ホワイトボックステストとは?種類や手法、進め方を解説!

「高品質なソフトウェア開発」

この目標を達成するために、ホワイトボックステストの実施は必要不可欠な工程です。

しかし、具体的な手法や効率的な実施方法を理解していないと、その効果を最大限に引き出すことはできません。

そこで今回は、ホワイトボックステストの基本から実践的なテクニックまでを分かりやすく解説します!

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ホワイトボックステストとは?

ホワイトボックステストとは、ソフトウェアの内部構造に着目し、ソースコードや設計書などを参考にしながら行うテストのことです。

プログラムのロジックやデータの流れを把握し、コードレベルで問題がないかを検証します。これにより、単なる入力と出力の確認だけでは見つけにくい、潜在的なバグやエラーを検出することができます。

ホワイトボックステストは、ユニットテスト、結合テスト、システムテストなどのテストフェーズにおいて活用されます。

それぞれのフェーズで、コードの構造やロジックに基づいたテストケースを作成し、実行することで、ソフトウェアの品質を多角的に検証することができます。

ブラックボックステストとの違い

ソフトウェアテストには、大きく分けて「ホワイトボックステスト」と「ブラックボックステスト」の2種類があります。

・ホワイトボックステスト:ソフトウェアの内部構造に着目し、コードレベルで問題がないかを検証するテスト手法です。

・ブラックボックステスト:ソフトウェアの内部構造を考慮せず、入力と出力のみに着目して仕様通りの動作をするかを検証するテスト手法です。

例えるなら、ホワイトボックステストは時計の内部構造を理解した上で、歯車の一つ一つが正しく動いているかを確認するイメージです。

一方でブラックボックステストの場合は、時計の針が正しい時刻を示しているかを確認します。

ホワイトボックステストのメリット

ホワイトボックステストには、以下のようなメリットがあります。

・テストの網羅性が向上する:コードレベルでテストを行うため、ブラックボックステストでは見つけにくい隠れたバグやエラーを発見することができます。

・ソースコード自体の品質向上:問題の早期発見・修正により、ソフトウェア全体の品質向上に貢献します。また、可読性や保守性の高いコードを書く意識も高まります。

・テストを効率化できる:コードの変更箇所を特定し、影響範囲を絞り込むことで、テストの効率化を図ることができます。

どんな時にホワイトボックステストを使うべき?

ホワイトボックステストは、特に以下の2つのタイミングで実施することが推奨されます。

・ソフトウェア開発ライフサイクルの早い段階

具体的には、システムやソフトウェアの設計フェーズ直後、つまり、コーディングがまだ始まったばかりの段階で行われます。

・コードが一部修正または再設計された場合

影響範囲を特定し、その部分に焦点を当ててテストを行うことで、効率的に品質を保証できます。

これらの主な理由は、開発初期段階で問題を発見し、修正することで、後工程での手戻りやコスト増大を防ぐためです。

早期にバグを発見し、修正することで、開発全体の効率化と品質向上に大きく貢献します。

ホワイトボックステストの種類

ホワイトボックステストでは、特定のテスト項目がどれだけ実行されたかを示すカバレッジと、そのカバレッジが全体のどれだけを占めているかを示す網羅率が重要な指標になります。

ここでは代表的な3つの種類である「ステートメントカバレッジ」「ブランチカバレッジ」「パスカバレッジ」について解説します。

ステートメントカバレッジ

ステートメントカバレッジは、プログラム中の全てのステートメント(命令文)を少なくとも1回は実行するテスト手法です。この手法は、コードの網羅性を確認する上で基本的な指標となります。

例えば、以下のPythonコードがあるとします。

Python
def calculate_discount(price, discount_rate): 
   if discount_rate > 0:
        discounted_price = price * (1 – discount_rate / 100)
        return discounted_price
    else:
        return price

このコードに対してステートメントカバレッジ100%を達成するためには、if文の条件が真となるケースと偽となるケースの両方をテストする必要があります。

ブランチカバレッジ

ブランチカバレッジは、プログラム中の全ての分岐(if文、switch文など)の真偽の組み合わせを少なくとも1回は実行するテスト手法です。

ステートメントカバレッジよりも詳細なテストが可能となり、より多くのバグを発見できる可能性があります。

先ほどのPythonコードの例では、if文の条件が真となるケースと偽となるケースの両方をテストするだけでなく、discount_rateが0の場合など、境界値も考慮する必要があります。

パスカバレッジ

パスカバレッジは、プログラム中の全ての実行可能なパスを少なくとも1回は実行するテストケースを作成する手法です。

分岐だけでなく、ループ処理なども考慮するため、非常に網羅性の高いテストが可能となりますが、テストケース数が膨大になる可能性もあります。

先ほどのPythonコードの例では、単純なためパスカバレッジはブランチカバレッジと同じになりますが、複雑な条件分岐やループ処理を含むコードでは、パスカバレッジを達成するためのテストケース設計が非常に重要となります。

これらのカバレッジ以外にも、条件カバレッジ複合条件カバレッジなど、様々な種類があります。

テスト対象のシステムや重要度に応じて、適切なカバレッジを選択し、効率的かつ効果的なホワイトボックステストを実施しましょう。

ホワイトボックステストの手法をマスターしよう

ホワイトボックステストを効果的に実施するためには、具体的なテスト手法を理解することが重要です。

ここでは、代表的なテスト手法と、テストケース設計のコツ、そして効率的なテスト実施をサポートするツールについて解説します。

具体的なテスト手法

ホワイトボックステストおよびブラックボックステストで使われる代表的な4つの手法を紹介します。

制御フローテスト

制御フローテストは、プログラムの制御構造(分岐やループなど)に着目し、全てのパスを通るようにテストケースを作成する手法です。

これにより、コードの網羅性を高め、条件分岐の誤りや無限ループなどを検出することができます。

データフローテスト

データフローテストは、プログラム内のデータの流れに着目し、変数の定義、使用、変更などを追跡しながらテストケースを作成する手法です。

これにより、変数の初期化忘れや未定義変数の使用、データの破壊などを検出することができます。

同値分割法

同値分割法は、入力値をいくつかのグループ(同値クラス)に分け、各グループから代表的な値を選択してテストケースを作成する手法です。

これにより、テストケース数を削減しつつ、効率的にテストを行うことができます。

境界値分析

境界値分析は、入力値の境界付近に焦点を当て、境界値やその前後をテストケースとして設定する手法です。

これにより、境界値における誤動作やエラーを検出することができます。

テストケース設計のコツ

効果的なテストケースを作成するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

網羅性を意識する

テスト対象のコードを網羅的にカバーできるよう、様々なケースを想定してテストケースを作成しましょう。

期待結果を明確にする

テストケースごとに期待される結果を明確に定義することで、テストの成否を客観的に判断することができます。

効率性を考慮する

テストケース数が膨大にならないよう、同値分割法や境界値分析などを活用して効率的にテストケースを作成しましょう。

保守性を考慮する

コードの変更に強いテストケースを作成することで、メンテナンスコストを削減することができます。

テストツールの活用

ホワイトボックステストでは、複雑なコードや多数の条件分岐をテストすることが求められるため、手動でのテストは非常に時間がかかります。


そのため、ホワイトボックステストを効率的に実施するためには、テスト自動化ツールテスト管理ツールなどの活用が欠かせません。これらのツールを利用することで、以下のような利点が考えられます。

テストの自動化

繰り返し実行するテストケースを自動化することで、時間と手間を削減し、テストの効率を向上させることができます。

テスト結果の管理

テスト結果を一元管理することで、進捗状況の把握や問題点の分析を容易に行うことができます。

カバレッジの計測

テストケースがコードをどの程度カバーしているかを計測し、テストの網羅性を評価することができます。

実践!ホワイトボックステストの効果的な進め方

ホワイトボックステストを成功させるためには、事前の計画適切な環境の準備、そして結果の分析と共有が欠かせません。

これらのステップを丁寧に踏むことで、テストの効果を最大化し、プロジェクト全体の品質向上に貢献することができます。

テスト計画の立て方

ホワイトボックステストを始める前に、まずはテスト計画を立てましょう。

テスト計画では、テストの目的、範囲、スケジュール、担当者、必要なリソースなどを明確に定義します。

・テストの目的:何を検証したいのか、どのような問題を発見したいのかを具体的に定義します。
・テスト範囲:どのモジュールや機能をテスト対象とするのかを明確にします。
・スケジュール:テストの実施期間や各フェーズのスケジュールを設定します。
・担当者:各テストケースの担当者や責任者を明確にします。
・必要なリソース:テストに必要な人員、機材、ツールなどをリストアップします。

テスト計画を立てることで、テスト全体の見通しを立て、効率的なテスト実施が可能になります。また、チームメンバー間での情報共有や進捗管理にも役立ちます。

テスト環境の構築

ホワイトボックステストでは、実際の運用環境に近いテスト環境を構築することが重要です。

これにより、テスト結果の信頼性を高め、本番環境での問題発生を未然に防ぐことができます。

・ハードウェア:テスト対象のソフトウェアが動作するハードウェア環境を準備します。
・ソフトウェア:OS、ミドルウェア、ライブラリなど、必要なソフトウェアをインストールし、設定を行います。
・ネットワーク:ネットワーク構成や通信環境などを、実際の運用環境に合わせて設定します。
・テストデータ:テストに必要なデータを準備します。本番データのコピーや、テスト用に作成したダミーデータなどを利用します。

テスト環境の構築には、時間と手間がかかる場合もありますが、テスト結果の信頼性を確保するために非常に重要なプロセスです。

テスト結果の分析と報告

テスト実施後は、結果を分析し、問題点や改善点を明確に報告することが重要です。

報告書には、以下の内容を含めるようにしましょう。

・テスト概要:テストの目的、範囲、実施期間などを記載します。
・テスト結果:各テストケースの実施結果を、成功・失敗・未実施などに分類してまとめます。
・不具合報告:発見された不具合やエラーについて、詳細な情報を記載します。再現手順、発生頻度、影響範囲などを明確にしましょう。
・改善提案:テスト結果を踏まえ、ソフトウェアの改善点や今後のテスト計画への提言などを記載します。

テスト結果の分析と報告は、開発チーム全体で共有し、今後の開発プロセスに活かすことが重要です。また、報告書は、プロジェクトの進捗管理や品質評価の資料としても活用されます。

まとめ

この記事では、ホワイトボックステストの基本から具体的な手法、効率化のためのテクニック、そしてテストの実施手順までを解説しました。

ホワイトボックステストは、コードレベルの問題を早期に発見し、ソフトウェアの品質を向上させる強力な手法です。

ブラックボックステストと比較して、より深く内部構造を理解し、網羅的なテストを行うことができます。

具体的な手法としては、制御フローテスト、データフローテスト、同値分割法、境界値分析などが挙げられます。

これらの手法を適切に組み合わせ、テスト自動化ツールなどを活用することで、効率的かつ効果的なテストを実施できます。テスト計画の立案、テスト環境の構築、そして結果の分析と報告まで、各ステップを丁寧に進めることが、ホワイトボックステスト成功の鍵です。

ホワイトボックステストは、単にバグを見つけるだけでなく、開発者自身のスキルアップやチーム内での信頼度向上にも繋がります。この記事で得た知識を活かし、ぜひホワイトボックステストに挑戦してみてください。

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この記事の監修

Dr.T。テストエンジニア。
PractiTestエバンジェリスト。
大学卒業後、外車純正Navi開発のテストエンジニアとしてキャリアをスタート。DTVチューナ開発会社、第三者検証会社等、数々のプロダクトの検証業務に従事。
2017年株式会社モンテカンポへ入社し、マネージメント業務の傍ら、自らもテストエンジニアとしテストコンサルやPractiTestの導入サポートなどを担当している。