テスト設計とは?その流れや具体的なコツを徹底解説!

テスト設計は品質保証の要となるプロセスです。

しかし、「テスト設計」と一口に言っても、具体的に何をすれば良いのか、どのように進めれば効率的なのか、疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

そこで今回はテスト設計の重要性から具体的な流れ、そしてテストを成功させるためのコツまでを詳しく解説します。

テスト設計の基礎を体系的に理解し、自信を持ってテストに取り組むことができるようになっていただけたら幸いです!

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テスト設計の重要性

テスト設計とは、テスト設計とは、ソフトウェアの品質を保証するために、テスト計画で作成されたテスト戦略に基づき、具体的なテストケースを設計するプロセスです。

ここには、テストプログラムや、テストデータ、テスト環境についての設計も含まれます。

一言で表すならば、「品質保証の設計図」と言えるでしょう。この設計図が不十分だと、様々な問題が発生します。

重要な不具合の見落としが起きる可能性がある

まず、テストケース設計が不十分な場合、重要なテスト観点が漏れてしまい致命的なバグを発見できない可能性が高まります。

現代のソフトウェアは複雑化の一途を辿っており、場当たり的にテストケースを作成していては、重要なテスト観点を全て洗い出すことは出来ません。

テスト設定において、テスト技法の活用や、開発者とのコミュニケーションを密にすることで、重要なテスト観点の抜け漏れを防ぐことができ、致命的なバグを見逃すリスクを最小限に抑えられるのです。

テスト作業が無計画に増えてしまう

次に、テスト工程における作業量が無計画に増えてしまい、効率が悪くなる点が挙げられます。

これは、テスト設計が不十分なことにより、テスト範囲やテスト観点が不明確なため、同じ機能を複数回テストしてしまったり、冗長的なテストケースが増えるため、無駄なリソースが増大します。

その結果、スケジュールの遅延やコストの増加にもつながります。

十分なテスト設計をするメリット

一方で、十分なテスト設計をおこなうことで、多くのメリットが得られます。

抜け漏れのないテストケースを作成できる

テスト設計の段階で仕様書について、テスト技法などを使用し詳細まで分析することで観点漏れが防げるため、検討不足によるテストケースの抜け漏れを軽減することが出来ます。

品質の向上が効率化できる

テスト設計の時点で重点的にテストしたい箇所やリスクの高い箇所を特定しておくことで、致命的なバグを早期に発見できるので、効率よく品質を確保することが出来ます。

工数が確保できれば、ユーザビリティなど、より細かな観点での品質に目を向けることが可能になります。

コスト・時間を効率化できる

十分なテスト設計によって重複したテストや不要なテストケースの作成や実施の工数を無くすことが可能です。

そのためリソースの効率的な配分が可能になるため、テスト工程にかかる時間やコストを削減できます。

また、プロジェクトスケジュールの短縮や、他作業に注力するリソースを確保できる効果も期待できます。

テスト設計の流れ

ここでは、テスト設計の基本的な流れについて解説します。

テスト設計は、テスト計画で定義した内容をベースとして、その粒度を少しずつ小さくして具体化していく進め方が一般的です。

①テスト対象の分析をする

最初のステップとして、テスト対象となるシステムやソフトウェアの要件を詳細に分析します。

具体的には、機能要件(仕様)、性能要件(仕様)、セキュリティ要件(仕様)などの内容を詳細に明確化していきます。

この分析を通じて、テストの目的と範囲を定め、どのようなテストが必要かを把握します。

テスト対象の分析が不十分だと、後の工程で手戻りが発生し、効率が低下する原因となるため、この工程は非常に重要です。

②テストの基本設計をおこなう

次に、テストの基本設計を行います。

ここでは、テスト戦略、テスト技法、テスト環境などを決定します。

テスト戦略では、どのような種類のテスト(例えば、機能テスト、性能テスト、受け入れテストなど)を実施するかを計画します。

テスト技法では、同値分割、境界値分析、デシジョンテーブルなど、具体的なテストケースを作成するための方法を選定します。

テスト環境では、テストに必要なハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなどのテスト環境を設計します。

③テストの詳細を設計する

基本設計で定めた内容を基に、より詳細なテスト設計を行います。

具体的には、各テストケースの入力データ、期待される出力データ、テストの手順などを詳細に記述します。

この段階で、テストケースの網羅性と効率性を考慮し、無駄なく効果的なテストケースを作成することが重要です。

④テスト設計を元にテストケースを作成する

詳細設計に基づいて、具体的なテストケースを作成します。

テストケースは、テストの目的、前提条件、入力データ、操作手順、期待される結果などを明確に記述したものです。

テストケースを作成する際は、再現性、網羅性、効率性を考慮し、誰が実行しても同じ結果が得られるように詳細に記述します。

また、テストケースのレビューを行い、抜け漏れや曖昧な点を修正することも重要です。

⑤テストの準備をして実行する

最後に、作成したテストケースに基づいてテスト環境を準備し、テストを実行します。

テスト実行時には、テスト結果を記録し、期待される結果との差異を分析します。

テスト結果に基づいて、バグの修正や改善を行い、必要に応じてテストケースの修正や追加を行います。

テストの実施と結果の分析を通じて、システムやソフトウェアの品質を高めていきます。

テスト設計のコツ

効果的なテスト設計を行うためには、いくつかのコツを押さえておく必要があります。

ここでは、テスト設計の各段階における重要なポイントと、全体を通して考慮すべきコツについて解説します。

テスト対象の分析において、テスト範囲をはっきりと決めておく

テスト設計の最初のステップであるテスト対象の分析では、テストの範囲を明確に定義することが重要です。

具体的には、どの機能や領域をテスト対象とするのか、どの程度の深さまでテストを行うのかを決定します。

テスト範囲が曖昧なままだと、テストケースの作成時に不要なテストが増えたり、逆に重要なテストが抜け落ちたりする可能性があるからです。

テスト範囲を明確にするためには、要件定義書や設計書などのドキュメントを丁寧に分析し、関係者と認識合わせを行うことが不可欠です。

テストの基本設計において、テスト観点をはっきりと決めておく

テストの基本設計段階では、テスト観点を明確にすることが重要です。

テスト観点とは、どのような側面からテストを行うかという視点のことで、例えば機能性、性能、セキュリティ、ユーザビリティなどが挙げられます。

テスト観点を明確にすることで、網羅的かつ効率的なテストケースを作成するための指針となります。

テスト観点を決める際には、テスト対象の特性やリスクを考慮し、優先順位をつけることが大切です。

また、テスト観点は関係者と共有し、合意を得ることで、テスト設計の品質を高めることができます。

テストの詳細設計において、テスト条件を細かく決めておく

テストの詳細設計では、テスト条件を細かく定義することが重要です。

テスト条件とは、各テストケースにおける入力データ、期待される出力、実行環境などの具体的な条件を指します。

テスト条件を細かく定義することで、テストの再現性を高め、テスト結果の信頼性を向上させることができます。

ただし、テスト範囲、観点に沿って無駄のない内容になるように注意が必要です。

詳細設計では、境界値分析や同値分割などのテスト技法を活用し、効率的かつ効果的なテスト条件を導き出すことが推奨されます。

まとめ

今回はテスト設計の重要性、具体的な流れ、そして効率的かつ効果的にテストを進めるためのコツについて解説しました。

テスト設計は、品質保証の設計図を描くプロセスです。

適切なテスト設計を行うことで、テストの抜け漏れを防ぎ、バグを見逃すリスクを最小限に抑えることができます。

また、テスト設計が適切であるとテスト工程の効率化ができ、時間とコストを大幅に節約することも可能です。

テスト設計のプロセスは、テスト対象の分析から始まり、基本設計、詳細設計、テストケースの作成、そしてテストの準備と実行へと進みます。

各段階で適切な手法とツールを選択し、テスト範囲、観点、条件を明確に定義することが重要です。

効果的なテスト設計のコツとして、以下の3点が挙げられます。

・テスト対象の分析において、テスト範囲を明確にすること。

・テストの基本設計において、テスト観点を具体的に定めること。

・テストの詳細設計において、テスト条件を細かく設定すること。

これらのポイントを踏まえ、計画的かつ効率的にテスト設計を進めることで、ソフトウェアやシステムの品質を最大限に高めることができるでしょう。

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この記事の監修

Dr.T。テストエンジニア。
PractiTestエバンジェリスト。
大学卒業後、外車純正Navi開発のテストエンジニアとしてキャリアをスタート。DTVチューナ開発会社、第三者検証会社等、数々のプロダクトの検証業務に従事。
2017年株式会社モンテカンポへ入社し、マネージメント業務の傍ら、自らもテストエンジニアとしテストコンサルやPractiTestの導入サポートなどを担当している。

記事制作:川上サトシ