スクリプトテストと非スクリプトテストの違いとは?

ソフトウェア開発において、品質を確保するためのテストは必要不可欠です。

テストには様々な手法が存在しますが、大きく「スクリプトテスト」と「非スクリプトテスト」の2種類に分けられます。

これらのテスト手法は、それぞれ異なる特徴と目的を持ち、ソフトウェアの品質を向上させるために重要な役割を果たします。

そこで今回は、スクリプトテストと非スクリプトテストの違いについて解説します!

スクリプトテストとは?

スクリプトテストとは、事前に作成されたテストケース(テストの手順や期待される結果を詳細に記述したもの)に基づいて実施されるテストのことです。

テスト担当者は、このテストケースに沿ってシステムを操作し、期待される結果との一致を確認します。

テストケースは、システムの要件定義書や設計書などに基づいて作成され、網羅性や再現性が高い点が特徴です。

例えば、ECサイトの会員登録機能をテストする場合、「必須項目が未入力の場合にエラーメッセージが表示されるか」「登録完了後に確認メールが送信されるか」といった具体的なテスト項目がテストケースに記述されます。

テスト担当者は、これらのテスト項目に沿って実際にシステムを操作し、結果を記録します。

スクリプトテストの手法

スクリプトテストの手法は多岐にわたりますが、一般的には以下のステップで実施されます。

まず、システムの要件定義書や設計書に基づいて、テストケースを作成します。

この際、テスト対象となる機能や項目を網羅的に洗い出し、それぞれのテスト項目について、入力データ、操作手順、期待される結果などを具体的に記述します。

次に、作成されたテストケースをレビューし、修正や改善を行います。

テストケースの品質は、テストの品質に直結するため、レビューは非常に重要なステップです。

そして、レビュー済みのテストケースに基づいて、実際にシステムを操作し、テストを実施します。

テスト結果は、テストケースに記録し、期待される結果との差異を明確にします。

最後に、テスト結果を分析し、バグや不具合を特定します。特定されたバグや不具合は、開発者に報告され、修正が行われます。

スクリプトテストのメリット

スクリプトテストの最大のメリットは、テストの網羅性と再現性が高い点です。

事前にテストケースを作成することで、テスト担当者のスキルや経験に依存せず、誰でも同じ品質のテストを実施できます。

また、テストケースは、システムの変更や修正があった場合でも、容易に更新や修正が可能です。これにより、システムの品質を維持しやすくなります。

さらに、テストケースは、テストの進捗状況や結果を管理するためのドキュメントとしても活用できます。

テストケースにテストの実施状況や結果を記録することで、テストの進捗状況を把握し、テスト結果を分析することが容易になります。

スクリプトテストのデメリット

スクリプトテストのデメリットとしては、テストケースの作成に時間がかかる点が挙げられます。

特に、大規模なシステムや複雑な機能を持つシステムの場合、テストケースの作成に多くの時間と労力が必要です。

また、スクリプトテストは、テストケースに記述されたテスト項目に沿って実施されるため、テストケースに記述されていないバグや不具合を見落とす可能性があります。

さらに、テストケースのメンテナンスに手間がかかる点もデメリットです。

システムの変更や修正があった場合、テストケースも修正する必要があります。この修正作業を怠ると、テストケースが古くなり、テストの品質が低下する可能性があります。

非スクリプトテストとは?

非スクリプトテストとは、事前に詳細なテストケースを作成せず、テスト担当者の経験や知識に基づいて実施されるテストのことです。

テスト担当者は、システムの仕様や要件を理解した上で、自由にシステムを操作し、バグや不具合を発見します。スクリプトテストとは異なり、テストの自由度が高く、予期せぬバグを発見しやすい点が特徴です。

例えば、新しいWebアプリケーションのUIをテストする場合、テスト担当者は、様々な操作を試し、画面のレイアウトや操作性を確認します。

この際、テスト担当者は、自身の経験や知識に基づいて、様々な操作パターンを試すことで、潜在的な問題を早期に発見できます。

非スクリプトテストの手法

非スクリプトテストの手法は多岐にわたりますが、代表的なものとしては、探索的テストやアドホックテストが挙げられます。

探索的テストは、テスト担当者がシステムの仕様や要件を理解した上で、テスト設計、テスト実施、テスト結果の分析を同時に行う手法です。

テスト担当者は、テストを通じて得られた情報に基づいて、次のテスト戦略を柔軟に変更できます。

一方、アドホックテストは、テスト担当者が自由にシステムを操作し、バグや不具合を発見する手法です。

アドホックテストは、テストの自由度が非常に高く、テスト担当者のスキルや経験がテストの品質に大きく影響します。

また、テスト担当者の経験に基づき、エラーが起きやすいと推測される箇所に重点的にテストを行う、エラー推測テストと呼ばれる手法も存在します。

非スクリプトテストのメリット

非スクリプトテストの最大のメリットは、テストの自由度が高く、予期せぬバグを発見しやすい点です。

テスト担当者は、テストケースに縛られず、自由にシステムを操作できるため、潜在的な問題を早期に発見できます。

また、テストケースの作成が不要なため、テストの準備時間を短縮できます。これにより、開発サイクルを短縮し、迅速なリリースが可能になります。

さらに、テスト担当者のスキルや経験を活かせる点もメリットです。経験豊富なテスト担当者は、様々な視点からシステムを評価し、品質の高いテストを実施できます。

非スクリプトテストのデメリット

非スクリプトテストのデメリットとしては、テストの網羅性や再現性が低い点が挙げられます。

テストケースがないため、テスト担当者のスキルや経験に依存し、テストの品質にばらつきが生じる可能性があります。

また、テスト結果の記録や管理が難しく、バグの再現や修正が困難になる場合があります。

さらに、大規模なシステムや複雑な機能を持つシステムの場合、非スクリプトテストだけで品質を確保するのは困難です。

非スクリプトテストは、あくまでスクリプトテストを補完するものであり、両者を適切に組み合わせることが重要です。

スクリプトテストと非スクリプトテストの違い

スクリプトテストと非スクリプトテストは、ソフトウェアテストの手法としてそれぞれ異なる特徴を持っています。

スクリプトテストは、事前に詳細なテストケースを作成し、それに従ってテストを実施する手法です。

一方、非スクリプトテストは、テスト担当者の経験や知識に基づいて、自由にシステムを操作し、バグや不具合を発見する手法です。

スクリプトテストは、網羅性や再現性が高く、誰でも同じ品質のテストを実施できる点がメリットです。

しかし、テストケースの作成に時間がかかり、テストケースに記述されていないバグを見落とす可能性があります。

一方、非スクリプトテストは、テストの自由度が高く、予期せぬバグを発見しやすい点がメリットです。

しかし、テストの網羅性や再現性が低く、テスト担当者のスキルや経験に依存する点がデメリットです。

両者は、それぞれ異なる特徴を持つため、テスト対象のシステムや状況に応じて、適切な手法を選択する必要があります。

例えば、大規模なシステムや複雑な機能を持つシステムの場合、スクリプトテストを中心に実施し、非スクリプトテストを補完的に実施することが効果的です。

一方、小規模なシステムや短期間でテストを実施する必要がある場合、非スクリプトテストを中心に実施することも可能です。

重要なことは、それぞれのメリット・デメリットを理解し、適切に使い分けることです。

まとめ

スクリプトテストと非スクリプトテストは、ソフトウェアテストにおいてそれぞれ独自の役割を担う重要な手法です。

スクリプトテストは、事前に詳細なテストケースを作成することで、網羅的かつ再現性の高いテストを実現します。一方、非スクリプトテストは、テスト担当者の経験とスキルを活かし、柔軟かつ創造的なテストを可能にします。

どちらの手法もメリット・デメリットを併せ持つため、テスト対象のシステムやプロジェクトの特性に合わせて、適切に選択し、組み合わせることが重要です。

大規模で複雑なシステムでは、スクリプトテストを中心に網羅性を確保し、非スクリプトテストで予期せぬバグを発見するアプローチが有効です。

逆に、小規模なシステムや短納期が求められる場合は、非スクリプトテストを中心に効率的なテストを実施することも可能です。

重要なのは、両者の特性を理解し、状況に応じて最適なテスト戦略を立てることです。

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