体が異なります。
シナリオテストの場合は実施する主体が開発者です。それに対して、UATは発注者が主体となります。
そのうえでシナリオテストは操作の流れやユーザー体験を重視しますが、UATは業務要件の達成を重視します。
またシナリオテストの目的は、ユーザー視点からシステム全体を評価し、使いやすさや操作性を確認することです。これにより、ユーザー体験を向上させることができます。
対してUATの目的は、システムが業務要件を満たしているかを確認し、実際の業務で使用できることを保証することです。これにより、システムの信頼性と実用性が確保されます。開発の最終段階でおこなわれることも特徴のひとつです。
シナリオテストと探索的テストの違い
探索的テストは、テストシナリオやテストケースを使用せず、テスト実行者がテストアイテムや以前のテスト結果の知識を活用して動的に実行するテストアプローチです。
この方法では、テストを進めながらプロダクトのシステムについて学習し、欠陥を見つけるためのテスト設計を行います。事前に詳細なテスト設計を行う必要がないため、準備が少なく、迅速にテストを開始できるのが特徴です。
この柔軟性とスピードはアジャイル開発と非常に相性が良く、近年のアジャイル開発の普及とともに探索的テストへの注目度が高まっています。
探索的テストの強みは、仕様書に記載されていない機能や、仕様上で論理が矛盾している機能に対してもテストを行える点にもあります。これにより、文書化されていないバグや潜在的な問題を発見することができます。
▲探索的テストについてもっと知りたい方はこちらの記事もご参照ください!▲
シナリオテスト作成の流れ
目的を決める
シナリオテストを作成する際には、まずテストの目的を明確にすることが重要です。目的が曖昧だと、テストの範囲や優先順位が不明確になり、効果的なテストが実施できません。
例えばECサイトにおけるテストの目的として、「顧客がスムーズに商品を購入できるかを確認する」という目標を立てます。この目的に基づいて、ユーザーがログインから商品検索、カートへの追加、購入手続きまでの一連の操作がスムーズに行えるかを確認します。
シナリオを作成する
次に、ユーザーが実際に行う操作を具体的にイメージしてシナリオを作成します。
すでにご説明したとおり、シナリオはシステムの使用方法を詳細に記述したもので、実際の業務フローに沿ったテストを行うための基礎となります。
どのような心理状態でどのような操作をするのか。それらを複数のパターンに分けてできるだけ具体的に想像していきましょう。
複数の心理について取り扱うことになるので、可能であればひとりではなく複数人でアイディアを出しあいながら考えることをオススメします。そうすることで、テストの網羅性が高まるからです。
こうやってイメージしたユーザーの心理・行動をシナリオとして詳細に記述していきましょう。
テスト項目を作成する
作成したシナリオを元に、今回テストするべき項目を作成します。最初に決めた目的に沿った、より具体的な操作手順と期待される結果を記載することが重要です。
これにより、テスト担当者が迷わずにテストを実施でき、一貫性のあるテストが可能になります。
シナリオテストを実行する
シナリオを作成したら、実際にテストを実行します。
実行時には、システムの動作を注意深く観察し、期待される結果が得られるかを確認します。実際の動作を評価しながら、潜在的な問題を発見していきましょう。
テスト結果を記録する
テストを実行したら、必ずその詳細を記録します。
テスト結果の記録は、次のテストや開発のために活かすことができます。テストの実行日時、担当者、実行した操作、得られた結果、発見された不具合など、具体的な基礎データをすべて記録しておきましょう。詳細な記録を残すことで、同じテストを再現したり、他のチームメンバーと情報を共有したりする際に役立ちます。
分析して報告書を作成する
テスト結果を記録したら、それを基に分析を行います。
そして、その分析を報告書にまとめます。
分析では、発見された不具合の原因や傾向を特定し、改善点を提案します。
報告書には、テストの概要、実施したシナリオ、得られた結果、発見された問題点、改善提案を記載していきます。この報告をもとに、チーム全体がテストの状況を把握し、改善ステップや次の開発ステップに進んでいくのです。
報告書は、次のシステム開発にとっても重要な資料となりますので、可能なかぎり具体的かつ正確に詳細を記述していきましょう。
再テストと修正の確認
最後に、発見された不具合を修正し、再度テストを実施して修正が適切に行われたかを確認します。
再テストでは、修正の効果を確認し、新たな不具合が発生していないかを検証していきます。再テストの結果を記録し、問題がすべて解決したことを確認したら、シナリオテストは完了です。
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シナリオテストのテンプレート
シナリオテストの具体的なサンプルを作成する際には、誰が読んでも理解できるよう「テスト手順と正しい動作の定義、テスト結果」を記載することが大切です。
シナリオテストに記載すべき基本項目は以下の通りです。
①シナリオのID
各シナリオに一意の識別子を付けます。
例:「Scenario-001」
②シナリオの名称
シナリオを簡潔に説明する名前を付けます。
例:「ユーザーの新規登録とログインテスト」など
③シナリオの概要
シナリオの目的や背景を簡単に説明します。
例:「ユーザーが新規登録を完了してログインするまでの一連の操作をテストするためのシナリオ」など
④シナリオの前提条件
シナリオを実行する前に満たす必要がある条件をリストします。
例:「ユーザーアカウントが未作成の状態」など
⑤テストに必要なデータ
テストの実行に必要なデータをリストします。
例:「ユーザー情報、支払いカードの情報」など
⑥テストの手順
シナリオの各ステップを詳細に記述します。
例:
1.ウェブサイトにアクセスする。 2.新規会員登録ページに移動する。 3.ユーザー情報を入力する。 4.支払い情報を入力する。 5.仮登録メールを発信する。 6.仮登録メールからログインをする。 |
⑦テストで期待される結果
各ステップの結果として期待される動作を記述します。
例:
1.ウェブサイトのホームページが表示される。 2.新規会員登録画面が表示される。 3.ユーザー情報を入力できる。 4.支払い情報を入力できる。 5.仮登録メールが発信される。 6.仮登録メールから正しくログインできる。 |
⑧テストを実行する環境
テストを実行する環境の詳細を記載します。例えば「Google Chrome 90.0、Windows 10」といったブラウザ名とバージョン、OSを記載します。
⑨メモ・備考
シナリオに関連するその他の情報や注意点を記載します。
⑩テストの結果
実際のテスト結果を記録します。
⑪見つかった問題
テスト実施により見つかった問題やバグ等を記録します。スクリーンショットやログなどが添付されていれば、チームやクライアントにより共有しやすいテスト結果となるでしょう。
⑫テスト担当者
シナリオテストの担当者の名前を記載します。
⑬テストを実行した日付
シナリオテストが実行された日付を記載します。
このようにシナリオテストを詳細に記述することで、誰が実施しても同じ結果が得られるようにし、テストの再現性と信頼性が生まれるのです。
▲シナリオテストの具体例についてはこちらの記事もご参照ください!▲
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シナリオテスト作成のコツ
シナリオテストの作成には、いくつかのコツがあります。ここではシナリオテストを作成する際の具体的なコツを詳しく説明します。
ユーザーの行動を時系列で整理する
シナリオテストを成功させるためには、そのシナリオがより実際のユーザーの操作に近い内容で組み立てられている必要があります。ユーザーの心理や行動を時系列で整理して作成することで、可能なかぎり現実的なテストを実施することができるのです。
シナリオを整理しておく
ユーザーに様々な行動パターンがある以上、シナリオは無限につくれてしまいます。テストを効果的に実施するためには、シナリオを必要な要素で整理しておくことが重要です。これにより、テストの計画や実行がスムーズになり、結果の分析やフィードバックも効率的に行えます。
テスト対象の条件によって整理する場合、ECサイトのテストであれば、「ログイン済みユーザー」「ゲストユーザー」「モバイルデバイスからのアクセス」などのユーザーの条件で分けておきます。
またテストしたいシステムの重要度によって整理することも多いです。ECサイトのテストであれば、「商品検索」「カート追加」「購入手続き」などが高優先度のシナリオになるでしょう。
ユーザー視点であること
ここまでご説明してきたように、シナリオテストはユーザーの視点からシステムの使い勝手や実用性を評価するためのテストです。そのため、ユーザーが実際にシステムをどのように使用するかを想定し、ユーザーの視点からシナリオを考えることが最も重要です。
システムの動作フローを理解しておくこと
シナリオテストを作成する際には、システムの動作するフローを正確に理解することが不可欠です。動作フローを完全に理解した上でシナリオを作成することで、システムが業務要件を満たしているかをスムーズに確認できます。
再利用が可能なシナリオを作成する
シナリオテストでは、繰り返し行うテストを効率化するために、再利用が可能なシナリオを作成することも重要です。これにより、テストの効率を向上させることができます。
それを毎回使用することで、テスト時間を短縮し、テストの一貫性を保つことができます。
チーム内でのコミュニケーション
シナリオテストを効果的に実施するためには、関係者とのコミュニケーションが欠かせません。シナリオの目的や内容を関係者全員と共有し、意見を交換することで、より精度の高いテストシナリオを作成できます。
シナリオテストを作成する際の注意点
最後に、シナリオテストを効果的に実施するための重要な注意点を説明します。
テスト範囲を明確にする
シナリオテストを実施する際には、まずテスト範囲を明確に設定することが重要です。テスト範囲が不明確だと、テストの目的や重点が曖昧になり、効果的なテストが行えません。具体的な範囲を設定することで、テストの方向性が明確になり、無駄なテストを省くことができます。
ユーザーの心理・行動を分析する
シナリオテストを効果的に行うためには、まずユーザーの心理・行動をしっかりと理解することが重要です。想定されるユーザーに関してはそのペルソナやカスタマージャーニーを作成しておくことをオススメします。
ペルソナは、典型的なユーザー像を具体的に描写したものです。年齢、職業、趣味、使用するデバイスなど細かい部分まで想定して作成します。またカスタマージャーニーは、ユーザーがシステムを利用する際の具体的なステップの流れを記したもので、どのセクションでどのような行動や経験をするかを明確にしたものです。
想定外の操作についてもイメージしておく
シナリオを作成する際には、システムの機能や正常な操作方法に縛られないようにする必要があります。例えば、ユーザーが意図せずに不正なデータを入力した場合や、通常の手順を飛ばして操作を進めた場合などを考慮に入れます。
例として、フォームに入力する際に必須項目を空欄のまま送信しようとしたり、ログインせずに購入手続きを進める状況をシナリオに含めることで、不具合を発見しやすくなります。このように、ユーザーがどのような予期しない操作を行うかを想定してシナリオを設計することが重要です。
まとめ
シナリオテストは、ユーザーの視点からシステムを評価し、業務要件を確認するための重要な手法です。システムが実際の使用状況で期待通りに動作するかを検証し、ユーザー体験の向上を目指します。
シナリオテストを効果的に実施するためには、いくつかのポイントを抑えておく必要があります。まず、テストの目的を明確に設定することが不可欠です。例えばECサイトでは「顧客がスムーズに商品を購入できるかを確認する」といった具体的な目的を設定します。次に、具体的な操作手順と期待される結果を詳細に記述します。例えば「検索ボックスに商品名を入力し、検索ボタンをクリックする。検索結果から商品を選択し、カートに追加する」といった手順です。テスト実行後には、結果を詳細に記録します。
テストの実行日時、担当者、実行した操作、得られた結果、発見された不具合などを含めることで、テストの有効性を確認し、問題点の特定がスムーズになります。さらに、再利用可能なシナリオを作成することが重要です。これにより、システムのバージョンアップや機能追加時にも迅速にテストを行えます。
これらのポイントを押さえることで、システムの実用性と品質を大幅に向上させることができます。
シナリオテストはシステム開発に必須な工程です。より正しい方法で効率よく実施していくことをオススメいたします!
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この記事の監修
Dr.T。テストエンジニア。
PractiTestエバンジェリスト。
大学卒業後、外車純正Navi開発のテストエンジニアとしてキャリアをスタート。DTVチューナ開発会社、第三者検証会社等、数々のプロダクトの検証業務に従事。
2017年株式会社モンテカンポへ入社し、マネージメント業務の傍ら、自らもテストエンジニアとしテストコンサルやPractiTestの導入サポートなどを担当している。
記事制作:川上サトシ