ソフトウェアテスターからマネージャーへの道

10人のテスターに、なぜこの仕事を選んだのか尋ねてみると、おそらく5〜8通りの異なる答えが返ってくるでしょう。

大学でソフトウェアテストを専門的に学んだという人は少なく、プログラマーや開発者から転身した人、カスタマーサポートから異動してきた人、あるいは全く別の業界から転職してきた人など、そのバックグラウンドは多岐に渡ります。

多くの人にとって、ソフトウェアテストの仕事に就いたのは、偶然の結果かもしれません。

しかし、テストエンジニアとして経験を積み、スキルを磨いていく中で、「テストマネージャー」というキャリアパスを描く人もいるでしょう。

テストマネージャーは、テストチームを統括し、プロジェクト全体の品質管理を担う重要な役割です。

しかし、テスターからテストマネージャーへとステップアップするための明確な道筋は、残念ながらありません。

企業の規模や文化、プロジェクトの特性、そして個人の能力や経験など、様々な要因が影響するため、人それぞれ異なる道のりを歩むことになります。

それでも、テスターから管理職へと移行する際に、共通して踏むべきステップは存在します。

そこで今回はテストマネージャーの役割や必要なスキル、そして具体的なキャリアパスについて解説します。

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ソフトウェアテスターからマネージャーまでの一般的な手順

テストエンジニアからテストマネージャーへとステップアップするためには、どのような道のりを歩めば良いのでしょうか?

ここでは、テストマネージャーを目指す方が、キャリアアップを実現するための具体的なステップを紹介します。

技術スキルと専門知識の構築

テストマネージャーは、テストチームを率いるリーダーとして、幅広い知識とスキルが求められます。

ソフトウェア開発、テスト手法、プロジェクト管理など、技術的なスキルはもちろんのこと、品質保証に関する専門知識も深めておく必要があります。

様々なソフトウェア開発環境(アジャイル開発、ウォーターフォール開発など)での経験を積むことも重要です。

リーダーシップスキルの向上

テストマネージャーは、チームをまとめ、プロジェクトを成功に導くためのリーダーシップが求められます。

日々の業務の中で、積極的にリーダーシップを発揮する機会を設けましょう。

例えば、

・チーム内で問題が発生した際に、率先して解決策を提案する

・後輩の指導や教育を行う

・プロジェクトの改善提案を行う

など、リーダーシップを発揮できる場面はたくさんあります。

また、上司にマネージャーを目指していることを伝え、リーダーシップを学ぶ機会を与えてもらうことも有効です。

コミュニケーションとフィードバック能力

テストマネージャーは、開発チーム、QAチーム、顧客など、様々な関係者とコミュニケーションを取る必要があります。

そのため、分かりやすく説明する能力や、相手に配慮したコミュニケーションを心がけることが重要です。

また、チームメンバーに対して適切なフィードバックを与えることも、テストマネージャーの重要な役割です。

メンバーの成長を促進し、チーム全体のモチベーションを高めるようなフィードバックを心がけましょう。

社内外のネットワーク構築

社内外のネットワークを広げることも、キャリアアップに役立ちます。

社内では、他の部門のメンバーと交流することで、会社全体の業務を理解することができます。

社外では、業界のイベントやセミナーに参加したり、オンラインコミュニティで情報交換したりすることで、最新の技術トレンドや他社の取り組みを学ぶことができます。

幅広いネットワークを持つことは、視野を広げ、新たな視点を獲得する上で役立ちます。

技術スキルとリーダーシップへの注目

テストマネージャーを目指す上で、技術的なスキルとリーダーシップの両方をバランス良く磨いていくことが重要です。

技術的なスキルを高めるためには、資格取得や技術書の学習、研修への参加などが有効です。

リーダーシップを向上させるためには、リーダーシップ研修に参加したり、リーダーシップに関する書籍を読んだりするのも良いでしょう。

リーダーシップ関連の学習と実践

リーダーシップやマネジメントに関するコースや認定資格を取得することも有効です。

これらのコースでは、リーダーシップの理論や実践的なスキルを学ぶことができます。

また、管理職向けの求人情報をチェックし、どのようなスキルや経験が求められているのかを把握しておくことも大切です。

私の経験談

テストマネージャーを目指す方にとって、他の人のキャリアパスは参考になる情報の一つです。

ここでは、筆者自身がどのようにしてソフトウェアテストの責任者になったのか、その経験談を紹介します。

キャリアのスタート

筆者のキャリアは、ジュニアソフトウェアテスターとして始まりました。当時は、ソフトウェアをテストする方法もよく分かっていませんでした。

そのため、まずはソフトウェアテストの基礎知識を習得することから始めました。

幸いなことに、アジャイル開発チームに配属されたため、テストのあらゆる側面を経験し、Web開発についても学ぶことができました。

技術的な専門知識の向上

積極的に技術的な知識を習得し、チーム内で頼られる存在になることを目指しました。その結果、自然とリーダーシップスキルも身についていきました。

マネージャーからも肯定的な評価を受け、リーダーシップを発揮する機会を与えてもらうことができました。

新しい部門への移動とネットワークの構築

その後、新しい部門に異動し、新たな製品や開発プロセスについて学ぶ機会を得ました。そこで、責任感とオーナーシップを持って仕事に取り組むことの重要性を学びました。

また、社内外の様々な人とネットワークを構築することで、視野を広げることができました。

プロダクトマネージャーへの転機

ある時、プロダクトマネージャーが退職することになり、製品管理の役割を一時的に任されることになりました。

この経験を通して、プロダクトマネジメントに興味を持つようになり、新たなキャリアパスが見えてきました。

プロダクトマネージャーとしての経験

その後、正式にプロダクトマネージャーの職に応募し、3年以上その役割を担いました。

この期間に、製品開発やチームリーダーシップに関するスキルを向上させ、ソフトスキルも磨くことができました。

テスト責任者への転機

テストコミュニティでの活動やネットワークを通じて、ソフトウェアテスト責任者のポジションを紹介されました。

これまでの経験を通して培ってきたコミュニケーションスキルやテスト業界の知識が評価され、採用に至りました。

最終的な役職

こうして、筆者は14年の歳月を経て、ソフトウェアテスト責任者に就任しました。

キャリアの道のりは決して平坦ではありませんでしたが、様々な経験を通して成長し、最終的に目標を達成することができました。

この経験から言えることは、継続的な学習と自己成長、そして周囲の人々との協力が、キャリアアップには不可欠だということです。

h2 まとめ

テスターからテストマネージャーになる道は、決して平坦ではありません。

企業の規模や文化、プロジェクトの特性、そして個人の能力や経験など、様々な要因が影響し、人それぞれ異なる道のりを歩むことになります。

キャリアアップを成功させるためには、外的要因と内的要因の両方を意識する必要があります。

・外的要因としては、会社の規模や組織体制、上司や同僚との関係などが挙げられます。

・内的要因としては、自身のスキルや経験、性格、キャリアプランなどが挙げられます。

これらの要因を分析し、自分自身のキャリア戦略を立てることが重要です。

変化は、一朝一夕に起こるものではありません。忍耐強く、粘り強く目標を追求することで、必ず道は開けていきます。

現在の役割で最大限の貢献をしながら、将来のキャリアを見据え、積極的にリーダーシップを発揮する機会を創り出しましょう。

他の部門や役割にも目を向け、新たな経験を積むことで、視野を広げることも重要です。

また、上司や同僚からのフィードバックを積極的に求めることで、客観的な視点から自分自身を評価し、改善点を見つけることができます。

常に学ぶ姿勢と変化に対応する柔軟性を示すことで、リーダーシップの役割にふさわしい人物であることをアピールできるでしょう!

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この記事の監修

Dr.T。テストエンジニア。
PractiTestエバンジェリスト。
大学卒業後、外車純正Navi開発のテストエンジニアとしてキャリアをスタート。DTVチューナ開発会社、第三者検証会社等、数々のプロダクトの検証業務に従事。
2017年株式会社モンテカンポへ入社し、マネージメント業務の傍ら、自らもテストエンジニアとしテストコンサルやPractiTestの導入サポートなどを担当している。

記事制作:川上サトシ