「デグレ」って何?今さら聞けないSEの常識をわかりやすく解説!
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システム開発において、「デグレ」という言葉を耳にしたことはありませんか?
「デグレ」とは、システムを改修した際に、以前は正常に動いていた部分が不具合を起こしてしまう現象のこと。
「デグレード」という言葉が短縮されたもので、SE(システムエンジニア)の間では"あるある"な、悩ましい問題です。
そこで今回は、デグレの意味から原因、対策まで、SEなら知っておくべき基礎知識をわかりやすく解説します。
この記事を読めば、デグレの悩みを解消し、よりスムーズな開発を実現できること間違いなし!
ぜひ最後まで読んで、開発スキルを一段階アップさせましょう!
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デグレとは?SEなら知っておくべき基礎知識
デグレの意味:システム開発における「品質劣化」
デグレ(デグレード)とは、システムの改修時に、その対象箇所以外の品質が以前よりも悪くなってしまうことを指します。
具体的には、新しい機能を追加したり、既存の機能を修正した際に、意図しない不具合が発生し、以前は正常に動作していた部分が動かなくなったり、挙動がおかしくなる状態です。
たとえば、Webサイトの改修を行った際に、以前はスムーズに表示されていたページが遅くなったり、エラーが表示されるようになった場合、それはデグレの一例と言えます。
また、スマホアプリのアップデートを行った結果、一部の機能が使えなくなったり、アプリが頻繁にクラッシュするようになるのも、デグレに該当します。
なぜデグレが起きる?そのメカニズムを解明
デグレは、システム開発の過程で様々な要因によって発生します。最も一般的な原因の一つは、修正プログラムの不具合です。
新しい機能を追加したり、バグを修正したりする際に、修正内容が既存のコードと衝突し、予期せぬ不具合を引き起こすことがあります。
特に、大規模なシステムや複雑なコードの場合、修正による影響範囲を把握しきれず、デグレが発生するリスクが高まります。
また、システムの複雑化もデグレの原因となります。
システムが複雑になればなるほど、各機能間の連携や依存関係が複雑になり、修正による影響が波及しやすくなります。
そのため、一部の修正が他の部分に悪影響を及ぼし、デグレを引き起こす可能性が高まります。
さらに、チーム間の連携不足もデグレを招く要因となります。
開発チーム内でのコミュニケーション不足や情報共有不足があると、各メンバーが担当する部分の修正内容を十分に把握できず、修正内容が他の部分に悪影響を及ぼす可能性があります。
デグレが起こるとどうなる?開発現場への影響
デグレが発生すると、システム開発の現場に様々な悪影響が及びます。
まず、システム障害につながる可能性があります。デグレによってシステムの一部が正常に動作しなくなると、システム全体の機能が停止したり、重要なデータが破損したりする可能性があります。
これにより、サービスの停止や業務の遅延が発生し、顧客やユーザーに多大な迷惑をかけることになります。
また、手戻り作業が増加する可能性があります。
デグレが発生した場合、原因を特定し、修正作業を行う必要があります。この作業には、調査やテストなど、多くの時間と労力がかかります。
また、修正によって新たなバグが発生する可能性もあり、手戻り作業が連鎖的に発生する恐れもあります。
さらに、開発効率の低下を招く可能性があります。デグレが発生すると、修正作業に多くの時間を費やさなければならなくなり、本来の開発作業に費やせる時間が減ってしまいます。
これにより、開発スケジュールが遅延したり、新たな機能の追加が遅れたりする可能性があります。
このように、デグレはシステム開発の現場に様々な悪影響を及ぼします。そのため、デグレを未然に防ぐための対策を講じることが非常に重要です。
デグレの原因を徹底分析!よくあるケースと対策
原因1: 修正プログラムの思わぬ落とし穴
デグレの原因として最も多いのが、修正プログラム(パッチ)の適用によるものです。
バグの修正や新機能の追加など、何らかの変更を加える際に、その修正内容が既存のコードと予期せぬ形で衝突し、新たな不具合を生み出すことがあります。
特に、大規模なシステムや複雑なコードの場合、修正による影響範囲を完全に把握することは困難です。
また、時間的制約がある場合も注意が必要です。短納期での開発やリリースが求められる状況下では、修正プログラムの品質が犠牲になりがちです。
十分なテストや検証を行わずに修正プログラムを適用してしまうと、デグレを引き起こす可能性が高まります。
さらに、修正プログラムの管理も重要です。
複数の開発者が同時に修正作業を行っている場合、それぞれの修正内容が適切に統合されず、競合や矛盾が生じることがあります。
原因2: 複雑化するシステムとデグレ
システムが複雑になればなるほど、デグレが発生するリスクは高まります。
機能間の依存関係が複雑に絡み合っている場合、一部の修正が他の部分に連鎖的に影響を及ぼす可能性があります。
また、技術的負債の蓄積もデグレの原因となります。
過去の経緯から、場当たり的な対応や不完全な修正が繰り返されている場合、システム全体の整合性が損なわれ、デグレが発生しやすくなります。
さらに、システムのブラックボックス化も問題です。
システムの内部構造や動作原理が十分に理解されていない場合、修正による影響を予測することが難しく、デグレを引き起こす可能性があります。
原因3: チーム間の連携不足が招くデグレ
開発チーム内のコミュニケーション不足や連携不足は、デグレを招く大きな要因となります。
情報共有の不足があると、各メンバーが担当する部分の修正内容を十分に把握できず、修正内容が他の部分に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、役割分担の不明確さも問題です。
誰がどの部分を担当しているのかが曖昧な場合、責任の所在が不明確になり、問題が発生した場合に対応が遅れることがあります。
さらに、チーム間の対立もデグレの原因となります。
異なるチーム間で協力や連携がうまくいかない場合、修正内容の整合性が保たれず、デグレが発生する可能性が高まります。
デグレ対策の決定版!今日からできる予防策
対策1: コードレビューで品質を確保!
コードレビューは、作成したコードを複数人でチェックし、品質を向上させるための有効な手段です。
レビューアは、コードの可読性、ロジックの正しさ、潜在的なバグの有無などをチェックします。
コードレビューを行うことで、早期に問題を発見し、デグレの発生を未然に防ぐことができます。
また、コードレビューは、チーム全体のスキルアップにもつながります。
お互いのコードをチェックし合うことで、コーディング規約の遵守やベストプラクティスの共有が進み、チーム全体の品質が向上します。
さらに、コードレビューは、属人化を防ぐ効果もあります。
特定の担当者しか理解できないコードは、担当者が不在になった場合、改修や保守が困難になります。
コードレビューを行うことで、知識の共有が進み、属人化を解消することができます。
対策 2: テスト自動化で効率的にデグレを検知!
テスト自動化は、テスト作業を自動化し、効率的にデグレを検知するための有効な手段です。
単体テスト、結合テスト、システムテストなど、様々なレベルのテストを自動化することで、テストにかかる時間と労力を大幅に削減することができます。
また、テスト自動化は、テストの網羅性を高める効果もあります。
手動テストでは、時間的制約から全てのケースを網羅することが難しい場合がありますが、テスト自動化を活用することで、より多くのケースを網羅的にテストすることができます。
さらに、テスト自動化は、継続的インテグレーション(CI)環境に組み込むことで、より効果的にデグレを検知することができます。
CI環境では、コードが変更されるたびに自動的にテストが実行され、デグレが発生した場合に即座に通知されるため、早期に対応することができます。
対策 3: バージョン管理システムで変更履歴を管理!
バージョン管理システムは、コードの変更履歴を管理するためのツールです。
Gitなどが代表的なバージョン管理システムとして知られています。
バージョン管理システムを導入することで、誰がいつ、どのような変更を加えたのかを把握することができます。
これにより、デグレが発生した場合に、原因を特定しやすくなります。
また、バージョン管理システムは、変更の取り消しやブランチの作成など、様々な機能を提供しています。
これらの機能を活用することで、安全かつ効率的に開発を進めることができます。
対策 4: コミュニケーションを密にして情報共有を円滑に!
開発チーム内のコミュニケーション不足は、デグレを招く大きな要因となります。
情報共有が不足すると、各メンバーが担当する部分の修正内容を十分に把握できず、修正内容が他の部分に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、コミュニケーションを密にし、情報共有を円滑にすることが重要です。
定例会議やチャットツールなどを活用し、チームメンバー間のコミュニケーションを活発化させましょう。
また、ドキュメントを整備することも重要です。
システム概要や設計、コードの説明などをドキュメントにまとめることで、情報共有の効率化を図ることができます。
デグレから脱却!開発プロセス改善で高品質なシステムを
デグレを見逃さないために
デグレを見逃さないためには、テスト計画の段階で開発者と改修内容に対する影響範囲を明確化させることが重要です。そのうえで適切にテスト設計し、効率的なリグレッションテストを実行することで、テスト漏れによるデグレの市場流出を抑えることができます。
これを実現するために肝となるのは、開発者とテストエンジニアの円滑なコミュニケーションと情報共有になります。
デグレ対策はチーム全体の課題
デグレ対策は、特定の担当者だけの責任ではありません。チーム全体でデグレ防止の意識を高め、協力して対策に取り組むことが重要です。
そのためには、まず、チーム全体でデグレのリスクを共有し、共通認識を持つことが重要です。
デグレが発生すると、システム障害につながったり、手戻り作業が増加したり、開発効率が低下したりするなど、様々な悪影響があることを理解する必要があります。
また、デグレの原因や対策方法についても、チーム全体で共有することが重要です。
コードレビューやテスト自動化など、有効な対策方法をチーム全体で理解し、実践していく必要があります。
さらに、デグレが発生した場合の対応手順についても、チーム全体で共有しておくことが重要です。
デグレが発生した場合に、誰がどの役割を担うのか、どのように対応するのかを明確にしておくことで、迅速かつ適切な対応が可能になります。
開発プロセスに組み込むデグレ対策
デグレ対策を効果的に行うためには、開発プロセス全体にデグレ対策を組み込むことが重要です。
具体的には、要件定義段階からデグレ対策を検討し、設計、開発、テスト、運用の各段階で適切な対策を講じる必要があります。
例えば、要件定義段階では、曖昧な要件を排除し、具体的な要件を定義することで、開発段階での誤解や手戻りを減らすことができます。
また、設計段階では、システムの複雑化を避け、モジュール化や疎結合な設計を採用することで、修正による影響範囲を小さくすることができます。
開発段階では、コードレビューやペアプログラミングなどを実施することで、早期にバグを発見し、デグレの発生を抑制することができます。
テスト段階では、テスト自動化や継続的インテグレーション(CI)環境の構築などにより、効率的にデグレを検知することができます。
運用段階では、監視体制を強化し、異常を早期に発見することで、デグレによる障害を未然に防ぐことができます。
まとめ
この記事では、システム開発における「デグレ(デグレード)」について、その意味、原因、対策方法を解説しました。
デグレとは、システムの改修時に、意図しない不具合が発生し、以前は正常に動作していた部分が動かなくなるなど、品質が劣化する状態を指します。
デグレの原因は様々ですが、主なものとしては、修正プログラムの不具合、システムの複雑化、チーム間の連携不足などが挙げられます。
デグレが発生すると、システム障害、手戻り作業の増加、開発効率の低下など、様々な悪影響が及びます。
そのため、デグレを未然に防ぐための対策を講じることが非常に重要です。
具体的な対策としては、コードレビュー、テスト自動化、バージョン管理システムの導入、コミュニケーションの円滑化などが挙げられます。
これらの対策を講じることで、デグレの発生を抑制し、高品質なシステムを開発することができます。
この記事が、SEの皆様のデグレ対策の一助となれば幸いです。
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この記事の監修
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Dr.T。テストエンジニア。
PractiTestエバンジェリスト。
大学卒業後、外車純正Navi開発のテストエンジニアとしてキャリアをスタート。DTVチューナ開発会社、第三者検証会社等、数々のプロダクトの検証業務に従事。
2017年株式会社モンテカンポへ入社し、マネージメント業務の傍ら、自らもテストエンジニアとしテストコンサルやPractiTestの導入サポートなどを担当している。
記事制作:川上サトシ