構造化プログラミングの効果を正しく理解!オブジェクト指向のプログラミングへ応用しよう!

プロジェクトの規模が大きくなるにつれて、コードが複雑化し、バグが増加してしまうことは珍しくありません。

複雑なコードは、可読性や保守性が低く、バグの発見や修正が困難になるため、開発効率の低下に繋がります。

またチーム開発では、他の開発者が書いたコードを理解するのに時間がかかったり、意図しない変更を加えてしまうことで、新たなバグを生み出す可能性もあります。

そんな状態を防ぐため、質の高いコードを書くために有効な手法の一つが、構造化プログラミングです。

構造化プログラミングとは、プログラムを「順次」「選択」「繰り返し」の3つの基本構造で記述する手法のことです。

構造化プログラミングを採用することで、プログラムの流れをわかりやすくし、可読性や保守性を高めることができます。

そしてこれらを正しく理解することで、オブジェクト指向プログラミングを導入し、複雑ながらもより理解しやすく、保守しやすいコードを作成することができるでしょう。

そこで今回は構造化プログラミングの概要、メリット・デメリット、具体的なコード例、そしてオブジェクト指向プログラミングへの応用方法について解説します!

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質の高いコードとは?

開発効率を上げるためには、チーム全体で協力し、質の高いコードを書くことが重要です。

質の高いコードとは、

・可読性が高い

・保守性が高い

・信頼性が高い

コードのことです。

可読性が高いコード

可読性が高いコードとは、 人が読んで理解しやすいコード のことです。

コードは、コンピュータが実行するための命令であると同時に、人が読んで理解するための文書でもあります。

可読性の高いコードは、

・変数名や関数名がわかりやすい

・コメントが適切に記述されている

・インデントや改行が適切に行われている

・コードの構造が整理されている

などの特徴があります。

可読性が高いコードは、他の開発者にとっても理解しやすく、修正や機能追加を容易に行うことができます。

また、コードレビューの際にも、可読性が高いコードは、問題点を見つけやすく、スムーズにレビューを進めることができます。

保守性が高いコード

保守性が高いコードとは、 変更や修正がしやすいコード のことです。

ソフトウェア開発では、バグの修正や機能の追加など、コードを変更する作業が頻繁に発生します。

保守性が高いコードは、変更を加えても、他の部分に影響を与えにくく、バグが発生するリスクを低減することができます。

また、保守性が高いコードは、長期にわたって安定して運用することができます。

信頼性が高いコード

信頼性が高いコードとは、 バグやエラーが発生しにくいコード のことです。

信頼性が高いコードは、以下の点に注意して作成されています。

・コーディング規約を遵守している

・テストが十分に行われている

・セキュリティ対策が適切に行われている

信頼性が高いコードは、予期せぬエラーやバグが発生するリスクが低く、安心して使用することができます。

Webアプリケーション開発において、信頼性が高いコードは、サービスの安定稼働に繋がり、ユーザー満足度向上に貢献します。

構造化プログラミングとは?

構造化プログラミングの定義

構造化プログラミングとは、プログラムを「順次」「選択」「繰り返し」の3つの基本構造で記述する手法のことです。

これらの基本構造だけを用いることで、プログラムの流れをわかりやすくし、可読性や保守性を高めることができます。

構造化プログラミングは、1960年代後半に提唱されたプログラミング手法で、 Edsger Wybe Dijkstra(エズガー・ウィーブ・ダイクストラ)という人物が提唱したことで知られています。

当時は、プログラムの構造が複雑化し、バグの発生や修正が困難になるケースが増えていました。

そこで、プログラムを基本構造のみで記述することで、これらの問題を解決しようとしたのが構造化プログラミングです。

3つの基本構造

構造化プログラミングで使用する3つの基本構造は以下の通りです。

順次構造: プログラムの処理を上から順番に実行していく構造です。

選択構造: 条件によって処理を分岐させる構造です。if文やswitch文などを使用します。

繰り返し構造: 同じ処理を繰り返す構造です。for文やwhile文などを使用します。

これらの基本構造を組み合わせることで、様々な処理を記述することができます。

構造化プログラミングでは、goto文のような、プログラムの流れを複雑にする命令の使用を避けることが重要です。

goto文は、プログラムの任意の場所にジャンプする命令で、プログラムの流れをわかりにくくする原因となります。

構造化プログラミングでは、goto文を使わずに、3つの基本構造のみでプログラムを記述することで、プログラムの流れを明確にし、可読性を高めます。

構造化プログラミングのメリットとデメリット

構造化プログラミングを採用することで、様々なメリットを得られますが、デメリットも存在します。ここでは、構造化プログラミングのメリットとデメリットについて解説します。

メリット

構造化プログラミングのメリットは、以下の点が挙げられます。

プログラムの可読性向上

3つの基本構造のみでプログラムを記述するため、プログラムの流れがわかりやすくなり、可読性が向上します。

プログラムの保守性向上

プログラムの構造がシンプルになるため、バグの発見や修正、機能の追加などが容易になり、保守性が向上します。

バグ発生率の抑制

プログラムの流れがわかりやすくなることで、バグの発生率を抑制することができます。

デバッグの効率化

バグが発生した場合でも、構造化されたプログラムであれば、原因を特定しやすいため、デバッグ作業を効率化することができます。

チーム開発の効率化

チームで開発を行う際、構造化プログラミングを採用することで、コードの統一性を保ち、共同作業をスムーズに行うことができます。

プログラミングスキルの向上

構造化プログラミングを習得することで、プログラミングの基礎をしっかりと固めることができ、様々なプログラミング言語に応用することができます。

様々なプログラミング言語への応用

構造化プログラミングは、特定のプログラミング言語に依存しない考え方であるため、C言語、Java、Pythonなど、様々なプログラミング言語に応用することができます。

デメリット

構造化プログラミングのデメリットは、以下の点が挙げられます。

記述量が増加する可能性

3つの基本構造のみで複雑な処理を記述しようとすると、どうしても記述量が増加してしまう傾向があります。

オブジェクト指向のプログラミングとは?

オブジェクト指向プログラミングとは、プログラムを「オブジェクト」と呼ばれる単位で組み立てていく手法です。

オブジェクトは、データと処理をまとめたもので、現実世界のモノや概念をプログラム上で表現することができます。

例えば、「車」をオブジェクトとして考えると、「色」「メーカー」「速度」といったデータと、「走る」「止まる」「曲がる」といった処理を持つことができます。

オブジェクト指向プログラミングでは、これらのオブジェクトを組み合わせることで、複雑なプログラムを構築していきます。

オブジェクト指向プログラミングの特徴

オブジェクト指向プログラミングの特徴としては、以下の点が挙げられます。

カプセル化

オブジェクトの内部構造を隠蔽し、外部からのアクセスを制限することで、プログラムの安全性を高めます。

継承

既存のオブジェクトを元に、新しいオブジェクトを作成することができます。

多態性

同じ名前のメソッドでも、オブジェクトによって異なる処理を実行することができます。

これらの特徴により、オブジェクト指向プログラミングは、プログラムの再利用性や保守性を高め、開発効率を向上させることができます。

構造化プログラミングを応用したオブジェクト指向プログラミング

オブジェクト指向プログラミングは、構造化プログラミングと組み合わせて使用することで、より効果を発揮します。

構造化プログラミングは、プログラムを「順次」「選択」「反復」の3つの基本構造で記述することで、プログラムの可読性や保守性を高めます。

オブジェクト指向プログラミングでは、オブジェクトの内部構造を構造化プログラミングで記述することで、より理解しやすく、保守しやすいプログラムを作成することができます。

構造化プログラミングで実際にコードを書いてみよう!

具体例:フローチャートで流れを理解!

構造化プログラミングの3つの基本構造を、具体的なコード例を用いて解説します。

ここでは、例として「ユーザーが入力した数値が偶数か奇数かを判定するプログラム」を作成してみましょう。

まず、フローチャートでプログラムの流れを視覚的に表現すると、以下のようになります。

①開始

②数値を入力

③数値を2で割った余りが0か?Yes: 「偶数です」と表示No: 「奇数です」と表示

④終了

このフローチャートは、上から順番に処理が実行される順次構造と、条件によって処理が分岐する選択構造を組み合わせたものです。

順次処理:順番に処理を実行!

まずは、ユーザーから数値を入力する処理です。

ほとんどのプログラミング言語で、標準入力から数値を受け取るための関数が用意されています。

例えば、C言語では scanf 関数、Javaでは Scanner クラス、Pythonでは input 関数などを使用します。

// C言語の例
int num;
printf(“数値を入力してください: “);
scanf(“%d", &num);

選択処理:条件によって処理を変える!

次に、入力された数値が偶数か奇数かを判定する処理です。

偶数か奇数かの判定は、数値を2で割った余りが0かどうかで判断することができます。

// C言語の例
if (num % 2 == 0) {
  printf(“偶数です\n");
} else {
  printf(“奇数です\n");
}

繰り返し処理:同じ処理を繰り返す!

今回の例では使用しませんが、繰り返し処理を行う場合は、for文やwhile文などの構文を使用します。

for文は、指定した回数だけ処理を繰り返す場合に使い、while文は、条件が満たされている間、処理を繰り返す場合に使用します。

// C言語の例:1から10までの数値を表示する
for (int i = 1; i <= 10; i++) {
  printf(“%d “, i);
}
// C言語の例:numが10より小さい間、処理を繰り返す
while (num < 10) {
  printf(“%d “, num);
  num++;
}

これらの基本構造を組み合わせることで、様々なプログラムを記述することができます。

構造化プログラミングを意識することで、可読性が高く、保守性の良いコードを作成することができます。

まとめ

今回は構造化プログラミングの概要からメリット・デメリット、オブジェクト指向プログラミングへの応用までを解説しました。

構造化プログラミングは、プログラムを「順次」「選択」「反復」の3つの基本構造で記述することで、プログラムの流れをわかりやすくし、可読性や保守性を高めることができます。

構造化プログラミングを理解することは、オブジェクト指向プログラミングを学ぶ上でも重要です。

オブジェクト指向プログラミングでは、オブジェクトの内部構造を構造化プログラミングで記述することで、より理解しやすく、保守しやすいプログラムを作成することができます。

構造化プログラミングとオブジェクト指向プログラミングを組み合わせることで、複雑なプログラムでも可読性や保守性を保ちながら、効率的に開発を進めることができます。

ぜひ、構造化プログラミングをマスターし、オブジェクト指向プログラミングにも挑戦してみましょう!

この記事の監修

Dr.T。テストエンジニア。
PractiTestエバンジェリスト。
大学卒業後、外車純正Navi開発のテストエンジニアとしてキャリアをスタート。DTVチューナ開発会社、第三者検証会社等、数々のプロダクトの検証業務に従事。
2017年株式会社モンテカンポへ入社し、マネージメント業務の傍ら、自らもテストエンジニアとしテストコンサルやPractiTestの導入サポートなどを担当している。

記事制作:川上サトシ